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第一章★
005:夢か現実か。
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ガヤガヤとした廊下には俺と沙也加だけになる。恭二は先に教室に戻りマニュアルを読んでいる。
俺と沙也加は暗い廊下を進み1階の自販機コーナーを目指していた。
道中の廊下には他クラスの生徒もたくさんいて、武器を確認しているようだ。
まじで全校生徒がこんな深夜まで校舎で眠らされていたんだ…。蛇の着ぐるみ野郎、学校間大戦、戦争、支給武器、Level…。ファンタジー感が凄い。
「夜の学校って少しわくわくしちゃうよね」
「ちょっといけないことしてる感あるよね」
暗く寒い夜の廊下は昼間の廊下とは雰囲気が違う。どちらかといえば俺は学校の怪談を連想していた。小学生の頃やってたなあ。
沙也加は俺に聞いてくる。
「真はヘビ人間が言っていたことについてどう考えてるの?」
「…うーん。正直よくわからないけどめっちゃゴリゴリのファンタジー設定だなーって思う。支給武器とかLevelとか惹かれるものがあるよね」
「それ凄いわかる。小学生の頃キングダムハーツとかハマった~」
階段を下りると自販機が3台置いてあるスペースに着く。
沙也加は自販機にお金を入れ、ボタンを押す。ゴトンと音がし、ペットボトルが出てくる。出てきたミルクティーをグビグビと豪快に飲んでいた。
近くのベンチに沙也加が腰かける。俺は自分の分の飲み物を買おうとしたその時だった。
『いやぁああああぁあああぁぁあああっ!!』
「!?」「!?」
俺達は自分達の状況に対する見解の甘さを思い知らされる出来事が起きる。
どこからか悲鳴が聞こえる。女子の悲鳴??何やら向こうの方が騒がしい。
「…なんだろうね。今の悲鳴…」
「…少し見に行ってみよう!」
俺と沙也加は悲鳴の聞こえた方に向かう。
少し歩くと前方に人が集まっていて廊下が混雑している。ガヤガヤとすごく騒がしい。何故か女の子の嗚咽や悲鳴まで聞こえる。
俺と沙也加は人だかりの中を潜り抜ける。
人だかりの中心部にはあり得ない物体が横たわっていた。俺も沙也加も絶句した。
「………………」
頭、両腕、両足が…全てなくなっている人間の死体だった……
「きゃあァァァァあぁあぁあぁあァァあぁぁぁぁあァァあぁぁぁあっ!!!!」
後ろで沙也加が悲鳴を上げている。俺はあまりにおぞましい光景に一瞬、嘔吐しそうになる。
血潮が辺りに飛び散り、四肢をなくした身体。傍には画面にヒビが入り、真っ二つに割かれたMSPが横たわっている。クラスメイトの子だろうか?女の子の一人が誰かに震える声で近くの友人と思われる生徒に何かを言っている。
「…が…こんなの信じる必要ないって……あれを真っ二つに……そしたら……いきなり腕が風船のように膨らみはじめて…」
女の子が泣きながら誰かに話していた。沙也加はその場に腰を抜かす。死体から流れ出る血液がまるで赤い絨毯のようになっている。
野次馬達が次々と増えては悲鳴を上げる。
なんだよこれ……まるで地獄のような光景。頭には蛇人間のセリフが脳裏に流れていた。
【…ここは異世界……ナイトメアさ……戦争をしろ…MSPは大事に…★…】
本当にこの人は死んでるのか?ありえない。ここは日本だぞ…そんな時、不意にまた周りの野次馬が騒がしくなる。俺は死体の方に目を向けて驚愕した。死体の身体からは白い煙が出ていたのだ。白い煙はスピードを増していく。やがて死体は完全に消滅していった。
何も…なかったかのように 。
………
……
…
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