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第ニ章
10. 出会う
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地面に膝をついていたカルは、撃ち下された剣を跳ね返すと同時に立ち上がった。息を整える間もなく次がくる。
次々に撃ち込まれる剣先をいなしながら、隙を見て前に出る。それは受け止められたが、相手の足元をふらつかせるだけの勢いと効果があった。
空いた距離に、二人とも動きを止めて視線は外さずに息を整える。
「……何故本気でこない」
男が抑えた声でカルに問うた。
「いや、つうか、俺は戦う理由ないんだが。とりあえず落ち着こうぜ? 久しぶりなんだし」
が、返事のないまま次の剣先がきた。カルは軽く舌打ちしてその攻撃を受け止める。
「待てって言ってるだろうがっ」
「……貴様になくても俺にはある」
剣を交差させて睨み合いながら、交じり合わない言葉を交わす。
「だったら」
カルは全力で相手の剣を打ち返すと間合いをとる。
「その理由ぐらい話せ、リアム」
リアムと呼ばれた青年は何処かカルに似た面立ちの顎をぐっと引くと、眉をしかめた。紫色の瞳はカルから外さない。
「連れはどうした」
「さあな」
「……まあいい。俺は興味がない。俺は、な」
今度はカルの顔が険しくなる。
「話し合う時間はあまりなさそうだな」
風が雨の匂いを運びながら、二人の黒と銀灰の髪をなびかせて吹き抜けていく。
「女の心配とは珍しいな。何か? 美男子と名高い北の王の妹だけあるってことか?」
リアムが嘲りを含んだ声で言った。が、カルはその事に気づいていないかのように明るく言い返す。
「おう、美人だぞ。ただし本人にまるっきり自覚がないんだがどうしたもんかな、あれ」
「くだらない。だが、あの馬鹿は喜ぶだろうよ。舌舐めずりしそうだな、馬鹿王太子……元、か」
「リアム、くだらない話を続けるだけならつきあわないぞ」
カルが低い声で言った。
次々に撃ち込まれる剣先をいなしながら、隙を見て前に出る。それは受け止められたが、相手の足元をふらつかせるだけの勢いと効果があった。
空いた距離に、二人とも動きを止めて視線は外さずに息を整える。
「……何故本気でこない」
男が抑えた声でカルに問うた。
「いや、つうか、俺は戦う理由ないんだが。とりあえず落ち着こうぜ? 久しぶりなんだし」
が、返事のないまま次の剣先がきた。カルは軽く舌打ちしてその攻撃を受け止める。
「待てって言ってるだろうがっ」
「……貴様になくても俺にはある」
剣を交差させて睨み合いながら、交じり合わない言葉を交わす。
「だったら」
カルは全力で相手の剣を打ち返すと間合いをとる。
「その理由ぐらい話せ、リアム」
リアムと呼ばれた青年は何処かカルに似た面立ちの顎をぐっと引くと、眉をしかめた。紫色の瞳はカルから外さない。
「連れはどうした」
「さあな」
「……まあいい。俺は興味がない。俺は、な」
今度はカルの顔が険しくなる。
「話し合う時間はあまりなさそうだな」
風が雨の匂いを運びながら、二人の黒と銀灰の髪をなびかせて吹き抜けていく。
「女の心配とは珍しいな。何か? 美男子と名高い北の王の妹だけあるってことか?」
リアムが嘲りを含んだ声で言った。が、カルはその事に気づいていないかのように明るく言い返す。
「おう、美人だぞ。ただし本人にまるっきり自覚がないんだがどうしたもんかな、あれ」
「くだらない。だが、あの馬鹿は喜ぶだろうよ。舌舐めずりしそうだな、馬鹿王太子……元、か」
「リアム、くだらない話を続けるだけならつきあわないぞ」
カルが低い声で言った。
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