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いきなり女性と子どもが扉を開けて入ってきた。
「おいおい、カギかけてない俺って不用心だな」って呑気に考えていた。
女性は俺を見ると顔を歪めた。
俺は気付いた。

「あ、もしかして、俺の子供を産んだのってあんたか?」
「……はい」
「あちゃ~」俺は頭を抱えた。
「あの、それでですね、あなたが父親だと分かったので、認知して頂けますよね?」
「……まあ、仕方ないか……」
「ありがとうございます」
「で、どうするんだ?これから……」
「とりあえず、養育費お願いします」
「いやいや、ちょっと待ってくれ」
「え?お金無いんですか?」
「いや、そういう問題じゃないだろう」
「じゃあどういう問題でですか?まさか逃げるつもりです?」
「逃げたらどうなるんだ?」
「どうもしませんよ。ただ、貴方を探し出して殺しに行くかもしれませんけどね。私は絶対に許さない」
「俺を殺すのか?」
「はい」
「どうやって?」
「こうやってです」
彼女が手からスマホを取り出すと、SNS で晒し上げられた。
「養育費を払わない、父親なんです。どなたか雇って頂けませんか?って顔写真込みで書き込みました。」
「ちょっ、何してるんだよ!?」
「何って、お金を払ってくれないなら、働いて返して貰うしかないでしょう」
「だからって、何してるんだよ?」
「はい?これって何かおかしいでしょうか?だって、私一人で育てるなんて無理だし、でも、あなたがお金を払うのを拒否したら、私が自分で稼ぐしか無いんですよ?」
「だからと言って、何でネットで公開する必要があるんだよ?」
「それは、私なりに考えた結果ですよ?私も子供を育てるのに、あなたの協力が必要でしょ?でも、今のあなたが何を言っても信じてもらえないし、結局、お金で解決できるのであれば、そっちの方が楽だと思いまして」
「それにしても……」
「もう遅いと思いますよ。ほら」
彼女の指差した先にあった、投稿は数分で既に大炎上、百万個件を超えていた。
「おいおい、嘘だろ?」
「本当ですよ」
「マジかよ」
「マジです」
「お前、ヤバくねーのかよ?」
「別に大丈夫ですよ。それより、さっきの話なんだけど」

「さすがに、金は出せないぞ」
「いえ、違います。身体とお尻は特に綺麗にしておいた方がいいですよ。」

「はぁ!?」
「嫌だよ」
「そうですか、残念です」
彼女はそう言うと、スマホの画面を見せてきた。
そこには全裸でお尻を突き出した男性と仁王立ち女性の写真があった。
写真の横に『彼のアナル処女奪っちゃいましたw』と書かれていた。
俺はその写真を凝視してしまった。
「それ、私のお母様です。ちなみにあれは、お叔父様ですよ。お母様は、あなたの事が好きなようだったので、私も協力してあげたいのです。感謝してください。」
「……なん……だと」
「あと、お父様には、あなたの事を色々教えてあげました。もちろん、この女性と寝てる写真も送っています」
「なっ!」
「お父様は大変喜んでいましたよ。『やっとこれで娘に悪い虫がついた、刀の錆びにしてくれる!』とか言って。刀振り回すんですから、本当に気持ち悪い。」
「そんな……」
「で、どうしますか?お金は出してくれますよね?」
「……わかった。だから。」
「わかりました。じゃあ、アイマスクを着ける所から、始めましょう。行き先はお楽しみです。」
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