『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。

なすか地上絵

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第一章★

023:大凶高校戦_終結。

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――
■大凶高校_地下施設
 (霜月 零)


「草壁。よく頑張ってくれたわ」

 迫りくるゴーレムの拳より早く私はボロボロになった草壁を介抱し、
 一旦距離を取る。

「…………!!!!!霜月零なのか?」

「そうよ」

 私は草壁の状態を確認しながら答える。
良かった。これならまだ間に合う。

「ごめんなさい草壁。あなたに負担をかけすぎてしまったわ」

「大丈夫です……来てくれてありがとうございます…」

「あなたは立心館に戻って回復しなさい」

「…はい…痛っ」

 私は草壁を少し離れた場所に移動させ、
 MSPで回復組の相坂に連絡を取る。

 徐々に光に包まれていく草壁を見送り、
 私は右手に力をこめる。発光と同時に円形の鏡が出てくる。

 敵の残りはゼロ。
 草野と由川それと一般生徒の三人も含めて全員帰還済み。
 後は目の前のこのホトケを倒しさえすれば、立心館高校の勝利が決まる。

「ふん、自分の学校に引きこもっているかと思いきやまさかここまで来てもらえるとは思わなかったよ」

「この戦争はどっちかの学校代表が死ぬまでよ。引きこもっててもしょうがないでしょ」

 ホトケは巨大ゴーレムを一旦、後方に引かせる。
 人間の大人サイズくらいのゴーレムを召喚し私に向かわせる。

 私はは鏡の鏡面に腕を突っ込む。
 中からは一本のガラスのような剣が出てくる。短期決戦でいきたいと思った。

 私は駆け抜ける。
一気に複数体のゴーレムに接近し、特に苦戦することなくゴーレムを倒していく。
 そんな私を冷たい目でホトケは観察していた。

 最期の一体を倒し、ホトケに向かって言い放つ。

「さあ、決着をつけましょう」

 ホトケのLvは142らしい。
 初期ステータスにしては相当なLvね。

 地響きが聞こえる。
 巨大ゴーレムが再び動き出したのだ。
 私は大仏を見上げ対峙する。

 といってもどこか私には余裕があった。
殺し合いなのにだ。私自身気づいている。
 私のレベルは相当高い。それに存在力も他の生徒と比べてみるとケタ違いだった。

 私はもちろん以前に人を殺したことがあるわけじゃないし、身体能力や学力だって他より多少優れているだけだ。
 この数値の高さは何故なのか気になる。

 だが今はホトケとの殺し合いに集中するべきね。私はガラスのような剣を構える。

「決着を着けましょう」

 私は両手でガラス剣を持ち跳躍した。

 迫り来るゴーレムの拳の上に上手く乗りその上を駆ける。
 さらに跳躍し、頭上に移動した。

「……!!!! 」

 私は剣を振り落とすけど跳ね返されてしまう。腕が痺れる。

「硬っ!!」

「無理無理いいいい!!!!!」

 ホトケが手に持つリモコンをまた何やら操作する。巨大ゴーレムは今度は掌からなにやら霧状の何かを出してくる。

 なんか危なげね。

 私は一旦、剣をしまう。
 八蛇の鏡を使って空中にガラスのバリアを召喚する。

 何かしら、この霧は。
 地上の様子を伺ってみると別になんともない。毒ガスみたいなものかしら?

 ホトケが私とゴーレムから距離を取っているし可能性は高そうね。

 私はバリアを張ったまま、地上に降り距離を取る。遠距離攻撃に変えるしかないみたいね。

 ホトケは私を見て高笑いをしていた。

「あははははははははははははははははは!!!!なんだこんなものか生徒会長!!」

 不愉快な笑いが地下に響き渡る。
 確かにホトケは強い。

 だが戦闘慣れもしていないからか隙だらけだった。
 それに攻略方法はいくらでも見つかる。本来ならやはり草壁でも充分戦えたと思う。存在力を使い過ぎてさえなければ…

 それにしてもあのホトケ…。
 私のレベルを…測ってないのかしら。

 私には大きい兵器を手に入れて調子に乗っているただの
 高校生にしか見えなかった。

 私は八蛇の鏡を構える。
 技を発動させよう。

 八蛇の鏡が青白く光る。
 そして音声が流れる。

━━━━━━━━━━━
※技発動
――――――――――
★明鏡止水の法★
━━━━━━━━━━━

 私は戸惑うことなくすぐに発動させた。
 鏡をかざす。

「……………」

 その殺那全ての動きが止まった。
 八蛇の鏡は青白い光を強く放ち続けている。

 辺りが静かになる。
 何もかもが止まり音も何もしなくなる。そしてホトケも巨大ゴーレムも動きが止まっていた。

【10】

 音声が鏡から流れる。私の頭はこれがカウントだとすぐに察した。
 早く倒すさないといけないわね。

 私は剣を構え一気にホトケへと駆け出した。ゴーレムは完全に無視。

【9】

 私は動きの止まっているホトケの目の前に立つ。剣を構え、私は振り下ろした。

 致命傷だ。
 時は止まってるから流血はしないけど。

【7】

 その殺那、音のあるはずのない世界で物音がした。

――ガサッ

 後方の建設中の建物の屋上に不気味な黒い人影がいた。

「………あなた誰かしら? 」

【6】

 ふと瞬きをしたらそこから消え、
 私のすぐ近くに現れる。

 何故、動けるの?
 それに速い……。

 姿はローブ姿で顔には不気味な仮面を着けている。だから顔は分からない。

「戦闘中いきなりすまないな」

「あなた誰よ? 」

「……今は貴公と戦う気はない。こやつの武器が欲しかっただけさ。いただいてくぞ」

「ま、待ちなさい!!!」

 ローブ姿の人はホトケのリモコンを奪うとまたすぐに消えてしまった。

【5】

 私は攻撃をしなかった。
 いや、できなかった。

 嫌な力を感じたからだ。
 もしかしたら勝てない……と思った。

 さっきの不思議なローブ姿の人物はひとまず忘れることにする。
 もうすぐ明鏡止水が終わる……。

【4】
【3】
【2】
【1】

 やがて明鏡止水のが終わる。
 辺りからは音がよみがえる。

 そして。

「がぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

 ホトケから悲鳴が発せられ地面に倒れる音がした。地面には血だらけで目が虚ろなホトケがいた。

「……こ、こんな……」

 何かを言いたいみたいだけど、私には伝わらない。いくら敵と言えど私は人殺し。初めて人を殺したんだ。

 罪悪感がこみ上げてくる。
 ホトケの最後を私は見送った。

 この戦いはまだ悪夢へのほんの始まりに過ぎないことに私は気付いていた。
 まだまだきっとこんなことが続くのだろう。

 私は白い煙を立てて消えていくホトケをただ憐れむしかなかった。

――ピリリリリリリリリッ

 完全にホトケが消滅する。
 すると立心館高校の生徒全員のMSPに【大戦終結】のメールが届いたのだった。

━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーザー名:シモツキ レイさん
――――――――――――――
レベルがLv1021→1034に上がりました★
━━━━━━━━━━━━━━━━

 そしてレベルアップを告げる音声も辺りに響き渡る。

…………
……
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