89歳のワシが若返って、男とフラグを立てる話

あきら

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二階堂怜央

のうのうと生きててもいいのかな

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あ 「レオでいいよ。オレ、部活の後輩にもレオ君て呼ばせてっから。先輩ってガラじゃねーし、堅苦しいの苦手」

 そうじゃ。二階堂…レオ君は、中学時代に一年間ロサンゼルスに留学しておったそうじゃ。元々の性格もあろうが、色々と日本の常識に縛られない所があるのじゃな。
 「それで、今付き合ってるかとかだっけ?うん。親しくお付き合い頂いてるよ。クラスメートの、加藤仁成くん。未だに、名前の読み知らねーんだけどさ。きっかけは、スゲー最悪だったんだ。罰ゲームに負けた告白とか何かで、加藤くんの返事も塩対応で。でも、色々あって正式に付き合うことになったよ。オレ、彼のことがスゲー好き」
 おぉ。あっけらかんと抜かすのう。こう、てらいだとか恥じらいとかが彼には存在せんのだろうか。
 「お…男同士で付き合うことに対して、悩みはないのかの?そのう…周りから、色々言われたりとか」
 「ないよ。周りは、生暖かく見守ってくれてるし。仮にアレコレ言われたとしても、それは言う奴がウザいだけじゃん?」
 「言い切ったのう!レオ君には、その…。悩みとか、無いものかのう」
 「人のこと、バカみてーに言うなよ。まぁオレだって人並みに悩んだりもするけど、バスケ以外のことで悩んでも時間の無駄って思う。『パスがうまくいかねー』とか『小回りがきかねー』とか、そんな感じ。他人の評価なんかで、悩むだけ無駄だ」
 これまた、言い切ったわい。しかし、言いたいことは良く分かる。ワシも柔道に打ち込んでおった間は、他のことで気に病む暇がなかったかの。それ以降も結婚が早めじゃったので、色々と生活に追われ…。何かに『悩んだ』ことは、今までの人生でなかったのかも知れん。人が悩むのは、裏を返せば悩める時間があればこそなのかも知れんな。
 レオ君は今でこそ言い切るが、きっとこの境地に至るまでに数え切れない挫折があったじゃろう。日本人が一人、外国の地でレギュラーの座を掴むには想像できぬ苦難があった筈じゃ。
 「だけど時々、思うんだ。オレ一人悩みなんかありませんみたいなツラして、のうのうと生きててもいいのかなって」
 「何か、言ったかの?」
 「何でも。それより、颯くん…。ずっと思ってたけど、スッゲー綺麗な黒髪だよね。オレ、君みたいなタイプ大好き…」
 「何じゃ、ワシを口説いとるのか?百年早いわい。そんなに黒髪が大好きなら、自分の髪を染め直せば良かろうが。それにお主には付き合ってる人がおると、ついさっき言ったばかりじゃろ」
 「あはは、そうだよね。でもオレ3Pとか4Pとか気にならない人だから、気が変わったらいつでも言ってね。そうだ。これが、彼氏の加藤くんだよん。いつもはウゼー前髪で隠れてるんだけど、たまたま顔が見えてるレア画像ゲットしたんだ。どう?美少年でしょ?」
 そう言って、レオ君が自身のスマホの待ち受け画像を見せてきたぞい。確かにひ孫のトオイに負けず劣らず、紅顔の美少年と言えようか。
 「おぉ、確かにの。レオ君が、惚れる気持ちも分かるわい」

 「そうでしょ。ここだけの話ね。彼、いま世間を賑わせてる歌い手『Aqua』ちゃんなんだぜ!どう、ビビった?」
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