その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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学園編

55 バレた

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「っと、そんなこと考えてる暇ないんだった。早く着替えないと」
私は制服に手を掛けた。
同時に、扉がガチャリと開く。

「えっ?」
「あ」

ーーーお兄様が帰ってきた!?

「……えっと」
「……」
お、落ち着け!
私は今、男に化けてるから、お兄様に気が付かれるわけがない。
ここは部屋を間違えたことに……。

「サラだよね?」
「ええぇーー!?」
なぜ、バレる?!

言ってから私はしまったと口を閉ざした。
これじゃあ肯定しているようなものじゃないか。

「えーっと、人違いだ」
「いや、サラだよ。僕が間違うわけないでしょ?」
どういう理屈ですか、それ。

しかし、バレたからには仕方がない。
この兄に嘘を言うのはそもそも無理があり、その場は納得させてもどうせ調べるだろうから、後からバレてしまう。
お兄様のカゲたちは優秀だから、なかなか惑わせないんだよねー。

「あー、はい。サラですわ、ごめんなさい……」
お兄様は「やっぱり」と呟いている。
なぜ、わかるのだろうか。
不思議で堪らない。

「で、それは僕の制服?」
「そ、そうですわ……」
鋭い……。
いつものぐでっとした様子からはあまり感じられない鋭利な表情が、お兄様が仕事帰りで疲れているということを物語った。
それが分かったから、私は呆れた。

「……にいに、もしかしなくても忙しいですよね?」
ギクリとお兄様の目が泳ぐ。
「はぁ、やっぱり全然暇じゃないじゃないですか……」

「……面目無い」
この兄はいつもはちゃんとしているのに、途端どこか抜ける時がある。
その尻拭いは大抵私だ。

「研究が、すこし滞っていて……」
お兄様はどこがどう遅れているのか、私に説明してくれた。
「ーーーわかりましたわ。その様子ならば、どうせ私は呼ばれていたのでしょう?」
「!ああ、それで今回の件はチャラにしよう。父上には報告しない」

お兄様はニコリと笑う。
「でも」
そして、いつものお兄様に戻る。
「僕ね、ただでさえモテるサァラが、そんな格好いい姿しちゃったら女の子にもモテちゃうんじゃないかって、心配なんだよ?」

「ない、ですわ。いらない心配はしないでくださいませ」
ハッキリとそう言う。
どんなに頑張ってもこのつり目は直せそうにないからだ。

「いいや、僕には君がーーー」
「それはお兄様だけですわ」

前のめりに言うとお兄様は黙りコクった。
自覚はあるんだな、シスコン。

『くふふ……。サラ、いつまでそんな姿でいるつもりだ?はよう元に戻らんか、ふふっ』
呆れている私にルスピニーが脳内で語りかけてきた。
それもそうか、とお兄様がそこにいるのも忘れて魔法の効果を切る。

『解除』

途端、私は女に戻った。
「えっ……、サラぁぁぁぁぁっっ?!」
お兄様はそんな私を見て、叫び、背を大きく後ろに沿った。

ーーーえ、なんかその反応傷つくんだけど……。
そんなに、おぞましかったかと、昔の感覚のままに思った私は、自分がいまどのような姿をしているのか気がつかなかった。

お兄様の服を着たまま、少し背伸びをしていたため、余計にブカブカになり、属にいう彼シャツ状態になっていたことなど、知りはしない。
そして、それを見たお兄様が嬉しさと羞恥心と欲にまみれてキャパオーバーしているなど想定していない。

サラは先ほどの剣の交えですっかりおばさん気分を取り戻していた。

そして、お兄様はサラが部屋から出ていくと耐えられずにバタリと倒れ、鼻血をダラダラと床に滴らせた。
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