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4月10日 晴れ
BLは単なる娯楽に留まらず、もはや本格的な文芸の域に達している
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みなさんこんにちは、三原裕人です。まだ日付は変わってなくて、新学期の放課後です。話の展開が遅くて、本当にすみませんね…。一応、時刻的には「こんばんは」が相応しいくらいにはなりました。
あの後、体育館の新入部員勧誘でも彼らの顔を見る機会がありました。本音を言うと、あんまり見たい訳でもありませんでしたが…。っていうか俺、引退してなかったらここでの勧誘にも参加させられてたんだよな。重ねて客寄せパンダ扱いは嫌なので、そう言う意味では部から距離を置いた意義はあったってもんかな。
伊勢嶋は部員たった一人の同好会の分際で、めっちゃ演説が堂に入ってましたよ。「BLは単なる娯楽に留まらず、もはや本格的な文芸の域に達している」とか何とか。意見に賛同するかは置いておいて、それを全校生徒の前で演説出来る度胸は買った。何ていうか、場慣れしているんでしょうね。
対する、堀北は…うん。声が小さい上に、しどろもどろで何言ってるか分かりませんでした。対極的に、場慣れしてないんでしょうね。君は本当に、部の代表として勧誘をする立場ではなかったと思います。まぁ今朝も言いましたが、ここまで来たら名前貸しで入部してもいいかなぁ…?と思いました。それに留まらず、たまには顔を出してもいいかなぁと。どうせ暇だし、可哀想さも手伝ってね。
そして、放課後ですが…。なんか、校門でその堀北が出待ちしてたんですよ。この俺に、伝えたい事があるからって。てっきり、ぜひ入部して下さいって内容かと思いきや…。むしろ逆に、無理はしなくていいですよって事らしい。いちおう三年生で、受験生である俺を気遣って。今朝壁ドンしてた時にも思いましたが、なかなかしおらしい子じゃありませんか。
「そりゃ俺だって、有名人の三原先輩に入部してもらえたら鼻が高いですけど…。でも、今がいちばん大切な時期でしょう?本当に、無理はしなくていいですから」
「あぁ。受験の事は、そんなに気遣わなくていいんだけど…。有名人ねぇ。俺って、そんなに有名?朝、伊勢嶋にも言われたけどさ。ってか、あいつの方がよっぽど有名人だと思うけどさ」
「何言ってるんですか。有名じゃないと思ってるの、先輩本人だけですから。バスケ部ではレギュラーで、勉強も出来て…。その上、彼女さんにも不足した事はないんですって?羨ましいなぁ、あやかりたいです」
俺は、ここまで聞いて…。なんて腰の低いいい子だと、改めて感心する所だったんだろうな。だけど、何でだろう。何かは分からないけど、心の琴線に触れた。彼女に不足した事はないって、裏を返せば相手と長続きした試しがないって事なんだよなぁ…。
「俺なんて…。昔から要領よくて、何でも出来るって言われたけど。何をやっても、80点止まりの男だよ。満点だったり、一位を取れた試しがない…」
「その80点も取れない俺からしたら、羨ましい限りですよぉ。この学校の天文部に入るために、無理して勉強はしましたけど…。未だに授業には付いて行けないし、スポーツも苦手。60点…いいとこ、50点かなぁ?あはは。それに、人間の価値ってそれだけじゃないです…。人付き合いとか、色々とあるでしょう?」
そうだね!全くもって、君の言うとおりだ…。だけど俺は、彼の言葉を聞いてますますヘソを曲げていた。何でだろう。適当に、「そうだねぇ」って相槌打っとけばいいじゃない。実際に今までも、そうやって生きてきたじゃない。何で初対面の彼には、ここまで何もかも反発したくなるの…?
「…人付き合いは、どうせ苦手だよ。男子校入っといて、未だに同性で友達らしい友達はいないしね。引退したら、バスケ部の連中とも疎遠。80点どころか、平均点も取れなくて悪かったね…」
やめとけって!堀北くんは別に、一言もそんな事言ってないでしょう!?ほら、可哀想に。今にも泣きそうな顔をして、俺の事を見てるじゃん。俺、彼にこんな顔をさせたくて言っていた訳じゃないのに…。
「…先輩?ごめんなさい。俺、そんなつもりで言ってた訳じゃ…」
「お言葉に甘えて、入部の件は考えさせてもらうよ…。一旦、保留って事で。それじゃ」
そう言って、足早にその場を去ってしまった。後ろを振り返って、悲しそうな彼の顔を改めて見るのが辛い。帰りの電車、どうせ同じ路線なんだからゆっくり話でもすれば良かったのにねぇ。
まぁ、でも…。帰りもまた満員電車で壁ドンする破目になったら、気まずい事この上ないわな。
あの後、体育館の新入部員勧誘でも彼らの顔を見る機会がありました。本音を言うと、あんまり見たい訳でもありませんでしたが…。っていうか俺、引退してなかったらここでの勧誘にも参加させられてたんだよな。重ねて客寄せパンダ扱いは嫌なので、そう言う意味では部から距離を置いた意義はあったってもんかな。
伊勢嶋は部員たった一人の同好会の分際で、めっちゃ演説が堂に入ってましたよ。「BLは単なる娯楽に留まらず、もはや本格的な文芸の域に達している」とか何とか。意見に賛同するかは置いておいて、それを全校生徒の前で演説出来る度胸は買った。何ていうか、場慣れしているんでしょうね。
対する、堀北は…うん。声が小さい上に、しどろもどろで何言ってるか分かりませんでした。対極的に、場慣れしてないんでしょうね。君は本当に、部の代表として勧誘をする立場ではなかったと思います。まぁ今朝も言いましたが、ここまで来たら名前貸しで入部してもいいかなぁ…?と思いました。それに留まらず、たまには顔を出してもいいかなぁと。どうせ暇だし、可哀想さも手伝ってね。
そして、放課後ですが…。なんか、校門でその堀北が出待ちしてたんですよ。この俺に、伝えたい事があるからって。てっきり、ぜひ入部して下さいって内容かと思いきや…。むしろ逆に、無理はしなくていいですよって事らしい。いちおう三年生で、受験生である俺を気遣って。今朝壁ドンしてた時にも思いましたが、なかなかしおらしい子じゃありませんか。
「そりゃ俺だって、有名人の三原先輩に入部してもらえたら鼻が高いですけど…。でも、今がいちばん大切な時期でしょう?本当に、無理はしなくていいですから」
「あぁ。受験の事は、そんなに気遣わなくていいんだけど…。有名人ねぇ。俺って、そんなに有名?朝、伊勢嶋にも言われたけどさ。ってか、あいつの方がよっぽど有名人だと思うけどさ」
「何言ってるんですか。有名じゃないと思ってるの、先輩本人だけですから。バスケ部ではレギュラーで、勉強も出来て…。その上、彼女さんにも不足した事はないんですって?羨ましいなぁ、あやかりたいです」
俺は、ここまで聞いて…。なんて腰の低いいい子だと、改めて感心する所だったんだろうな。だけど、何でだろう。何かは分からないけど、心の琴線に触れた。彼女に不足した事はないって、裏を返せば相手と長続きした試しがないって事なんだよなぁ…。
「俺なんて…。昔から要領よくて、何でも出来るって言われたけど。何をやっても、80点止まりの男だよ。満点だったり、一位を取れた試しがない…」
「その80点も取れない俺からしたら、羨ましい限りですよぉ。この学校の天文部に入るために、無理して勉強はしましたけど…。未だに授業には付いて行けないし、スポーツも苦手。60点…いいとこ、50点かなぁ?あはは。それに、人間の価値ってそれだけじゃないです…。人付き合いとか、色々とあるでしょう?」
そうだね!全くもって、君の言うとおりだ…。だけど俺は、彼の言葉を聞いてますますヘソを曲げていた。何でだろう。適当に、「そうだねぇ」って相槌打っとけばいいじゃない。実際に今までも、そうやって生きてきたじゃない。何で初対面の彼には、ここまで何もかも反発したくなるの…?
「…人付き合いは、どうせ苦手だよ。男子校入っといて、未だに同性で友達らしい友達はいないしね。引退したら、バスケ部の連中とも疎遠。80点どころか、平均点も取れなくて悪かったね…」
やめとけって!堀北くんは別に、一言もそんな事言ってないでしょう!?ほら、可哀想に。今にも泣きそうな顔をして、俺の事を見てるじゃん。俺、彼にこんな顔をさせたくて言っていた訳じゃないのに…。
「…先輩?ごめんなさい。俺、そんなつもりで言ってた訳じゃ…」
「お言葉に甘えて、入部の件は考えさせてもらうよ…。一旦、保留って事で。それじゃ」
そう言って、足早にその場を去ってしまった。後ろを振り返って、悲しそうな彼の顔を改めて見るのが辛い。帰りの電車、どうせ同じ路線なんだからゆっくり話でもすれば良かったのにねぇ。
まぁ、でも…。帰りもまた満員電車で壁ドンする破目になったら、気まずい事この上ないわな。
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