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学園編
67 いきなり新キャラ
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影とのおいかけっこはその後も続き、互いに作戦を立てながらの謂わば攻略ゲームのようになっている。
私が煙幕を用意したり、投げナイフを使ってみたりといろいろ試しているし、影も遠慮なく打ちにきている。
影はそのウサミミのごとく、脱兎で逃げ回るので、鬼ごっこになると楽しい。
影の名前通り、彼ら一族は影を使う魔法が得意で、影止めなど面白い技が一杯だ。
今日も今日とて、棚の中に画鋲が散らばっていたり、上から花瓶が落ちてきたりしたので、影を捕まえては強制契約させる。
「ーーーつかまった~」
影はへにょへにょと元気をなくす。
「別にわざとらしい演技をしてまで反応する必要はないのですよ?」
「あ、そうなの?」
一言言えばまたいつもの感じに戻った。
……影一さんに何か吹き込まれたわね。
影一さんとはニコラス公爵家に仕える影一族の長のことである。
ちなみに、影の父親らしい。
「そういえば、ティスタニオがサラ様に会いたいって嘆いてたけど」
「あら、ティスったら。元気にしているのかしら?」
私は夢を追うちびっこい少年を思い出した。
ティスは私が引き取った少年である。
親はなく、孤児院で邪険に扱われていた。
その理由がティスの歳に合わない成熟さで、大人同然でものを言うからだった。
「超元気。サラ様の出した宿題、もう終わりそうだった」
「え?!もう?新しいの追加しなくちゃ!」
「……」
影が白い目で見てきた。
えっ、なんですかね?
私の言いたいことが表情から読めたのか、聞く前に喋りだした。
「ティスタニオ、八歳。でも、仕事量、大人より上。どっかの誰かさんみたい」
ーーーあっ、それってもしかしなくても私のことですかね。
「うーん、強制しているわけではないのだけれど……。すっごく楽しそうにしているのだし、いいじゃない?」
ティスは既に前世の中学生レベルの学業を習得している。
好奇心ややる気があまり余っているようだから、その内研究でもさせてみようかと思っている。
いやはや、天才だとは思っていたが、ここまでとは驚きだ。
「サラ様そんなだから、ティスタニオがあんななる……」
影はサラ様を連行するタファ二号のようなティスタニオを思い浮かべて、消え入るような声で呟いた。
私は静かに苦笑いをして、いつも通り契約を交わしたのであった。
影を離してやってしばらく。
私は暇になって、中庭に向かった。
もちろん、お友だちとお話をするためである。
サウラスとあんなことになっている今、欲求は止まらなかった。
スキップで中庭に向かうと、いつもの木の下には先客がいた。
私は慌てて隠れる。
なぜかというと、その先客が見たことがある人だったからだ。
ーーーメロディさんだわ……。
ピンク髪がやっぱり見慣れない可愛らしいを体現した女の子は、最近よくお世話になっている少女だった。
木の下で何をしているのだろうか?
あまりに遠すぎてよく見えなかったので、遠視魔法を使う。
『ホークアイ』というこっ恥ずかしい名前だが、スコープを使うようによく見えた。
ん?光の妖精だなぁ……。
可愛い……じゃなくて、戯れているのか。
どうやらメロディは妖精が見える人のようである。
珍しいというわりに回りに一杯いるなぁと思うのは仕方のないことだろうか。
そういえば、光の妖精が見える人って聖人って呼ばれてるんだっけ?
と、どうでも良いことが頭に浮かぶ。
メロディは上から話しかけられたようで、視線を上向きにしている。
おそらく、ジークが話しかけたのだろうなと考えて、ことの成り行きを見守る。
しばらくすると、メロディは顔を赤くして何処へとなく駆け出していった。
……なにを言ったのか、あの天然。
私は不思議っ子で天パな友人がいった言葉を想像して、どれにでもドンマイと言いたくなった。
私が煙幕を用意したり、投げナイフを使ってみたりといろいろ試しているし、影も遠慮なく打ちにきている。
影はそのウサミミのごとく、脱兎で逃げ回るので、鬼ごっこになると楽しい。
影の名前通り、彼ら一族は影を使う魔法が得意で、影止めなど面白い技が一杯だ。
今日も今日とて、棚の中に画鋲が散らばっていたり、上から花瓶が落ちてきたりしたので、影を捕まえては強制契約させる。
「ーーーつかまった~」
影はへにょへにょと元気をなくす。
「別にわざとらしい演技をしてまで反応する必要はないのですよ?」
「あ、そうなの?」
一言言えばまたいつもの感じに戻った。
……影一さんに何か吹き込まれたわね。
影一さんとはニコラス公爵家に仕える影一族の長のことである。
ちなみに、影の父親らしい。
「そういえば、ティスタニオがサラ様に会いたいって嘆いてたけど」
「あら、ティスったら。元気にしているのかしら?」
私は夢を追うちびっこい少年を思い出した。
ティスは私が引き取った少年である。
親はなく、孤児院で邪険に扱われていた。
その理由がティスの歳に合わない成熟さで、大人同然でものを言うからだった。
「超元気。サラ様の出した宿題、もう終わりそうだった」
「え?!もう?新しいの追加しなくちゃ!」
「……」
影が白い目で見てきた。
えっ、なんですかね?
私の言いたいことが表情から読めたのか、聞く前に喋りだした。
「ティスタニオ、八歳。でも、仕事量、大人より上。どっかの誰かさんみたい」
ーーーあっ、それってもしかしなくても私のことですかね。
「うーん、強制しているわけではないのだけれど……。すっごく楽しそうにしているのだし、いいじゃない?」
ティスは既に前世の中学生レベルの学業を習得している。
好奇心ややる気があまり余っているようだから、その内研究でもさせてみようかと思っている。
いやはや、天才だとは思っていたが、ここまでとは驚きだ。
「サラ様そんなだから、ティスタニオがあんななる……」
影はサラ様を連行するタファ二号のようなティスタニオを思い浮かべて、消え入るような声で呟いた。
私は静かに苦笑いをして、いつも通り契約を交わしたのであった。
影を離してやってしばらく。
私は暇になって、中庭に向かった。
もちろん、お友だちとお話をするためである。
サウラスとあんなことになっている今、欲求は止まらなかった。
スキップで中庭に向かうと、いつもの木の下には先客がいた。
私は慌てて隠れる。
なぜかというと、その先客が見たことがある人だったからだ。
ーーーメロディさんだわ……。
ピンク髪がやっぱり見慣れない可愛らしいを体現した女の子は、最近よくお世話になっている少女だった。
木の下で何をしているのだろうか?
あまりに遠すぎてよく見えなかったので、遠視魔法を使う。
『ホークアイ』というこっ恥ずかしい名前だが、スコープを使うようによく見えた。
ん?光の妖精だなぁ……。
可愛い……じゃなくて、戯れているのか。
どうやらメロディは妖精が見える人のようである。
珍しいというわりに回りに一杯いるなぁと思うのは仕方のないことだろうか。
そういえば、光の妖精が見える人って聖人って呼ばれてるんだっけ?
と、どうでも良いことが頭に浮かぶ。
メロディは上から話しかけられたようで、視線を上向きにしている。
おそらく、ジークが話しかけたのだろうなと考えて、ことの成り行きを見守る。
しばらくすると、メロディは顔を赤くして何処へとなく駆け出していった。
……なにを言ったのか、あの天然。
私は不思議っ子で天パな友人がいった言葉を想像して、どれにでもドンマイと言いたくなった。
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