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五月・菖蒲の湯

ちんちくりんだけど可愛いなぁ

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 みなさんこんにちは、佐山遼河です。
 何だかんだで、あれ以来「はたの湯」に通い詰めてます…。

 え、お金が続くのかって?うちの親、そう言う所はめっちゃ理解がいいんですよ。気になる人の所に通うためって言ったら、気前よく小遣いはずんでくれました…。まぁ多分、女の子の所だと思ってるだろうけどね。
 どうせなら汗をかいて行きたいと思うので、自然と練習にも身が入る。この日は夕方までグラウンドに残っていたら、何とフェンスの外に潤くんが通りかかってくれました!言うて、彼の帰り道ではあるしね。
 ってか潤くん、本当にホモ学の制服着てる!うわぁ、ちんちくりんだけど可愛いなぁ!しかし周りの部員の反応を見るに、どうもオレ以外にも潤くん狙いの奴らがいるらしい。こないだ、一人だけ残ってた先輩とかね。ホモ学って、確か男子校でしょ?大丈夫?潤くん、手込めにされたりしてない…?



 まぁいいや。とりあえず、考える前に行動!秒で、潤くんの所まで駆けつけましたとも。周りの奴らの、抜け駆けすんなって圧はすごかったけどね。
 「潤くんだ!オレらの練習、気になって見に来てくれたの?」
 「違わぁ。まぁ、気になるっちゃ気になるけど…。一応、大事な常連さんだしな。願わくば、他の部活の連中も誘ってくれると嬉しい」
 「そうしたいのは、やまやまだけど。オレらが入り浸ってるから、弱小が伝染るって敬遠されてるんだよね」
 「経営助けてくれると同時に、営業妨害もしてやがった。ってかお前ら、そこまで言われて悔しくないのかよ?ガツンと試合に勝って、見返してやろうとか思わないのかよ」
 「うーん、別に。弱小は、弱小だし。こう、深く考えずにゆるふわで行きたいなと。潤くんは、オレらの練習見ててどう思った?」
 「お前を含め、個々の能力が劣っているとは思わない。ただ、野球と言う競技に向いていない感が半端ないな。球技…ってか、団体競技向いてないだろお前ら。もっと、個人競技とかの部活に入れば?」
 うわぁ、直球だ!ってか、ひと目見ただけなのに分析力すげぇな…。流石は、天下のホモ学に通ってらっしゃると言ったところか。
 「厳しいなぁ。うーん。でも、オレ達はみんな野球って競技が好きだし。例え向いてなくても、やめたいとは思えないんだよなぁ…」
 
 「好きだから、やめられない…かぁ。うん、そうだよな。ごめんな、失礼な事言って。お詫びに、今日の銭湯代はおごるよ。この後、練習終わってからどうだ?へへっ。今月の変わり湯は、『はたの湯』自慢の菖蒲の湯だぜ」
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