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エピソード35

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 「皆さん、おはようございます。」

  健常者の避難者に放送で呼びかける・・。
 「救援物資については、情報が入り次第お伝えします・・。」


  条南大学に日が昇る。


 「余震活動はまだ頻繁ですが、キャンパス内の方々が一斉に配給をもらっては大混乱になります・・。今から、学生が避難所をブロックに分け、順に、配給をもらえるよう、誘導します・・。」

 「皆さんが混乱すれば、二次災害に繋がる危険もある、大型避難所です・・。混乱からは、命は救えない・・。」

 「列に入る、ものに、落ち着きとストレスは、軽減され、また、規則正しく、朝の食事を摂れます・・。これは、避難所からのお願いです・・。朝食は同じ時間に食べたい、速く食べたい、・・一般の方の意見とも言えます・・。しかし、避難生活の一歩です・・。避難所の皆さん、混乱して、ここまで、避難をしたのはご承知です・・。しかし、その混乱を続けては、ストレス、不満、不眠、健康障害を起こしかねません・・。どうか、その順番に理解するところで、学生が命を懸け、動いています。」

 「是非、混乱の中で、平常心でいることを留意願います・・。」

 「以上です・・。」
  避難所責任者は無線と放送で言った・・。

 「混乱、だいぶ落ち着いてきましたね・・。」
 「ああ、これも学生のおかげだろう・・。しかし、疲れもピークに達する頃だ・・。」
 「開校中の本震と言えど、ストレスは半端ではない・・。それをどうケアしていくか・・。」

 「新たな段階のステージに上がっているといっても、おかしくはない・・。体力の勝負と分からず動いては命に関わってしまう・・。」
 「どうした方法がいいのだろうか・・。」

 「・・そうですね。」
  災害対策本部でも、同じような問題を話し合っていた・・。
 「学生避難所に、取材班を入れよう・・。」

 「学長!」
 「報道でドキュメンタリーを作る・・それは、あり得る話だ。」
 
 
 「しかし、今の状況で、学生に取材を入れるだなんて・・。」

 「医学部で治療に当たっている学生はどうするんですか?」
 「だからこそ、学生にスポットを当てる・・。」

 「なるほど、一度集まりすぎた心を、様々な、形で、それぞれの場所で、環境を変える・・。」



 「若者はその分散を、行うと休憩になるだろう・・。」
 「少なくとも、心は・・。」
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