少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部

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芸能界編

新しい仕事 2

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 あれから涼宮さんのマネージャーに家まで送ってもらう。

「今日はありがと。おかげで自分の歌に自信が持てたよ」
「いえいえ!私の方こそダンスを見てくれてありがと!」
「全くアドバイスできなかったけどな」
「ううん!シロくんが見てくれたってところが大事だから私にとっては良い練習になったよ!」
「そうか。それなら良かったよ」

 そんなやり取りをして車を降りる。

「シロくん!今日は梨奈が邪魔したから今度は二人きりでデートしようね!」
「……え?あれ、本気なの?」
「もちろん!また連絡するね!」
「あ、あぁ。その時が来たら連絡してくれ」

 そう答えた後、車を見送って家に入る。

「ただいまー」
「あ、お兄ちゃん!おかえりー!今、神野さんが来てるよー!」
「え、電話でもよかったのに!」

 俺は慌ててリビングへと向かう。

「すみません、神野さん。用事があって出かけていました」
「いえいえ!連絡なくコチラに伺った私が悪いですから気にしなくて良いですよ!むしろ楓先生と小説の話ができて楽しかったです!」
「神野さん、私のファンだったようね」
「サイン本をいただいちゃいました!」

 そう言って嬉しそうに見せる神野さん。
 どうやら俺がいない間、母さんや桜がもてなしてくれたようだ。

「今日はコチラをお届けに来ました!お仕事の話もあるのですが、日向さんが留守の場合は後ほど電話させていただく予定でした!」

 そう言って神野さんが大きな紙袋を俺に渡す。

「あのぉ。これって、もしかして――」
「はい!日向さん宛のファンレターです!今回も軽く10000通は超えてますね!」
「またかよ!」

 紙袋を見た瞬間、そんな予感はしていた。

「何通か開けてみますか?」
「いえ。時間がある時、ゆっくりと確認します」

(前回同様、訳の分からない事ばかり書かれてそうだからな)

 そんなことを思いつつ、もう一つの要件を問いかける。

「ファンレター以外にも話があるんですよね?」
「はい!日向さんへ新しいお仕事の依頼です!来週、日向さんたちの写真集を撮ろうと考えてます!」
「今度は写真集ですか。俺の写真集なんか売れないと思うので断ろうと――」
「ダメだよ!写真集だよ!これは受けるべきだよ!」

 ものすごい迫力で桜に止められる。

「な、なぜだ?」
「え、えーっと。わ、私がお兄ちゃんの写真集が欲しいから」

 すると今度は一転、モジモジしながら桜が答える。

「な、なるほど。俺の黒歴史写真集を手に入れて俺を脅すつもりか。考えたな桜」
「そっ、そんなこと――」
「日向さん、安心してください!今回は日向さんだけの写真集じゃないので黒歴史にはならないと思いますよ!」

 桜が何かを言っていたが神野さんと言葉が被り、かき消される。

「いや写真集に俺が載ること自体が黒歴史なのですが。まぁ、とりあえず話だけは聞きます」
「ありがとうございます」

 そう言って一拍置く。

「なんとですね。今回、星野ミクさんと二人でイチャイチャカップル写真集を撮っていただきます!ちなみにイチャイチャカップル写真集は業界初の試みなので、売れるかは未知数です!」
「より一層嫌になったんだけど!俺、ミクさんのファンから殺されるんだけど!」

(「俺のミクちゃんに近づくんじゃねぇ!」って言われながら刺し殺される未来が見える!)

「えっ!待って!それなら私は反対だよ!」
「桜はどっちの味方なんだ!?」

 そして何故か突然、俺の味方になる。

「お兄ちゃん!これは絶対断るべきだよ!」
「あぁ。俺もそう思う。だから桜は俺の援護を頼むぞ」
「まかせてー!」

 桜を仲間に引き入れて神野さんへ対抗する。

「絶対やらない方がいいと思います!」
「私もお兄ちゃんに賛成です!」

 2人一緒に反対するが、なぜか神野さんが余裕の笑みを浮かべる。

「分かってます。私も反対されると思ってました。なので楓先生の力を借りました!」

 その言葉を待っていたかのように、隣にいた母さんが動き出す。

(やべぇ!嫌な予感しかしねぇ!)

 そんなことを思い、身構える。

「真白くん。さっそくなんだけど、良いニュースと悪いニュースがあるわ」
「また!?数日前もこのパターンあったぞ!?」
「さぁ、どっちから聞きたいかしら?」
「そ、そうだなぁ。前回は悪いニュースから聞いたんで今回は良いニュースからで」
「わかったわ。良いニュースは隣の家に住んでいる老夫婦の娘さんに3人目の子供が産まれたことよ」
「誰それ!?俺に関係のないことなんだけど!」

 確かに良いニュースではあるが、俺に無関係過ぎて手放しに喜べない。

「で、次が悪いニュースになるのだけど、その写真集の依頼、私が了承したから、もう断れないわ」
「先に言えよ!」

 やはり嫌な予感は的中したようだ。

「だって真白くんが後に聞きたいって」
「確かにそう言ったけど、良いニュースの内容が喜べる内容かと思ったんだよ!」

 俺の予定では良いニュースを盛大に喜ぶことで、悪いニュースを忘れる予定だった。
 しかし手放しに喜べる内容ではなかったので微妙な反応となる。

「あら。とても良いニュースだと思ったのだけど」
「良いニュースだよ!?でも『わ~おめでと~!』くらいしかならないから!」
「私の気遣いが無駄だったと言いたいのかしら?少しでもガッカリする気持ちを抑えようと、私なりに配慮したのだけど」
「いや気遣いは嬉しいんだよ!でも良いニュースの内容が――」
「じゃあ、そういうことだから」

 そう言って母さんがリビングから出て行く。

「えぇー。言いたいことだけ言って出て行ったんだけど」
「というわけで日向さん!よろしくお願いしますね!」
「………はい」

 俺は頷くしかできず、仕事を引き受けることにする。

(だから神野さん、終始ニコニコしてだんだな)

 そんなことを思う。
 その横で桜が「なんでお母さんは引き受けたのよー!」と言いながら部屋から飛び出す。

「い、忙しい奴だなぁ」
「ふふっ、桜ちゃんは可愛いですね」

 その様子を見て、神野さんが微笑ましそうに呟いた。
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