その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

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登録者突破記念 おまけ

私は魔族、友は公爵令嬢5

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それからは、お互い暇を見つけてはこっそり会うようになった。
連絡はルスピニーに頼みたかったのだが、
『めんどうじゃからから嫌じゃ』
と言われたので、手紙をテレポートできる魔法を作り、媒介に宝石を使って道具にした。

指定位置にテレポートするだけなので、かなり小さく作ることができたので、ブローチタイプにしてある。
私のは銀細工の花、クロのは金細工の十字架にした。
本当はクロのも花型にしたかったのだが、「花……はちょっと……。僕、可愛いものよりかっこいいものが好きだなぁ……なんて」と遠回しに却下されたので、こればかりは趣味があるかと十字架にした。

一応、贈り物という形で渡したのだが、思った以上に喜んでくれたので、それからはたまに刺繍したハンカチとか、作りすぎた菓子等の小さな贈り物もしている。
とりあえず、美形の微笑みは目の保養なので、いくらでも見たい。
度々ねだりに来る妖精たちの菓子やらもそれが目的である。

そんなこんなで穏やかな毎日が過ぎていったが、ある日突然その連絡はぱったりと途絶た。
心配になった私はルスピニーに問いただしたが、「奴なら大丈夫だ。何というかとりあえず待っとれ」と言われるだけで、大した情報は得られない。

私はブローチを握りしめて友の無事を祈った。

―――一方そのころ、魔界の王城では……。

「ゲルウブ、この書類はやり直しだと言ってこい。誤字が多すぎる上に、見づらい。これでは北方の煩い吾人を納得させることは出来まい。再提出だ」
「かしこまりました」

私は側近に紙束を持たせる。
牛の魔族であるゲルウブは優秀で忠実な私の側近だ。
他にも山羊のヒルベルトという側近がいるが、今は留守にしている。

「……しかし、我が君。最近働き過ぎではありませんかな?我は心配ですぞ」
「問題ない。これしきの事でどうにかなる体ではないからな。それよりもこの書類の束をどうにかすることの方が先だ。まったく、奴らは相当暇なのだろうな」

私は部屋の中にあふれる書類に目を向けた。
奴らとはこの魔界を支える十魔のことである。
魔界は強さがすべての世界だ、十魔は魔界の序列十位内の魔族のことである。

そして私はその十魔を従え、魔界を統べる魔王……のはずなのだが。
「耳が痛い話ですね。しかし、原因はあなた様にあるのですから仕方ありませんよ。まったく、いつまでもうじうじと魔王になりたくないなんてほざくなんて、魔王失格と言われても言い返せませんよ」
「すまないな」

そう、私が舐められている理由。
それは私がここ最近まで魔王になるのを拒んでいたからに他ならない。

実はこれは私しか知らないことなのだが、私の母親は人間である。
魔王であった父とは恋愛結婚で、私を生んだ母は私の魔力に耐え切れずに死んでしまった。
それでも私が四の時までは何とか生きていたが、普通の人間だった母には魔界という魔力溢れる環境は生き辛かったようだ。
愛する母が死に、生きる気力をなくしたとばかりにほどなくして父も後を追った。

私は困惑し、悲しみ、そして寂しかった。
その寂しさを埋めるように人間界にやってきて、母と同じような人間を求め月夜にさまよった。
そして出会った。

私は机に肘をついて、月夜に照らされる笑顔が可愛らしく、少々おてんばな少女を思い浮かべる。
そういえば最近連絡ができていない。
少女サラとは手紙という形で交流をしていた。

サラは私のことを女だと思い込んでいて魔族である私を受け入れてくれた、友として。
「なあゲルウブ」
「城を出る以外ならば何なりと、我が君」
「……、少し相談に乗ってほしいんだが、もし、もしだな。あるところに好きな女の子に自分は女だと勘違いされて友達として認識されている男の子がいたとしてだな。どうすればいいと思う?」

ゲルウブは私を見てきょとんとした後、ふむむと考え始めた。
「それは何族の話ですかな?」
「いや、人間の話だ」

「……陛下、悪いことは言いません。人間の女などやめておいた方が……」
「わ、私の話ではない!聞いていなかったのか!もしも、の話だ」
ゲルウブはふーんと疑わしそうな目線で私を見ると、ため息を吐いて答えてくれた。

「……要は意識してほしいということでしょう?ならば自分は男だという方が一番手っ取り早いのでは?」
「だ、だが!彼女はわた……そいつが女だと思っているから関わってくれるのだ!彼女は女友達ができてうれしいと言っていた。だから、女でないと知れたら……」

突き放されるか……?
私はそれを想像して悪寒がした。
ようやく光を見つけたと思ったのに、それだけは嫌だ!

「陛下……、もしかして」
ゲルウブがそう呟くのに自分の世界に入ってしまったクロは気が付かなかった。
「超チキン……いや、奥手ですね」
ゲルウブは神は二物を与えないのだなと頭を抱える主上を見て思ったのであった。
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