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幼少期編
1 今世より 伯爵令嬢で悪役な私
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―――パチリ。
目が覚めたら、見知らぬ天井にいました。
私は重たい体をのそのそと起き上がらせて、ぼーっとしてみる。
ああ、ここは病院か。
確か私は仕事しすぎて過労で倒れてしまったんだろう、部下が気づいて救急車を呼んでくれたに違いない。
ったく、まだ仕事の案件が沢山残っているというのに、休む暇なんてない。
とっとと職場兼住居(家は別)に帰らなくては。
私はおちついて周りを見渡してみる。
部屋は個室用のようで、目茶苦茶広い。
私の部屋の二つ分くらいだから40畳はあるんじゃなかろうか。
部屋は淡いピンクを基調としたかわいらしいものがいっぱいだ。
うさぎやくまのぬいぐるみが大量に置かれており、カーテンなどの布類には必ずフリフリかレースが付いている。
全体的に50代の私が目に入れるには厳しいものを感じさせる作りだ。
「うわぁ………」
ここが…、病院?
ありえない、その証拠にこのベッドはとてもフカフカだった。
病院のベッドは人工呼吸ができるようにある程度固いもの、だったら。
「―――ここどこ?」
私は眉を寄せて、ぼそりとつぶやいた。
ここがどこなのかわからないが、ずっとここにいるのも嫌だったのでベッドからぴょんと降り立つ。
このベッドはすごく大きいし高くてちょっと使いずらかった。
…いや、ベッドだけじゃない。
私はさらに眉に深いしわを付ける。
この部屋にあるものは全体的に大きくて高かった。
椅子なんか座るところが丁度私の腹の高さである。
「高すぎ………」
―――いや。
私は視界に移った自分の手を見て別の考えにたどり着く。
「―――私が小さいの……?」
なんだこれは、これはまるで………。
私はザッと冷や汗をかいた。
それと丁度、同時にとてもいい細工がされているアンティークのような扉が開いた。
「サラお嬢様~、起きていらっしゃいますか~?」
声と共にメイド服を着たお団子頭のかわいらしい女性が入ってくる。
サラ…、誰だそれは…。
しかしこの部屋には今入ってきたこの女性以外私しかいない。
だが、私の名前はサラではなくサエだ。
私が驚きのあまりに固まっていると、メイドは不思議そうにこちらを見つめてきた。
「大丈夫ですか?起きたばかりで頭がぼうっとしているかもしれませんが、今日はエリック様が早番ではないので家族皆さまでの朝食となります。なので早々に着替えてもらいますね」
メイドは本当に急いでいるらしく、戸惑う私をよそにネグリジェを脱がし、かわいらしいワンピースのようなドレスに着替えさせる。
あまりの手早さに私はそれを黙ってみていることしかできなかった。
髪も軽く結い上げて着替えが終わったかと思うと手を引かれて速足で部屋から出て、いかにも高そうな絨毯の敷かれた廊下をパタパタと進んでいく。
すると私がいた部屋同様に両面開きの扉の前でピタリと止まった。
壁に掛けてある絵やら、花瓶やらに目が行っていた私はトスンとメイドにぶつかってしまった。
「サラお嬢様!?大丈夫ですか!…すみません急に止まってしまって」
メイドは見るからにしゅんと項垂れた。
その様子はまるで飼い主に怒られた柴犬そのものだ、髪色も相まってとてもかわいらしい。
「大丈夫です、私が少しよそ見をしてしまったのですから。あなたに落ち度はありませんよ?」
その言葉にメイドは雷にでも打たれたかのようにぴしゃりと固まった。
…あれ、気を使ったつもりなのに。
私、なんかおかしなこと言ったか?
「………、はっ!そう、でした、朝食…。………サラお嬢様、ありがとう、ございます」
ぎこちないが返事をしてくれたメイドに私はほっと溜息をついた。
メイドは首をひねりながら重々しい扉をガチャリと開けた。
「お待たせいたしました、サラお嬢様をお連れいたしました」
目が覚めたら、見知らぬ天井にいました。
私は重たい体をのそのそと起き上がらせて、ぼーっとしてみる。
ああ、ここは病院か。
確か私は仕事しすぎて過労で倒れてしまったんだろう、部下が気づいて救急車を呼んでくれたに違いない。
ったく、まだ仕事の案件が沢山残っているというのに、休む暇なんてない。
とっとと職場兼住居(家は別)に帰らなくては。
私はおちついて周りを見渡してみる。
部屋は個室用のようで、目茶苦茶広い。
私の部屋の二つ分くらいだから40畳はあるんじゃなかろうか。
部屋は淡いピンクを基調としたかわいらしいものがいっぱいだ。
うさぎやくまのぬいぐるみが大量に置かれており、カーテンなどの布類には必ずフリフリかレースが付いている。
全体的に50代の私が目に入れるには厳しいものを感じさせる作りだ。
「うわぁ………」
ここが…、病院?
ありえない、その証拠にこのベッドはとてもフカフカだった。
病院のベッドは人工呼吸ができるようにある程度固いもの、だったら。
「―――ここどこ?」
私は眉を寄せて、ぼそりとつぶやいた。
ここがどこなのかわからないが、ずっとここにいるのも嫌だったのでベッドからぴょんと降り立つ。
このベッドはすごく大きいし高くてちょっと使いずらかった。
…いや、ベッドだけじゃない。
私はさらに眉に深いしわを付ける。
この部屋にあるものは全体的に大きくて高かった。
椅子なんか座るところが丁度私の腹の高さである。
「高すぎ………」
―――いや。
私は視界に移った自分の手を見て別の考えにたどり着く。
「―――私が小さいの……?」
なんだこれは、これはまるで………。
私はザッと冷や汗をかいた。
それと丁度、同時にとてもいい細工がされているアンティークのような扉が開いた。
「サラお嬢様~、起きていらっしゃいますか~?」
声と共にメイド服を着たお団子頭のかわいらしい女性が入ってくる。
サラ…、誰だそれは…。
しかしこの部屋には今入ってきたこの女性以外私しかいない。
だが、私の名前はサラではなくサエだ。
私が驚きのあまりに固まっていると、メイドは不思議そうにこちらを見つめてきた。
「大丈夫ですか?起きたばかりで頭がぼうっとしているかもしれませんが、今日はエリック様が早番ではないので家族皆さまでの朝食となります。なので早々に着替えてもらいますね」
メイドは本当に急いでいるらしく、戸惑う私をよそにネグリジェを脱がし、かわいらしいワンピースのようなドレスに着替えさせる。
あまりの手早さに私はそれを黙ってみていることしかできなかった。
髪も軽く結い上げて着替えが終わったかと思うと手を引かれて速足で部屋から出て、いかにも高そうな絨毯の敷かれた廊下をパタパタと進んでいく。
すると私がいた部屋同様に両面開きの扉の前でピタリと止まった。
壁に掛けてある絵やら、花瓶やらに目が行っていた私はトスンとメイドにぶつかってしまった。
「サラお嬢様!?大丈夫ですか!…すみません急に止まってしまって」
メイドは見るからにしゅんと項垂れた。
その様子はまるで飼い主に怒られた柴犬そのものだ、髪色も相まってとてもかわいらしい。
「大丈夫です、私が少しよそ見をしてしまったのですから。あなたに落ち度はありませんよ?」
その言葉にメイドは雷にでも打たれたかのようにぴしゃりと固まった。
…あれ、気を使ったつもりなのに。
私、なんかおかしなこと言ったか?
「………、はっ!そう、でした、朝食…。………サラお嬢様、ありがとう、ございます」
ぎこちないが返事をしてくれたメイドに私はほっと溜息をついた。
メイドは首をひねりながら重々しい扉をガチャリと開けた。
「お待たせいたしました、サラお嬢様をお連れいたしました」
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