31 / 165
幼少期編
1 今世より 伯爵令嬢で悪役な私
しおりを挟む
―――パチリ。
目が覚めたら、見知らぬ天井にいました。
私は重たい体をのそのそと起き上がらせて、ぼーっとしてみる。
ああ、ここは病院か。
確か私は仕事しすぎて過労で倒れてしまったんだろう、部下が気づいて救急車を呼んでくれたに違いない。
ったく、まだ仕事の案件が沢山残っているというのに、休む暇なんてない。
とっとと職場兼住居(家は別)に帰らなくては。
私はおちついて周りを見渡してみる。
部屋は個室用のようで、目茶苦茶広い。
私の部屋の二つ分くらいだから40畳はあるんじゃなかろうか。
部屋は淡いピンクを基調としたかわいらしいものがいっぱいだ。
うさぎやくまのぬいぐるみが大量に置かれており、カーテンなどの布類には必ずフリフリかレースが付いている。
全体的に50代の私が目に入れるには厳しいものを感じさせる作りだ。
「うわぁ………」
ここが…、病院?
ありえない、その証拠にこのベッドはとてもフカフカだった。
病院のベッドは人工呼吸ができるようにある程度固いもの、だったら。
「―――ここどこ?」
私は眉を寄せて、ぼそりとつぶやいた。
ここがどこなのかわからないが、ずっとここにいるのも嫌だったのでベッドからぴょんと降り立つ。
このベッドはすごく大きいし高くてちょっと使いずらかった。
…いや、ベッドだけじゃない。
私はさらに眉に深いしわを付ける。
この部屋にあるものは全体的に大きくて高かった。
椅子なんか座るところが丁度私の腹の高さである。
「高すぎ………」
―――いや。
私は視界に移った自分の手を見て別の考えにたどり着く。
「―――私が小さいの……?」
なんだこれは、これはまるで………。
私はザッと冷や汗をかいた。
それと丁度、同時にとてもいい細工がされているアンティークのような扉が開いた。
「サラお嬢様~、起きていらっしゃいますか~?」
声と共にメイド服を着たお団子頭のかわいらしい女性が入ってくる。
サラ…、誰だそれは…。
しかしこの部屋には今入ってきたこの女性以外私しかいない。
だが、私の名前はサラではなくサエだ。
私が驚きのあまりに固まっていると、メイドは不思議そうにこちらを見つめてきた。
「大丈夫ですか?起きたばかりで頭がぼうっとしているかもしれませんが、今日はエリック様が早番ではないので家族皆さまでの朝食となります。なので早々に着替えてもらいますね」
メイドは本当に急いでいるらしく、戸惑う私をよそにネグリジェを脱がし、かわいらしいワンピースのようなドレスに着替えさせる。
あまりの手早さに私はそれを黙ってみていることしかできなかった。
髪も軽く結い上げて着替えが終わったかと思うと手を引かれて速足で部屋から出て、いかにも高そうな絨毯の敷かれた廊下をパタパタと進んでいく。
すると私がいた部屋同様に両面開きの扉の前でピタリと止まった。
壁に掛けてある絵やら、花瓶やらに目が行っていた私はトスンとメイドにぶつかってしまった。
「サラお嬢様!?大丈夫ですか!…すみません急に止まってしまって」
メイドは見るからにしゅんと項垂れた。
その様子はまるで飼い主に怒られた柴犬そのものだ、髪色も相まってとてもかわいらしい。
「大丈夫です、私が少しよそ見をしてしまったのですから。あなたに落ち度はありませんよ?」
その言葉にメイドは雷にでも打たれたかのようにぴしゃりと固まった。
…あれ、気を使ったつもりなのに。
私、なんかおかしなこと言ったか?
「………、はっ!そう、でした、朝食…。………サラお嬢様、ありがとう、ございます」
ぎこちないが返事をしてくれたメイドに私はほっと溜息をついた。
メイドは首をひねりながら重々しい扉をガチャリと開けた。
「お待たせいたしました、サラお嬢様をお連れいたしました」
目が覚めたら、見知らぬ天井にいました。
私は重たい体をのそのそと起き上がらせて、ぼーっとしてみる。
ああ、ここは病院か。
確か私は仕事しすぎて過労で倒れてしまったんだろう、部下が気づいて救急車を呼んでくれたに違いない。
ったく、まだ仕事の案件が沢山残っているというのに、休む暇なんてない。
とっとと職場兼住居(家は別)に帰らなくては。
私はおちついて周りを見渡してみる。
部屋は個室用のようで、目茶苦茶広い。
私の部屋の二つ分くらいだから40畳はあるんじゃなかろうか。
部屋は淡いピンクを基調としたかわいらしいものがいっぱいだ。
うさぎやくまのぬいぐるみが大量に置かれており、カーテンなどの布類には必ずフリフリかレースが付いている。
全体的に50代の私が目に入れるには厳しいものを感じさせる作りだ。
「うわぁ………」
ここが…、病院?
ありえない、その証拠にこのベッドはとてもフカフカだった。
病院のベッドは人工呼吸ができるようにある程度固いもの、だったら。
「―――ここどこ?」
私は眉を寄せて、ぼそりとつぶやいた。
ここがどこなのかわからないが、ずっとここにいるのも嫌だったのでベッドからぴょんと降り立つ。
このベッドはすごく大きいし高くてちょっと使いずらかった。
…いや、ベッドだけじゃない。
私はさらに眉に深いしわを付ける。
この部屋にあるものは全体的に大きくて高かった。
椅子なんか座るところが丁度私の腹の高さである。
「高すぎ………」
―――いや。
私は視界に移った自分の手を見て別の考えにたどり着く。
「―――私が小さいの……?」
なんだこれは、これはまるで………。
私はザッと冷や汗をかいた。
それと丁度、同時にとてもいい細工がされているアンティークのような扉が開いた。
「サラお嬢様~、起きていらっしゃいますか~?」
声と共にメイド服を着たお団子頭のかわいらしい女性が入ってくる。
サラ…、誰だそれは…。
しかしこの部屋には今入ってきたこの女性以外私しかいない。
だが、私の名前はサラではなくサエだ。
私が驚きのあまりに固まっていると、メイドは不思議そうにこちらを見つめてきた。
「大丈夫ですか?起きたばかりで頭がぼうっとしているかもしれませんが、今日はエリック様が早番ではないので家族皆さまでの朝食となります。なので早々に着替えてもらいますね」
メイドは本当に急いでいるらしく、戸惑う私をよそにネグリジェを脱がし、かわいらしいワンピースのようなドレスに着替えさせる。
あまりの手早さに私はそれを黙ってみていることしかできなかった。
髪も軽く結い上げて着替えが終わったかと思うと手を引かれて速足で部屋から出て、いかにも高そうな絨毯の敷かれた廊下をパタパタと進んでいく。
すると私がいた部屋同様に両面開きの扉の前でピタリと止まった。
壁に掛けてある絵やら、花瓶やらに目が行っていた私はトスンとメイドにぶつかってしまった。
「サラお嬢様!?大丈夫ですか!…すみません急に止まってしまって」
メイドは見るからにしゅんと項垂れた。
その様子はまるで飼い主に怒られた柴犬そのものだ、髪色も相まってとてもかわいらしい。
「大丈夫です、私が少しよそ見をしてしまったのですから。あなたに落ち度はありませんよ?」
その言葉にメイドは雷にでも打たれたかのようにぴしゃりと固まった。
…あれ、気を使ったつもりなのに。
私、なんかおかしなこと言ったか?
「………、はっ!そう、でした、朝食…。………サラお嬢様、ありがとう、ございます」
ぎこちないが返事をしてくれたメイドに私はほっと溜息をついた。
メイドは首をひねりながら重々しい扉をガチャリと開けた。
「お待たせいたしました、サラお嬢様をお連れいたしました」
1
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
