バインバインになりまして(泣)

みたらしまんじゅう

文字の大きさ
3 / 19
青天の……

しおりを挟む
「は?!」
 見慣れた天井にあるのは、自分の体ほどもあるかという瞳。
 ただただ驚き、腰を抜かして見上げ、これは夢? 夢じゃない? どっち?! と狼狽えていた所、瞳がまばたきをしながら聞いてきました。
「ねぇ、私の声聞こえてるんでしょ?」
 聞こえてますよ、それはもう。
 ただ驚きすぎて返事がすぐに出てこず、こくこくと頭を縦に振って頷くことしかできないだけです。
「あ~、腰抜かしちゃってびっくりしちゃった感じ? まぁ、仕方ないか。急に話しかけられればそうなるよねぇ。んじゃ勝手で悪いけど、ちょいと鑑定しちゃうね。……へぇ、28歳独身で、アパートで一人暮らしの会社員。彼女なし&童貞。ふぅん、真面目ちゃんかぁ、馬鹿よりは良いよね。28かぁ、22くらいが良かったんだけどなぁ、でも肌感とかまだまだ若そうだし、容姿はいくらでも変えようと思えば変えられるしね」
 なんだかナチュラルに失礼なことを言われたような気がしましたが、声はこちらにお構いなしに話を進めました。
「ねぇ、今私困っちゃってんのよ。で、どうしようもない愚痴を吐き捨ててる最中にアンタを見つけたわけ。ちょっと年食ってるけど、アンタは私の理想像のままなんだよね。だからねぇ、これもなにかの縁だと思うんだ。なので、交換しよ」
「こ、交換?」
 ようやく言葉を出せば、瞳が非常に悪いようにニヤリと微笑んだのがわかりました。
「あの、なんか、企んでませんか?」
「あは! まさか!」
 そう言っている瞳は、非常に策略的な印象を与えてくるのです。
「ところでさ、今から『せーの』っていうから『チェンジ』って言ってみて」
「は?」
「せーのって言ったら同時にね!」
「いや、え?」
「いくわよ、せーの」
 矢継ぎ早に言われたため、考える間もなく思わず僕の口が動きます。
「「チェンジ」」
 その瞬間でした。
 くらりとめまいがしたかと思えば、何かに吸い込まれるような感覚に陥り、意識を失う直前には、あのはつらつとした陽キャな、
「マジありがとう! お互い頑張ろうね~」
 という声が聞こえ、「何がだぁー! 」と叫びながら暗転したのです。

 そして、再び目を覚ました時、目の前には見知らぬ天蓋が見え、頭がくらくらする中、上体を起こして、ふぅと息を吐きつつ下をみれば、なんとまぁ見覚えのないものが。
 色白のそれには「谷間」という、当然ながら今まで自分の体ではお目にかかったことのないものがあり、そこは非常に深い渓谷でございました。
 恐る恐る触れてみれば、ふわりと柔らかく両手に収まりきらないたわわなモノで、ちょっと下から叩き上げてみれば、たゆんたゆんするのです。
「……は?」
 ただただ、何が起きたのかわかっているけど分からない状態で、これがついているということは、もしかして……と、股間に手を伸ばせば、28年間繁殖活動に使われること無く、ただ、日々の排泄作業と自己性処理のみでともに歩んできた相棒は跡形もなく消え去っていました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

聖女の、その後

六つ花えいこ
ファンタジー
私は五年前、この世界に“召喚”された。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

処理中です...