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彼
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彼氏と別れた。
一緒に住んでいた部屋から出た日は曇りで、雨でもなく晴れてもいなかった。
今日、彼に新しい彼女がいる事を知った。
たぶん、その人と好きな映画を見るのだろう。そしてあれこれ言いながら好きな珈琲を淹れてあげるのだろう。
それとも違うかも。もしかしたら映画も珈琲も嫌いな女の人で、彼は全くしないかもしれない。そうかもしれない。あんなに好きだったとしても。
彼にもしかしたら、そうさせる女性かもしれない、かも。
最近の私は映画をずっと見てないし、コーヒーはインスタントばかりだよ。
もう、あなたの煩い解説を聞かなくてもいい。
でもね、聞いた事は覚えているよ。
あなたの好きな映画も珈琲も、話している時の笑顔も、
覚えている。
あの日々は二度と戻らない。
繰り返したい訳でもない。
でも、あの日々は、あの香りは、あの笑い声は、あの光は、私のもの。ずっとずっと。あの日のあなたは私のもの。
そして、あの日の私はあなたのものだった。
夏空に入道雲。晴れた空は眩しい。
目を細めて見上げて伸びをする。
「夏だね! あー、恋がしたい!」
隣の友人が笑った。
一緒に住んでいた部屋から出た日は曇りで、雨でもなく晴れてもいなかった。
今日、彼に新しい彼女がいる事を知った。
たぶん、その人と好きな映画を見るのだろう。そしてあれこれ言いながら好きな珈琲を淹れてあげるのだろう。
それとも違うかも。もしかしたら映画も珈琲も嫌いな女の人で、彼は全くしないかもしれない。そうかもしれない。あんなに好きだったとしても。
彼にもしかしたら、そうさせる女性かもしれない、かも。
最近の私は映画をずっと見てないし、コーヒーはインスタントばかりだよ。
もう、あなたの煩い解説を聞かなくてもいい。
でもね、聞いた事は覚えているよ。
あなたの好きな映画も珈琲も、話している時の笑顔も、
覚えている。
あの日々は二度と戻らない。
繰り返したい訳でもない。
でも、あの日々は、あの香りは、あの笑い声は、あの光は、私のもの。ずっとずっと。あの日のあなたは私のもの。
そして、あの日の私はあなたのものだった。
夏空に入道雲。晴れた空は眩しい。
目を細めて見上げて伸びをする。
「夏だね! あー、恋がしたい!」
隣の友人が笑った。
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