12 / 24
2章 芸能界デビュー編
秋吉小町との初仕事 3
しおりを挟む
『今日の放送はここまでです!ご清聴ありがとうございました!』
『ありがとうございました!』
質問コーナーとエンディングトークが終わり、俺たちは収録を終える。
「ありがとう、小町。小町のおかげで緊張せず楽しい収録ができたよ」
「いえいえ!ウチも先輩との収録、とても楽しかったです!」
その言葉に嘘はないそうで、とても可愛らしい笑顔を向ける。
そんな俺たちのもとへディレクターの羽柴さんが話しかけてきた。
「息のあったトークで素晴らしい収録だったぞ」
「「ありがとうございます!」」
初めての収録で上手くできているか不安だったが羽柴さんの言葉に安堵する。
「昔から交流があったってのは強みだ。小町はいつも以上にやりやすかっただろう」
「そうですね。いつもなら変な間ができないよう意識して話してましたが、今日は普通にクロ先輩と大学で話してる感じでした」
「だろうな。聞いてて伝わってきたよ。じゃあ早速反省会だ」
そう言って羽柴さんから幾つか注意点をもらう。
「最後にその部分だけ取り直してみよう」
「「分かりました!」」
俺たちは羽柴さんの指示に従い、一部分だけ撮り直しを行う。
「よしっ、これでいこう。お疲れ様」
「「お疲れ様でした!」」
そして無事撮り直しが終わり、解散となる。
「せーんぱいっ!」
満面の笑みで小町が駆け寄る。
「今日はありがとうございました!また一緒に収録しましょうね!」
「あぁ。また小町と一緒に仕事できるよう頑張るよ。それと小町も頑張れよ。俺、小町が出演するアニメ、楽しみにしてるから」
「っ!せ、先輩、ウチが出るアニメ見てくれてたんだ」
「当たり前だ。昔、言っただろ?俺は小町の声が好きだって」
「そっ、そうですね。その言葉がキッカケで声優を目指しましたから」
嬉しそうな顔をして答える小町。
「やっぱり先輩からの応援が一番力になります」
「そうか。これくらいならいつでも言ってやるよ。だからお互い頑張ろうな」
「はいっ!」
こうして俺は小町と別れ、神里さんと合流した。
神里さんの車で帰宅する。
「初めての収録はどうでしたか?」
「そうですね、小町のおかげで思った以上に緊張しませんでした」
「2人とも楽しそうに話してましたよ。これは放送が楽しみですね」
「確か3週間後に放送されるんですよね?」
「はい。収録も終わったのであとは放送されるのを待つだけですね。そして明日はモリタさんと全国の秘境を巡る旅番組の撮影です。明日も今日と同じ時間に迎えに行きますね」
「お願いします」
そんな会話をしながら、俺は家に帰った。
~秋吉小町視点~
クロ先輩との収録が終わったウチは家に帰って自室に入り、ベットにダイブする。
「クロ先輩、髪を切ってより一層カッコ良かったなぁ」
髪を切る前の先輩もカッコ良かったが、髪を切ったことでカッコ良さが倍増し、最初に先輩を見た時はカッコ良すぎて気絶しかけた。
本気であの時気絶しなかった自分を褒めたいくらいだ。
「収録はとても楽しかった。今までたくさんのゲストと収録してきたけど、ぶっちぎりでクロ先輩との収録が楽しかった。そして収録後はウチの声を褒めてくれた」
その時の光景がふと蘇る。
『言っただろ?俺は小町の声が好きだって』
「~~~っ!」
その言葉を思い出すだけで顔がニヤけてしまい、枕に顔を埋めながら足をバタバタさせる。
今も昔と変わらずウチの声を褒めてくれたことがとても嬉しい。
「先輩は引っ込み思案だったウチに楽しい世界を教えてくれた。そのおかげで今のウチがいる」
ウチは小さい頃、引っ込み思案で人見知りが激しく、見知らぬ人と上手く話せなかった。
そのせいでウチは自分の両親と小さい頃から一緒にいたクロ先輩、紫乃ちゃん、クロ先輩たちの両親しかまともに話せなかった。
そんなウチは自分が嫌いになり、当時小学生だったクロ先輩と紫乃ちゃんに相談した。
すると…
『小町の良いところはたくさんあるぞ』
『だね!だって小町ちゃんは可愛いもんっ!だよね!お兄ちゃんっ!』
『そっ、そうだな。俺も小町は可愛いと思うぞ』
クロ先輩が照れながら肯定してくれる。
『それに俺は小町の声が好きだ。透き通っててずっと聴きたくなるほど綺麗な声が。だから小町は自信を持って話しかけてみろ。小町の声を聴いて無視する人なんていないから』
そう言って励ましてくれた。
その日以降、先輩が褒めてくれた声を信じて他人と話すようにした。
最初は先輩が側でサポートしてくれたが、徐々に先輩のサポート抜きで話せるようになり、毎日が楽しくなった。
そして自分のことではないのに率先して動いてくれた先輩がとてもカッコよく見え、気がつけば先輩のことが好きになった。
これが小学校低学年の話。
「でもウチは自分を悪く言う先輩を助けられなかった」
先輩が小学6年生の時、先輩のお父さんが亡くなった。
亡くなった原因はクロ先輩にあったらしく、その日を境に先輩は自分自身を悪く言うようになった。
そんな先輩をウチは元気づけることができず、自己評価の低い先輩が完成してしまった。
そしてウチは小学校を卒業すると同時に遠くへ引っ越してしまい、先輩たちとは疎遠になった。
「遠くからでも先輩を元気付けることができないかと思い、始めたのが声優だったなぁ」
先輩が褒めてくれたウチの声を先輩が聞けば、先輩が元気になるかもしれない。
そう思ったウチは思い切って声優の道に飛び込んだ。
そして数年後。
本名で活動したことと顔出しをしたことで先輩はウチが声優になったことに気づいたようで、親のスマホを通してウチに連絡をくれた。
何年かぶりに先輩の声を聴いた時は嬉しさのあまり泣きそうになったが、先輩の自己評価が変わっていない事に気がつき、ウチは先輩に会いにいくことを決めた。
「一緒の大学に通った理由は先輩の自己評価を治すことだったけど、紫乃ちゃんが解決してくれた。だからウチは先輩と結婚するために全力を注ぐ!」
再会してから幾度となくアプローチをしてきたが自己評価の低かった先輩はウチのアプローチを躱し続け、全くウチを異性として意識してくれなかった。
しかし紫乃ちゃんからの情報によれば自己評価は改善し、心境にも変化が現れたらしい。
「先輩のカッコ良さが全国に広まってしまったことは誤算だけど、先輩の外見しか知らない人たちに先輩の心は奪わせない!絶対、ウチは先輩と結婚する!だから待っててくださいね!先輩っ!」
クロ先輩が表紙を飾る『読者モデル』Styleを手に取り呟いた。
『ありがとうございました!』
質問コーナーとエンディングトークが終わり、俺たちは収録を終える。
「ありがとう、小町。小町のおかげで緊張せず楽しい収録ができたよ」
「いえいえ!ウチも先輩との収録、とても楽しかったです!」
その言葉に嘘はないそうで、とても可愛らしい笑顔を向ける。
そんな俺たちのもとへディレクターの羽柴さんが話しかけてきた。
「息のあったトークで素晴らしい収録だったぞ」
「「ありがとうございます!」」
初めての収録で上手くできているか不安だったが羽柴さんの言葉に安堵する。
「昔から交流があったってのは強みだ。小町はいつも以上にやりやすかっただろう」
「そうですね。いつもなら変な間ができないよう意識して話してましたが、今日は普通にクロ先輩と大学で話してる感じでした」
「だろうな。聞いてて伝わってきたよ。じゃあ早速反省会だ」
そう言って羽柴さんから幾つか注意点をもらう。
「最後にその部分だけ取り直してみよう」
「「分かりました!」」
俺たちは羽柴さんの指示に従い、一部分だけ撮り直しを行う。
「よしっ、これでいこう。お疲れ様」
「「お疲れ様でした!」」
そして無事撮り直しが終わり、解散となる。
「せーんぱいっ!」
満面の笑みで小町が駆け寄る。
「今日はありがとうございました!また一緒に収録しましょうね!」
「あぁ。また小町と一緒に仕事できるよう頑張るよ。それと小町も頑張れよ。俺、小町が出演するアニメ、楽しみにしてるから」
「っ!せ、先輩、ウチが出るアニメ見てくれてたんだ」
「当たり前だ。昔、言っただろ?俺は小町の声が好きだって」
「そっ、そうですね。その言葉がキッカケで声優を目指しましたから」
嬉しそうな顔をして答える小町。
「やっぱり先輩からの応援が一番力になります」
「そうか。これくらいならいつでも言ってやるよ。だからお互い頑張ろうな」
「はいっ!」
こうして俺は小町と別れ、神里さんと合流した。
神里さんの車で帰宅する。
「初めての収録はどうでしたか?」
「そうですね、小町のおかげで思った以上に緊張しませんでした」
「2人とも楽しそうに話してましたよ。これは放送が楽しみですね」
「確か3週間後に放送されるんですよね?」
「はい。収録も終わったのであとは放送されるのを待つだけですね。そして明日はモリタさんと全国の秘境を巡る旅番組の撮影です。明日も今日と同じ時間に迎えに行きますね」
「お願いします」
そんな会話をしながら、俺は家に帰った。
~秋吉小町視点~
クロ先輩との収録が終わったウチは家に帰って自室に入り、ベットにダイブする。
「クロ先輩、髪を切ってより一層カッコ良かったなぁ」
髪を切る前の先輩もカッコ良かったが、髪を切ったことでカッコ良さが倍増し、最初に先輩を見た時はカッコ良すぎて気絶しかけた。
本気であの時気絶しなかった自分を褒めたいくらいだ。
「収録はとても楽しかった。今までたくさんのゲストと収録してきたけど、ぶっちぎりでクロ先輩との収録が楽しかった。そして収録後はウチの声を褒めてくれた」
その時の光景がふと蘇る。
『言っただろ?俺は小町の声が好きだって』
「~~~っ!」
その言葉を思い出すだけで顔がニヤけてしまい、枕に顔を埋めながら足をバタバタさせる。
今も昔と変わらずウチの声を褒めてくれたことがとても嬉しい。
「先輩は引っ込み思案だったウチに楽しい世界を教えてくれた。そのおかげで今のウチがいる」
ウチは小さい頃、引っ込み思案で人見知りが激しく、見知らぬ人と上手く話せなかった。
そのせいでウチは自分の両親と小さい頃から一緒にいたクロ先輩、紫乃ちゃん、クロ先輩たちの両親しかまともに話せなかった。
そんなウチは自分が嫌いになり、当時小学生だったクロ先輩と紫乃ちゃんに相談した。
すると…
『小町の良いところはたくさんあるぞ』
『だね!だって小町ちゃんは可愛いもんっ!だよね!お兄ちゃんっ!』
『そっ、そうだな。俺も小町は可愛いと思うぞ』
クロ先輩が照れながら肯定してくれる。
『それに俺は小町の声が好きだ。透き通っててずっと聴きたくなるほど綺麗な声が。だから小町は自信を持って話しかけてみろ。小町の声を聴いて無視する人なんていないから』
そう言って励ましてくれた。
その日以降、先輩が褒めてくれた声を信じて他人と話すようにした。
最初は先輩が側でサポートしてくれたが、徐々に先輩のサポート抜きで話せるようになり、毎日が楽しくなった。
そして自分のことではないのに率先して動いてくれた先輩がとてもカッコよく見え、気がつけば先輩のことが好きになった。
これが小学校低学年の話。
「でもウチは自分を悪く言う先輩を助けられなかった」
先輩が小学6年生の時、先輩のお父さんが亡くなった。
亡くなった原因はクロ先輩にあったらしく、その日を境に先輩は自分自身を悪く言うようになった。
そんな先輩をウチは元気づけることができず、自己評価の低い先輩が完成してしまった。
そしてウチは小学校を卒業すると同時に遠くへ引っ越してしまい、先輩たちとは疎遠になった。
「遠くからでも先輩を元気付けることができないかと思い、始めたのが声優だったなぁ」
先輩が褒めてくれたウチの声を先輩が聞けば、先輩が元気になるかもしれない。
そう思ったウチは思い切って声優の道に飛び込んだ。
そして数年後。
本名で活動したことと顔出しをしたことで先輩はウチが声優になったことに気づいたようで、親のスマホを通してウチに連絡をくれた。
何年かぶりに先輩の声を聴いた時は嬉しさのあまり泣きそうになったが、先輩の自己評価が変わっていない事に気がつき、ウチは先輩に会いにいくことを決めた。
「一緒の大学に通った理由は先輩の自己評価を治すことだったけど、紫乃ちゃんが解決してくれた。だからウチは先輩と結婚するために全力を注ぐ!」
再会してから幾度となくアプローチをしてきたが自己評価の低かった先輩はウチのアプローチを躱し続け、全くウチを異性として意識してくれなかった。
しかし紫乃ちゃんからの情報によれば自己評価は改善し、心境にも変化が現れたらしい。
「先輩のカッコ良さが全国に広まってしまったことは誤算だけど、先輩の外見しか知らない人たちに先輩の心は奪わせない!絶対、ウチは先輩と結婚する!だから待っててくださいね!先輩っ!」
クロ先輩が表紙を飾る『読者モデル』Styleを手に取り呟いた。
83
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる