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第一章★
007:大戦準備と組分け作業①
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■生徒会室
――カリカリ…カリカリ
生徒会室は鉛筆のカリカリとした音だけが室内に響いていた。
生徒会長の霜月 零はローラー付きの椅子に腰掛け、B4紙に目を通していた。
生徒会室は校舎の最上階の5階にある。開け放たれた窓からは少し肌寒い風が室内に入りこんでくる。
「会長。コーヒーはどうですの?目が覚めますわよ」
ふんわりとした可愛らしい雰囲気の女性が霜月に近寄る。身長が低めで巨乳が特徴。ザお嬢様な見た目。
名前は由川 姫。
「そうね。お願いできるかしら?」
「了解ですの。草野もコーヒーいります?」
生徒会室には霜月と由川の他にもう一人いた。大人しい性格の男。長い前髪で目が隠れている。由川が以前、エロゲの主人公みたいと言っていたが本人は全く気にしていない模様。
名前は草野 静男
「……ほしい。けど俺はお茶で頼む」
口数少なく答える草野。由川はポットの前でコップを用意している。
今、生徒会室にいるのは三人だけだった。他にも一人いるが今は出払っている。
「草野。立心館の生徒のデータは整理できた?」
「……あと少し。…チームは攻撃組と防衛組だったよな?」
「いいえ。1つは立心館を守ってもらうための防衛組ね。あと、攻め込んでもらう攻撃組、そして回復組の合計3チームね」
会長が草野に指示を与える中、由川がコップをゆっくりと二人の前に持ってくる。
「会長は攻撃組ですの?やたら強そうな支給品が届いていたのを記憶してますの」
「残念だけど違うわ。私は防衛組よ」
「そうなんですの」
由川は昨日、会長のLvは1000ぐらいと聞いていた。自分や草野のLvは60ちょっと。圧倒的だ。そもそもLv100越えが全学年で2~3人しかいない。1人だけ次元が違う。
会長は紙に目を通す。そして由川が淹れてくれたコーヒーを啜る。
「……そういえば今朝の集会は無事に終わって良かったな」
草野が呟く。
「そうね。まあ…スムーズに終わって良かったわ」
「……ああ。皆が静かに聞いてくれて拍子抜けしたな」
由川も相槌を打つ。
「ですの。会長は集会で暴動が起きるぐらいの覚悟はしときなさいと言ってましたから」
「まあね。個人のステータスのデータも順調に集めることもできたのはでかいわ」
霜月は喋りながらも作業をする手は止めない。高校生とは思えないほどの効率の良い仕事ぶりを見せている。頭の回転が異常に早い。生徒達からの人望は厚く生徒会選挙では圧勝で2期連続で当選している。
意外と寛容なところがあり、生徒会室にはメンバーの趣味のものが所々に置かれている。由川がたまに好んでビジュアル系やらデスメタル系のCDを流し始めても普通に、中々いいわねと容認していた。
学校の堅苦しいルールをなくしたこともあった。頭髪検査など。
そんなところも人気の理由なのかも知れない。
霜月が黙って作業を続ける中、由川と草野は話し続けていた。
「ねえ、草野。もし本当に戦争とやらが来た時、私達含む皆は戦えると思います?」
「……無理だろ。だって殺し合いだろ?」
「ええ…。拳銃とか渡されても…って感じですわよね」
霜月が不意に紙を机に置く。
「そうね。でも集会で集まった全校生徒で誰一人、そこについて聞いてこなかったわよね」
「そうですの。普通なら誰か一人ぐらいは言いそうですの」
「私が学校の代表にリーダーになることに反論する生徒もいなかったわ。それに私の言葉にパニックを起こす子もいなかったわ」
「……女の子でも泣いたりしている子もいなかったな」
「はたして、単にそこまで想像がまだ付いてきていないのか……」
霜月はぼやく。
「もしくは、私達の見えないところで皆の何かが変わってきているのかもしれないわね」
冷たく、肌を突き刺すような一陣の風が室内を吹き抜けた。誰しもが迷っているのかもしれない。自分のこれからのあり方に。生き方に。
生徒会室はカリカリとした音がまた響き始める。
………
……
…
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