春にじゃがいもを育てようー家庭菜園日記と各芋の個性メモ

夏目ぽんぽん

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じゃがいもが高い。庭のちょっとしたスペースで育てよう。

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スーパーの野菜売り場で、私は最近、じゃがいもの前で一度立ち止まる。かつては「とりあえず」でカゴに入れられた土色の塊が、今やちょっとした高級品の顔をして並んでいる。お徳用で500円の小粒で量も多くないじゃがいも、レジを通るたびに感じるこの小さな敗北感を、どうにかして覆せないだろうか。
そんな「家計の反乱」として、私は庭の隅でじゃがいもを育てることに決めた。
わが家の庭は、決して恵まれた環境ではない。東側には隣家が迫り、西側には山の樹木が深い影を落とす。太陽がわが家の地面を正面から照らしてくれるのは、午前十時から午後三時までの、わずか五時間だけ。この「黄金の五時間」を過ぎれば、庭はすぐに静かな日陰へと戻ってしまう。
しかし、この限られたスポットライトを浴びて、二つの異なる陣営が私の「芋貯金」を支えることになった。
一つは、どっしりと構えた広いプランター。ここには、古参の安定感のようなものを期待している。そしてもう一つが、今回の作戦の要、四十リットルの培養土袋をそのまま使った「袋栽培」だ。
袋栽培の見た目は、お世辞にも優雅とは言えない。土の袋の口をくるくると丸め、水抜きの穴をブスブスと開けた姿は、どこか野生的で、泥臭い。だが、この袋には機動力がある。わずかな日差しを追いかけて、ほんの少し場所をずらす。山の影が忍び寄る三時ギリギリまで、光を吸い込ませるための、私と太陽の追いかけっこだ。
日照時間が短いことは、植物にとっては逆境だろう。普通なら「もっと光を」と茎がひょろひょろと伸びてしまう「徒長」を心配するところだ。けれど、私はその姿すら、光を求めて背伸びをする健気な生存戦略のように思えてならない。
日陰の時間が多いこの庭で、土の中では今、静かな「錬金術」が行われている。スーパーで買い控えたあの一個が、土の中では二個、三個と、複利で増えていくはずだ。
収穫の日は、きっとすぐ来る。



ーーーメモーー
日本の主要な品種と、それぞれの性質(粉質・粘質・中間)に近い代表的な品種を人気・知名度順に10種ずつ挙げます。
1. 男爵系(粉質・ホクホク)10品
デンプン価が高く、加熱すると崩れやすい「ホクホク系」の代表格です。
男爵薯(だんしゃくいも):日本で最も普及している王道品種。
キタアカリ:男爵を品種改良。黄色い果肉と強い甘みが人気。
ワセシロ:色が白く、ポテトチップスなどの加工にも向く。
アンデスレッド:皮が赤く、中は黄色。非常に甘くホクホクしている。
十勝こがね:男爵に似た肉質で、貯蔵性に優れ芽が出にくい。
はるか:目が浅く皮が剥きやすい。サラダやコロッケに最適。
トヨシロ:加工用として有名だが、粉吹き芋にも向く。
サッシー:フランス生まれ。フライにすると絶品で「黄金のジャガイモ」とも。
アイユタカ:大玉で扱いやすく、しっとり感も併せ持つ粉質。
スノーデン:主にチップス用だが、白く綺麗な粉質が特徴。 


2. メークイン系(粘質・しっとり)10品
きめが細かく、長時間煮ても形が崩れにくい「しっとり系」です。 
メークイン:煮崩れしにくい煮物料理の定番。
シンシア:フランス産。表面が滑らかで、高級感のあるしっとりした食感。
ピルカ:アイヌ語で「美しい」を意味する。芽が浅く、煮崩れに強い。
レッドムーン:見た目はサツマイモのよう。粘り気とコクがある。
ながさき黄金:インカ系の甘みと、メークインのような作りやすさを両立。
とうや:滑らかな食感で、煮崩れしにくい黄色いジャガイモ。
こなふぶき:主にでんぷん原料用だが、肉質は非常に緻密。
大白(たいはく):古くからある品種。非常に粘りがあり、煮物に合う。
シェリー:赤い皮の細長い品種。バター炒めや煮込みに。
ホッカイコガネ:フレンチフライ用として開発され、型崩れしにくい。 


3. その他の特徴的な品種(インカ系・カラフル系)10品
独特の風味や鮮やかな色を持つ、個性の強い品種です。 
インカのめざめ:栗やサツマイモのような濃厚な甘みで大人気。
シャドークイーン:中まで鮮やかな紫色。アントシアニンが豊富。
ノーザンルビー:加熱しても色が落ちない綺麗なピンク色。
グラウンドペチカ(通称デストロイヤー):覆面レスラーのような模様と深いコク。
インカのひとみ:インカのめざめの改良版。皮が赤く、ナッツのような風味。
デジマ:西日本で人気の秋植え品種。ホクホクと粘りの中間。
ニシユタカ:長崎県などで主力。表面が綺麗で煮崩れしにくい中間質。
きたかむい:丸くて大きく、貯蔵すると非常に甘みが増す。
マチルダ:小ぶりで形が良く、スウェーデンで愛される多用途な品種。
インカパープル:皮は紫、中は黄色に紫の斑点が入る希少種。 



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