9 / 85
第一章★
007:大戦準備と組分け作業②
しおりを挟む――全校集会から1時間後
■商店街(大和 真)
雲ひとつない青い空。天気は快晴。肌寒いが日射しがあるから少しだけ暖かく感じる。
――カラン、カランッ
寂れた商店街の地面に空き缶が風に押され、転がる。俺達三人は学校の近所の商店街に来ていた。ここまでの道のりも何もかもが現実世界とそっくりだった。電柱、街頭、建ち並ぶお店も看板も全部同じ。
あれから校外に出ても問題ないことが分かったので、俺たちは食料や日用品の確保のために外に出てきた。そして、ここが本当に異世界なのか確認のためでもある。
「本当に無人なんだな真……」
「そうだね。ゴーストタウンみたいだね。なんか寂しい」
「てか寒くない?男の子はズボンだから羨ましいよ」
沙也加が俺のズボンを見ながら言う。あげないよ?俺も女子は冬もスカートなのはすごいと思う。スースーして絶対に寒い。
「そういや着替えの衣類やせめて寝泊りするための毛布が欲しいな 」
恭二がぼやく。
それに沙也加が同調する。
「私は枕も欲しいなー!後、温かい飲み物も飲みたいからポットとか欲しいよね」
「確かに。そこら辺のスーパーからかき集めれば、全部揃いそうだね」
俺達は歩きながら話しつづける。
ここに来るまでに何人か、立心館の生徒や他校の生徒を見かけている。その人達もきっと俺達と目的は同じだろう。変に関わりたくないのがお互いの心境なのか目も合わさなかった。
不意に沙也加が俺達に言う。
「ねぇ、二人とも?私は服を見に行きたいから食料の方は任せていい?」
「構わんぞ。一人で大丈夫か?」
「大丈夫だよ!すぐそこだしちょっと行ってくるー!」
沙也加はすぐに走ってどこかに行く。
俺達は沙也加とは違う道を歩く。
商店街でも外れの方面に向かう。
「別に服なんて三人で行けばいいのにね」
俺は空を見上げ、歩きながら言う。
「いや、見られたくないものだから一人で行ったんだろ」
「あっ…もしかしてパンツとか」
「気になるなら直接聞いてみてはどうだ?」
聞けるかよ。聞いたら多分俺は無事に済まないだろう。
商店街がもうそろそろ終わりになる。目線の先にはそれらしい建物が見えてくる。白い看板にユーザー専用食料庫と黒字で書かれている。外観はコンビニに似ているが壁が黒一色。景色に溶け込めず、目立っている。
近づくと自動ドアが開く。
俺達は中に入るとカウンターにはスーツを着た20代後半の綺麗な人がいた。学生じゃない。食料庫内はシンプルでカウンター以外は特にない。真っ白な床と壁だけ。
《ようこそ食料庫へ。MSPをご提示下さい》
MSPを取り出し、それを確認される。やがて返却すると、店の奥に消えていく。その歩き方がどこかぎこちない。少しするとすぐにカウンターに戻ってきて薄茶色の布の袋を二つ置く。
《一週間分あります。今回は初回なので無料ですが次からは稼いだ賞金から払ってもらいます》
俺はこの人の話している内容よりも、喋り方が気になっていた。どこか機械じみている。
《ここでは食糧のみの取り扱いになっていますがナイトメアの施設も多く点在しておりますのでそちらに行かれることもオススメします》
「それってどんな施設があるんだ?」
恭二が聞くとカウンターのお姉さんは淡々と答える。
《今はまだサービスは開始していませんが、ナイトメアにおける公的機関が存在しています。例えば、全国生徒のLevelランキングや学校戦力ランキングなどの新聞、また武器やアイテムの販売があります。また学校のカスタマイズをする際には、建築屋に行ってみてください》
「新聞?建築屋?それってどこにあるんだ?」
《まだサービスは開始していないのでお答えできません。では、これからの夢の世界をお楽しみください》
もう一度聞いてみる。
《これからの夢の世界をお楽しみください》
「……恭二?」
「…こりゃNPCだな」
「えっ、そうなの?まあ、確かに喋り方が妙だと思ってたけど」
「多分、もう何聞いても同じ言葉しか返って来ないだろうな。とりあえず、外に出るぞ。沙也加と合流しよう」
俺と恭二は自動ドアから出る。そして食糧庫を後にした。
◇◇◇◇◇◇
――同時刻
■商店街の一角(三島沙也加)
私は商店街の街路樹に背をもたれている。流れゆく雲を見つめボーとしている。空には果てしない青空が広がっている。
昨夜の教室での緊張感も今では不思議となくなってる…。昨日まではあんなに怖かったのに。まるでRPGのような世界に急に来てしまったために、未だ理解が追いついていないのか感覚が麻痺しているのか。
大きな街路樹の傍にはベンチがあり、私ははそこに腰を掛ける。休日はここには多くのカップルやファミリーが訪れている。この地域では有名なスポットで元々は寂れた商店街であったが、町おこしの一環で生まれ変わり、商店街×デートスポットというコンセプトでリニューアルされている。
近くのシンボル的な噴水も現実世界とまったく同じように水が湧き出ている。水飛沫の音だけがあたりに響いている。
私は真のことを考えていた。
私にとって特別な親友。
「……………」
私はは一年前、虐めにあっていたことをふと思い出す。噂だと私がその虐めの当事者の彼氏を奪ったらしい。もちろんそんなことはしていないのに。なのに靴には画ビョウ、椅子にはガム、教科書の紛失。
初めてイジメというのを経験した。影で実行されているため誰が中心となってやっているのかも分からない。せめて中心人物でも分かれば何かしらの対処ができたかもしれないけど……いや無理ね……あの頃の私にそんな強さなんてなかった。
ただショックだった。暗闇が私の目を覆う。誰も信用できず誰とも話したくなかった。これは私がの高校一年生の頃のこと。
そんな時に真がさりげなく助けた。シンプルな方法だが、私がが孤立しないようによく話しかけてくれてたのだ。
真が最初に状況に気付き、話し掛けてくれるようになって、恭二もすぐに気づいて会話の和に入って来てくれた。いつの間にか私達三人が一緒にいることが当然のようになり、いじめのことは気にならないくらいになっていた。そしていつの間にかなくなっていた。
二年になる時のクラス替えでまた真と恭二と同じクラスになる。その時は本当に嬉しかったなー。幸せな日々。異常な状況だからこそ今までの当たり前だった日常を思い出す。
「………………」
「…………」
私は空を見上げていた視点を商店街に戻す。
「あー…。服とか…下着とか取ってこないといけなかったんだった。急がないと」
私は街路樹から離れ、移動しようとする。
「ん?なんだろう?」
私はふと街灯が気になった。まだ日は落ちていないのに街灯が薄く灯っている?
よく見ると電球の代わりに蝋燭灯されてるのが分かる。さらに目を凝らしてみると蝋燭から青黒いモヤモヤが薄く出ているような…
なにこれ?現実世界もこんなんだったっけ?
「おーい、沙也加ー! 」
「あ…」
真と恭二だ。二人は私の近くまで来て溜め息をつく。2人に心配をかけちゃってたみたい。ごめんね…。
「沙也加探したよ。てっきり店内にいると思ったのに。どうしてこんなところにいるのさ」
「ごめん!ちょっと考え事してたんだー。えへへ」
「沙也加は服とかは手に入れたのか?」
恭二が私の手元を見て確認する。
手ぶらだ。
「ごめん。まだなんだー」
「まあ、良いさ。一緒に行こう」
真も恭二も本当に優しい。大好きな親友達。私達は近くの大きなショッピングモールに向かう。
………
……
…
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる