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僕と結婚したらそうなりますから

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 あけましておめでとうございます。みなさんこんにちは、八尋雄太です。

 年が明けて、今日は大野城市の実家に帰っているのですよ…。僕の両親に大雅くんの紹介をして、それから彼の実家にも行く予定です。大阪市の港区ですね。はたして、標準語のお祖母様がいらっしゃるのか?今から、少しドキドキしています…。
 その前に、まずはうちの家ですね。両親、とくにうちの親父はやはりと言うか大雅くんの事が大いに気に入ったようです。
 「うちの雄太が、お世話になっとるようで~。さぁさぁ、まずは飲まんね」
 そう言って、次から次へと大雅くんに焼酎を勧めています。こんな事もあろうかと、彼の酒量を鍛えておいて本当に良かった…。
 大雅くんも大雅くんで、上機嫌です。会社が懇意にしている水族館を、就職先として紹介してもらえそうなんですって。だけどまぁ、これは「エサ」でしょう。親父は抜け目のない人ですから、ここで恩を売っておいて後々社員として迎える気じゃないかな。それはそれで、彼の人生にとって悪い話じゃないと思います。
 肝心の僕は、どうしよう。何だか、会社を継ぐのも悪くない気がしてきました。古ーい気質で、男性上位の会社ですからね。ここで一つ、女性的な意見を取り入れるのも悪くないのではないでしょうか。そしてゆくゆくの目標は、一部上場?なんてね。
 流れで、僕がホモである事もカミングアウトしましたが…。両親も社員さん達も、「とっくの昔に知っていた」のだそうです。本当に、何でなんでしょうね。顔にでも、書いているのでしょうか?
 まぁ、いいです。久々の実家で、まったりとしたお正月気分に浸るのも悪くないなぁ。などと思っていると…。
 「お…お父さ~ん。も、もう無理れ~す。もう、飲めまへ~ん」
 おやおや。大雅くんが、落ちたようです。ずいぶんとお酒には強くなりましたが、まだまだ親父の相手は百万年早かったと言った所でしょうかね。
 「何ね。えぇ男が、だらしない!ほら、もっと飲まんね!」
 どうしよう。ここは僕が、止めるべきかな。でも将来うちの会社に来るなら、この程度のお酒で参ってるようじゃ話にならないし…。と思っていると、台所からやって来たお母さんの方からストップが入りました。
 「お父さん!こんなに飲ませて、いたらん事して~!いい加減に、せんね~!」
 そうそう。福岡の男性は、家では奥さんに頭が上がらないんですよ。覚悟してくださいね。大雅くんも、僕と結婚したらそうなりますから…なんてね。

 それでは皆様、この話はこれでおしまいです。ずいぶん長いのに、お付き合い頂いてありがとうございました!皆様の心にも、幸せが訪れる事を願っています。
 それでは、またお会い出来る日を楽しみにして。さようなら!
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