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笹川縁
オレ様キャラの化身でもあろうか
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『…目が覚めたか、岡坂。まさか、奈良漬けであそこまで酔うなんてな。お前と言う奴は、本当に面白い男…』
…誰かが、ワシのことを見守っておるわい。だから、面白いと言う奴の方がよっぽど面白い男だと言うておろうが。この顔は、かつてワシに告白してきおった男…ではなく…。
「笹川、縁!?」
「そうだよ。やっと、お目覚めかい。あの後歌うわ踊るわ、気失うわで大変だったんだぜ」
そうか。笹川が、ここに連れて介抱してくれたのか。見かけによらず、根が優しいんじゃな…。と、言いたい所じゃが…。
「なんで、その連れ込む先がいわゆる一つのラブホなんじゃーい!ほ、他になかったのか」
こんな所、女房とも入った事はないぞい!ちなみに豆知識ながら、最近では風営法の改正とやらで回転するベッドは備え付けておらぬそうじゃな。
「何でって、まぁ慣れてたから。ここ、フロント無人だしさ。ハヤテちゃんだって、えらく気に入ってたじゃん。備え付けのカラオケで、どどいつ熱唱してさ」
「ハヤテちゃんって言うな。そしてもう聞きたくもないが、何で裸なんじゃい…?」
「着てた服が、汚れちまったからだろ?詳しく、経緯を聞きたいか?今、洗濯機で洗って乾かしてっから」
うぅ。我が人生における、最大の汚点じゃ。ってかこれ男同士がどうこう言う以前に、年齢制限とか大丈夫かの…?ワシの方が89歳であるゆえ、セーフではあろうか。
「ハヤテちゃん?気分が落ち着いたら、一緒に風呂入らねぇ?綺麗だぜ。ライトが七色に光ってさ」
はいはい。もう本当に、ご自由にしてくれい。しかし、気を失っている間にひとつ思い出したことがあったぞい。かつて、ワシに告白してきおった男…。先ほどの、夢に出てきた奴じゃな。奴は…若くして、亡くなったのじゃ。ある大雨の日、増水した川に呑まれてな。
自分から、身を投げたものであろうか…。他ならぬワシに、想いを拒絶されての。ワシは罪悪感から、彼の存在を含めずっと記憶に蓋をしておったのじゃな…。こないだ岩本空くんの遺影を見たあたりから、うすうす思い出してはおったよ。
「ハヤテちゃん?まだ、気分悪いのか?何で、泣いてるんだ?」
笹川が問うてきた。そうか、気づかなんだがワシは今泣いておるのか。男が泣いていいのは、人生で3度。生まれた時と、母が死んだ時。そして、自分自身が亡くなる時。そんな言葉を、四角四面に受け止めておった訳でもないが…。
もっともっと、泣いておけば良かったのかのう。妻が死んだ時、選手生命を絶たれた時。そして、かの男が川に身を呑まれた時…。考えていると、自分でもとめどなく涙が頬を流れるのが分かった。
「ハヤテちゃん…颯。もう、泣くなって。お前が泣いてたら」
言うて、笹川がワシに唇を重ねてきた。次いで、舌をば侵入させワシの舌に絡めてくる。いつもなら抵抗の一つもしようが、今日はなぜか身を任せているのが心地よいわい…。
「…オレまで、悲しくなるから。ハヤテちゃんは、笑ってる顔が一番可愛いよ」
これまた、『殺し文句』とでも言うのかこっ恥ずかしい台詞を臆面もなく口にしおったわい。まぁ、いいかのう。こやつが口にするのは、似合っておるし。それに、こやつの言葉を聞いておるとなぜか心が落ち着いてくるぞい…。
そう思ってしばらく舌を絡めあっておると、突然奴の手がワシの身体中をまさぐってきたぞい。
「ちょっと、待たんかい!なんじゃい、この手は。妙なことをしでかしおったら、巴投げにて一階の地面まで叩きつけてやるからの」
「どうせなら、寝技の方がかけられてぇけどな。まぁ、いいじやん。せっかくラブホに来たんだら、ヤることヤろーぜ。時間なら、心配しなくていいよ。一泊で部屋取ってるから」
「ワシの貞操をこそ、心配するわい!…う、うぅ。仕方ないのぉ。キッスまでじゃぞ。それ以上の事をしおったら、目にもの見せてくれるでの」
何だかんだ、ここまで連れてきて介抱してくれた恩義と言うものがあるでの。それにトオイとこやつをくっつける目的のため、媚を売っておくに越した事はないわい。
そう思っとったら、何やらワシの首筋に唇を当てこれでもかとばかりに吸ってきおった。
「ひゃぅっ!?ど、どこを吸っとるんじゃい!」
「いいじゃん。キスまでなら、どこにしても自由なんでしょ。ハヤテちゃんの身体中に、オレのもんだって印つけとくから」
あっ。これも、BL漫画の台詞で見た所じゃぞい!何じゃい。こいつは、BLに登場するオレ様キャラの化身でもあろうか…?ワシが黙ったのをいい事に、宣言どおり身体中に印をつけてきおる。この苦行、いったいいつまで続くんじゃ…?
そして、我が人生で初めての無断外泊じゃ。伊勢嶋の人々、心配しておらんかのう…。
…誰かが、ワシのことを見守っておるわい。だから、面白いと言う奴の方がよっぽど面白い男だと言うておろうが。この顔は、かつてワシに告白してきおった男…ではなく…。
「笹川、縁!?」
「そうだよ。やっと、お目覚めかい。あの後歌うわ踊るわ、気失うわで大変だったんだぜ」
そうか。笹川が、ここに連れて介抱してくれたのか。見かけによらず、根が優しいんじゃな…。と、言いたい所じゃが…。
「なんで、その連れ込む先がいわゆる一つのラブホなんじゃーい!ほ、他になかったのか」
こんな所、女房とも入った事はないぞい!ちなみに豆知識ながら、最近では風営法の改正とやらで回転するベッドは備え付けておらぬそうじゃな。
「何でって、まぁ慣れてたから。ここ、フロント無人だしさ。ハヤテちゃんだって、えらく気に入ってたじゃん。備え付けのカラオケで、どどいつ熱唱してさ」
「ハヤテちゃんって言うな。そしてもう聞きたくもないが、何で裸なんじゃい…?」
「着てた服が、汚れちまったからだろ?詳しく、経緯を聞きたいか?今、洗濯機で洗って乾かしてっから」
うぅ。我が人生における、最大の汚点じゃ。ってかこれ男同士がどうこう言う以前に、年齢制限とか大丈夫かの…?ワシの方が89歳であるゆえ、セーフではあろうか。
「ハヤテちゃん?気分が落ち着いたら、一緒に風呂入らねぇ?綺麗だぜ。ライトが七色に光ってさ」
はいはい。もう本当に、ご自由にしてくれい。しかし、気を失っている間にひとつ思い出したことがあったぞい。かつて、ワシに告白してきおった男…。先ほどの、夢に出てきた奴じゃな。奴は…若くして、亡くなったのじゃ。ある大雨の日、増水した川に呑まれてな。
自分から、身を投げたものであろうか…。他ならぬワシに、想いを拒絶されての。ワシは罪悪感から、彼の存在を含めずっと記憶に蓋をしておったのじゃな…。こないだ岩本空くんの遺影を見たあたりから、うすうす思い出してはおったよ。
「ハヤテちゃん?まだ、気分悪いのか?何で、泣いてるんだ?」
笹川が問うてきた。そうか、気づかなんだがワシは今泣いておるのか。男が泣いていいのは、人生で3度。生まれた時と、母が死んだ時。そして、自分自身が亡くなる時。そんな言葉を、四角四面に受け止めておった訳でもないが…。
もっともっと、泣いておけば良かったのかのう。妻が死んだ時、選手生命を絶たれた時。そして、かの男が川に身を呑まれた時…。考えていると、自分でもとめどなく涙が頬を流れるのが分かった。
「ハヤテちゃん…颯。もう、泣くなって。お前が泣いてたら」
言うて、笹川がワシに唇を重ねてきた。次いで、舌をば侵入させワシの舌に絡めてくる。いつもなら抵抗の一つもしようが、今日はなぜか身を任せているのが心地よいわい…。
「…オレまで、悲しくなるから。ハヤテちゃんは、笑ってる顔が一番可愛いよ」
これまた、『殺し文句』とでも言うのかこっ恥ずかしい台詞を臆面もなく口にしおったわい。まぁ、いいかのう。こやつが口にするのは、似合っておるし。それに、こやつの言葉を聞いておるとなぜか心が落ち着いてくるぞい…。
そう思ってしばらく舌を絡めあっておると、突然奴の手がワシの身体中をまさぐってきたぞい。
「ちょっと、待たんかい!なんじゃい、この手は。妙なことをしでかしおったら、巴投げにて一階の地面まで叩きつけてやるからの」
「どうせなら、寝技の方がかけられてぇけどな。まぁ、いいじやん。せっかくラブホに来たんだら、ヤることヤろーぜ。時間なら、心配しなくていいよ。一泊で部屋取ってるから」
「ワシの貞操をこそ、心配するわい!…う、うぅ。仕方ないのぉ。キッスまでじゃぞ。それ以上の事をしおったら、目にもの見せてくれるでの」
何だかんだ、ここまで連れてきて介抱してくれた恩義と言うものがあるでの。それにトオイとこやつをくっつける目的のため、媚を売っておくに越した事はないわい。
そう思っとったら、何やらワシの首筋に唇を当てこれでもかとばかりに吸ってきおった。
「ひゃぅっ!?ど、どこを吸っとるんじゃい!」
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