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学園編
65 サウラスの兄
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無事、国王陛下への謁見が終わりって、私はもとの学園生活を楽しんでいた。
相変わらず女友達はできないけれど、クラスの中で孤立していたわけではないので、問題はない。
そして迎えた一学期末考査は超簡単だった。
相変わらず小学生みたいな問題である。
語学に関しては外国語の教科もあったからまだいい、歴史も。
しかし、その他の教科は正直あくびが出る。
魔法が特化すると科学が遅れがちなので、私のほうが教科書よりも詳しいし、数学は中学生のまでしか教えてないし、マナーとかはお母様仕込みだし……、エトセトラ。
ちなみに、ペーパーテストではなく、実技である。
上位者は掲示されてしまうので、毎度お馴染みのサウラスがやって来る。
「またかっ!!!また満点なんだな貴様っ!?」
しかも教室でやってくれるので、さらに私から人が離れていく。
ーーーただでさえ遠い距離なのに……。
私は少し不満げにサウラスを睨み付けた。
少し眠たかったので寝ぼけた表情に見えたのかもしれない、サウラスは激怒した。
「っ!ーーーお前もっ……!!!」
「?」
何かをいいかけてはっと止めたサウラスに疑問が湧く。
お前も……?
サウラスの顔が苦しそうだ。
なんというか、いろいろ考えるところがあるといった感じ。
私は立ち上がってサウラスの腕をつかんだ。
いつかの日の逆転である。
サウラスは驚きを見せつつも振り払おうとはしなかった。
私は都合がいいとばかりに無言を決め込んだまま教室を移動する。
このままじゃ埒が明かない、そう思ったからだ。
移動した先はまたもやいつかのあの階段の裏。
最近身長が延びてきた彼には少し窮屈そうである。
「はぁ、まったく。あそこは皆が居る場なのですよ、大声は迷惑だと何度言えば分かるのですか?」
「す、すまない……」
これが一回目の注意じゃない。
彼は頭に熱がこもると少し感情的になるらしい。
まあ、個性なのだから仕方がないけれども、迷惑にならない程度にしてほしいものだ。
「……で、先程の続きはなんですの?」
「ーーーえ……」
「だから、お前もの続きですわ。まさか、教えるつもりがないとかじゃあありませんわよね?」
こんなに迷惑かけといて、その原因は言えませんとか、は?となってしまう。
私は昔からこうだ。
私の曲げられないやつ、というものだと思う。
だから可哀想とは思いつつ、ストレートに聞く、言わなければもうそれでもいい。
うぐっと詰まったサウラスだったが、しばらくするとポツリポツリと話始めた。
「……他言無用だぞ」
「判ってますわ」
「ーーー俺にはひとつ上の兄がいる。その兄は優秀でな、俺はその兄を尊敬するとともに嫉妬してた。何てったって一歳上だからな、よく比べられたんだ。俺はそれが嫌だった。だから、兄からも離れていって必死に食らいつこうと思ったんだ」
子供の心境ならば、そうだろう。
しかし、頑張って追い付こうとする気持ちがあるならばそれは凄いことだと私は思った。
前世では、社会の成長に伴い、廃れていった夢や、自信が無くなっていく子供たちを沢山見てきたからでもあったかもしれない。
私はあそこで、学園長だったから。
「だが、兄は……あれは急に手を抜いたんだ。それはもうダメ人間のように怠惰になった。そしたらなんだ、また昔のように仲良くしようって言ってきたんだっ!っ冗談じゃない!兄は跡継ぎなんだっ、止めるなんて許されないんだっ!!!」
私はサウラスの会話に違和感を持った。
まあ、簡単に言えば「そんなに?」である。
「それに手を抜いたことも許せなかった!俺は正々堂々勝負してやっているのに!!!」
「……言いたいことは分かりました。しかし、どうでしょう?あなたはお兄さんに求めすぎではないのでしょうか?」
「えっ……?」
怒り顔だったサウラス表情が固まる。
「確かに正々堂々と、というあなたの気持ちはわかりますが、お兄さんはどうでしょうか?急に突き放された弟に対して悲しさを感じていたのでは?」
「……っそれは、そうだが!」
「はい、それは分かるのですよね。あとに引けないだけで。なので、もう一押ししてあげますわ」
「!?」
「あなた、なんというか強情ですわね。お兄さんはそんな弟を見てどう思っていたのでしょうか?一生懸命な弟、自分ばかりを誉める周り。努力する弟が誉められないのはおかしいと、私なら思いますわね」
実際、前世の私の周りにも、今でも付きまとうものはあった。
そういうときの視線は、痛い。
自分は誉められているはずなのに、なぜ苦しいのだろうと悩んだことがあった。
家族ともそうやって疎遠してきたし、重しのように心の奥に沈んでいった。
嫌いだったあの視線、彼の兄はどう思ったのだろうか?
辛さから逃げ出したくなった?
弟が可哀想だと思った?
……なぜ自分なのだろうと思った?
きっと全部、それ以上かもしれない。
なぜ人間はどうしようもないと思うと逃げたくなるのだろう。
それしかない、と思うのだろう。
彼は根拠のない身勝手を無理やり信じているのだ。
ーーー自分を守るために……。
サウラスの顔が歪む。
嫌悪、悲しみ、受け入れられないもの……。
嫌悪の目は私にも向けられる。
ーーーああ、もったいないなぁ。
人生二度目の私は、そう思って静かに笑った。
相変わらず女友達はできないけれど、クラスの中で孤立していたわけではないので、問題はない。
そして迎えた一学期末考査は超簡単だった。
相変わらず小学生みたいな問題である。
語学に関しては外国語の教科もあったからまだいい、歴史も。
しかし、その他の教科は正直あくびが出る。
魔法が特化すると科学が遅れがちなので、私のほうが教科書よりも詳しいし、数学は中学生のまでしか教えてないし、マナーとかはお母様仕込みだし……、エトセトラ。
ちなみに、ペーパーテストではなく、実技である。
上位者は掲示されてしまうので、毎度お馴染みのサウラスがやって来る。
「またかっ!!!また満点なんだな貴様っ!?」
しかも教室でやってくれるので、さらに私から人が離れていく。
ーーーただでさえ遠い距離なのに……。
私は少し不満げにサウラスを睨み付けた。
少し眠たかったので寝ぼけた表情に見えたのかもしれない、サウラスは激怒した。
「っ!ーーーお前もっ……!!!」
「?」
何かをいいかけてはっと止めたサウラスに疑問が湧く。
お前も……?
サウラスの顔が苦しそうだ。
なんというか、いろいろ考えるところがあるといった感じ。
私は立ち上がってサウラスの腕をつかんだ。
いつかの日の逆転である。
サウラスは驚きを見せつつも振り払おうとはしなかった。
私は都合がいいとばかりに無言を決め込んだまま教室を移動する。
このままじゃ埒が明かない、そう思ったからだ。
移動した先はまたもやいつかのあの階段の裏。
最近身長が延びてきた彼には少し窮屈そうである。
「はぁ、まったく。あそこは皆が居る場なのですよ、大声は迷惑だと何度言えば分かるのですか?」
「す、すまない……」
これが一回目の注意じゃない。
彼は頭に熱がこもると少し感情的になるらしい。
まあ、個性なのだから仕方がないけれども、迷惑にならない程度にしてほしいものだ。
「……で、先程の続きはなんですの?」
「ーーーえ……」
「だから、お前もの続きですわ。まさか、教えるつもりがないとかじゃあありませんわよね?」
こんなに迷惑かけといて、その原因は言えませんとか、は?となってしまう。
私は昔からこうだ。
私の曲げられないやつ、というものだと思う。
だから可哀想とは思いつつ、ストレートに聞く、言わなければもうそれでもいい。
うぐっと詰まったサウラスだったが、しばらくするとポツリポツリと話始めた。
「……他言無用だぞ」
「判ってますわ」
「ーーー俺にはひとつ上の兄がいる。その兄は優秀でな、俺はその兄を尊敬するとともに嫉妬してた。何てったって一歳上だからな、よく比べられたんだ。俺はそれが嫌だった。だから、兄からも離れていって必死に食らいつこうと思ったんだ」
子供の心境ならば、そうだろう。
しかし、頑張って追い付こうとする気持ちがあるならばそれは凄いことだと私は思った。
前世では、社会の成長に伴い、廃れていった夢や、自信が無くなっていく子供たちを沢山見てきたからでもあったかもしれない。
私はあそこで、学園長だったから。
「だが、兄は……あれは急に手を抜いたんだ。それはもうダメ人間のように怠惰になった。そしたらなんだ、また昔のように仲良くしようって言ってきたんだっ!っ冗談じゃない!兄は跡継ぎなんだっ、止めるなんて許されないんだっ!!!」
私はサウラスの会話に違和感を持った。
まあ、簡単に言えば「そんなに?」である。
「それに手を抜いたことも許せなかった!俺は正々堂々勝負してやっているのに!!!」
「……言いたいことは分かりました。しかし、どうでしょう?あなたはお兄さんに求めすぎではないのでしょうか?」
「えっ……?」
怒り顔だったサウラス表情が固まる。
「確かに正々堂々と、というあなたの気持ちはわかりますが、お兄さんはどうでしょうか?急に突き放された弟に対して悲しさを感じていたのでは?」
「……っそれは、そうだが!」
「はい、それは分かるのですよね。あとに引けないだけで。なので、もう一押ししてあげますわ」
「!?」
「あなた、なんというか強情ですわね。お兄さんはそんな弟を見てどう思っていたのでしょうか?一生懸命な弟、自分ばかりを誉める周り。努力する弟が誉められないのはおかしいと、私なら思いますわね」
実際、前世の私の周りにも、今でも付きまとうものはあった。
そういうときの視線は、痛い。
自分は誉められているはずなのに、なぜ苦しいのだろうと悩んだことがあった。
家族ともそうやって疎遠してきたし、重しのように心の奥に沈んでいった。
嫌いだったあの視線、彼の兄はどう思ったのだろうか?
辛さから逃げ出したくなった?
弟が可哀想だと思った?
……なぜ自分なのだろうと思った?
きっと全部、それ以上かもしれない。
なぜ人間はどうしようもないと思うと逃げたくなるのだろう。
それしかない、と思うのだろう。
彼は根拠のない身勝手を無理やり信じているのだ。
ーーー自分を守るために……。
サウラスの顔が歪む。
嫌悪、悲しみ、受け入れられないもの……。
嫌悪の目は私にも向けられる。
ーーーああ、もったいないなぁ。
人生二度目の私は、そう思って静かに笑った。
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