のほほん真勇者録 アルファポリス版

ごーぐる

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幼少期

初めてのクエスト2

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「え?一人でクエストを受ける?」
受付を終わらせたアイリーンはクエストの紙を差し出してくる。
そして右手にもう一枚の紙をペラペラとさせていた。
「そう、この採取クエストはユリカちゃん一人で受けてもらいたいの。私たちはこっちの討伐クエストをやっているから、その間にね。」
リズが申し訳なさそうに項垂れる。
「ついていってあげたい、でも頼まれちゃった。ついてけない。だから、ごめん…」
うーん、まあそれは…。
「仕方ないてすよ。大丈夫です、とっとと行ってとっとと帰ってきますから。」
「早めに終わったら向かうからな。一人じゃ駄目なようなら、無理せずに先に帰っておけよ。」
タローは心配そうに頭を撫でる。
「大丈夫です!行ってきます!」
私は子供扱いされるのがちょっとくすぐったかったので逃げるように外へと駆けていった。

「行ったな、よし俺たちも行動開始だ。」
ユリカがクエストに向かったところで、アイリーンたちは事前に決めていたことを話始める。
「いいか、俺とアイリーンは討伐クエストに向かうぞ。残りの二人でユリカの初めてのクエストを見守れ。もしなんかあったらすぐに駆け付けられるようにしておけよ。」
このセットは二手に分かれる時によくやるものだった。
ジェドとタローは近距離、アイリーンとリズは遠距離なのでこれが一番いい分かれかただ。
ユリカにはもともと一人でクエストに行かせるつもりなんてさらさらなかったメンバーは、討伐クエストの依頼が入ったことで作戦会議を昨日の夜、ユリカが寝た後に行っていた。
討伐する魔物はジェドだけでも大丈夫そうな強さだったので、保険でアイリーンを連れていって二人で討伐してくればいいという結論にいたった。
そこでジェドが、
「初めてのクエストだし、俺らは見守りに徹しないか?」
と提案し、タローとリズがそれに賛成したので多数決で決まったことた。
「うん。ユリカ、なにあっても守る。」
「お願いね。あーユリカちゃんの初めてのクエスト、見たかったなー。」
「早く終わらせれば見れるぞ。」
ジェドはニヤリとしてアイリーンを見る。
「うー…。ガンバル。」
そうしてとぼとぼとしながらアイリーンたちはクエストに向かった。
「よし、私たちも行く!ユリカを見る!」
「いや、見守るんだからな…。」
今日もタローは突っ込み役だった。



そのころのユリカは…。
森で見る特殊な光景にひるんでいた。
「うわぁ…、なんかやばいなぁ…。」
ユリカの視線の先には肉食植物と思われるものが、異様な大きさで存在しており、チューリップのような花が開いたと思えば謎の液体がどろどろと出てきては、シュワァと音を立てて溶けていく様子があった。
「カオスっていうんだっけこういう場面…。」
ここまで来る途中では見て見ぬふりをしてやり過ごしていたが、こうして改めて見ると怖いと思うものだ。
いや、恐怖よりも見た目がつらいかもしれない。
明らかに毒です、みたいな色でうねうねと蔦を動かしているそれは気持ちが悪いとしか言い表せなかった。
「これも魔力の影響なんだろうな…。前世でもこういう植物はいたけど、こんなあからさまにやばそうなやつじゃなかったし。大きさだって私くらいあるよね?採取クエストって一般の低いランクの人でも大丈夫な簡単、安全なクエストじゃないの?」
この世界での常識は私の知らないところが多い。
神様は私に知識をくれるといったけれども、今のとこを言葉以外の知識はまだわからないことだらけだ。
もしかしたら生活に必要な分だけの知識をくれたとか?
だとしてもこの世界では文字を読めなくても生きていけるのだからつじつまが合わなくなる。
「あー、わからないことが多すぎる…。とりあえず、勉強しないとダメなんだろうな。」
あの生命体もどうなっているのか知りたいし、町に着いたら図書館探して本を読んで知識をつけよう。
それかみんなに頼んでいろいろと教えてもらおう。
とりあえず今は、
「大丈夫。あれより私の方が強いし。今は前とは違って、走れるし、魔法も使えるし、剣だって使える。この程度でひるんでいたらみんなと一緒にクエストいけないでしょ。初めてのお使いくらいどうってことない。」
自分に言い聞かせるために私はパンパンと頬を叩く。
――――――大丈夫、ここはいろいろと違うけど、ここにも支えてくれるものはあるから。
生きていける。
私は意を決して懐の剣を取り出し、奇妙な植物たちと対峙した。
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