バインバインになりまして(泣)

みたらしまんじゅう

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やられたら、やりかえそう!

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「私がエマの縁談を断り続けているのは周知の事実で、連中、断るのを見越して根回しをしていたんだ」
「根回しとは?」
「こちらの了承を待たず、先に国中に発表しちゃったのよ、辺境伯の娘と王子が婚約したってね。じわじわと噂を広げておいて、最後にカミーユ側妃が自ら主催の舞踏会で大々的に発表したの」
「カミーユ側妃、ですか?」
「そう、カミーユ側妃は後ろ盾が少々弱いのよ。カトリーヌ側妃の方が家柄は上で、実家の力もある。だからカミーユ側妃にとってはオルガドが縁戚になれば、一気に力を付けることになるから、どうしても繋がりが欲しかったの。そんな矢先にエマが自分の息子に惚れたと聞かされて企んだのよ」
「ぼk…じゃなかった、私《わたくし》が、惚れた?」
「嘘、というか、完全に自意識過剰の勘違いなんだよ。王子に無駄に迫られたエマが当たり障りなく躱したのを、自分に惚れてると勘違いしたんだ。馬鹿だから」
「あの時、エマ、帰ってきてから荒れまくったもんな。クソが! 死ね! って思いっきり怒鳴ってたからな」
「私《わたくし》はすっごくいやがっていたってことですよね? なのに婚約できちゃうんですか?」
「王も上手く騙されて丸め込まれたからなぁ」
「丸め込まれて……って、大丈夫なんですか? 王様なんですよね?」
「今の治世ではあれくらいがちょうどいいのかもしれん。先代の王のように血気盛んすぎても争いばかりで良くないからな。流されやすいが、普段は宰相が上手くやるから大丈夫なんだ。ただ、今回はカミーユ側妃が宰相に気付かれぬように立ち回ったらしい。お陰で宰相から丁寧な謝罪と懇願の手紙が届いたよ」
「でも、お断りできたはずなんですよね? どうして婚約者に?」
「この話がこの辺境に来た時点で、もうすでに貴族も民衆も噂に噂をよんでお祝いムード全開でね」
「祝ってる連中に否定しようにも、あちらのほうが有利な状態で事が進んでいる上に、こちらの否定材料が足りない状況なのと、宰相からの懇願もあって暫く様子を見ようということで、エマは非常に嫌がったが、とりあえずの婚約者ということになっているんだ。恐らく連中は我々が自領に戻っている隙も付いたに違いない。王都からここまではかなりあるからな。全くそういうところだけに頭の回る連中だ」
「一応宰相の方では撤回できるように動いてくれてるらしいけど、民衆の感情まで宰相がどうにか出来るとは思えないし、この仮の婚約者っていうのも連中にとってはこれ幸いなんだろうよ」
 ふむ、つまりは印象操作をしたわけか。
 っていうことは、結婚させたいのはカミーユ側妃であって王ではない。
 王家にすっぱり断れるってことはそれなりにこっちにも力があるってこと。でも、否定が出来ないってことはそれなりに酷い印象操作ってことかな。
「カミーユ側妃と言うのはそんなにチラチラと頭の回る方なのですか?」
「いや、小狡いところはあるが、小賢いところはないな」
 なるほど、ってことはカミーユ側妃だけの案ではない、その後ろにもう一段回いらっしゃるようなきがするね。
「あと、王子っていう方はどんな方なんです?」
「カミーユ側妃の息子で第二王子のピエール、端的に言うと顔だけは良い筋肉バカ」
 ……あぁ、エマニュエルさんの筋肉嫌いってこういうこと。
 ってことは、もしかしたら筋肉って言うより第二王子が嫌いなのかも。
 さらに、パッケージにあったのは、その顔だけが取り柄の第二王子の可能性があるな。
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