6 / 13
思いつき、三人
しおりを挟む
角野がけんけんをしながら、パンを片手に教室に戻ると、杉山が白紙のノートを前にウンウン唸っていた。
ブロッコリーを口に運んだ里見が、ノートを覗き込み
「名前くらい決めたらどうだ?」
と呟くと、杉山はいやーと唸った。
「俺はさー、ほら。性格とか信念とか、そういうの決めてから名前をつけたいタイプだから」
「なにー、また台本お前が書くの?」
角野がどかりと椅子に座ると、
「前、グダグダだったじゃん」
と杉山のノートを引き寄せた。
「俺が書いてやるよ」
と冗談半分に自分のシャーペンを取り出す。
「いやいや」
杉山が笑いながら、自分のノートを取り返した。
「俺は前回で、完全に!コツ掴んだから!」
フフンと、自信満々に胸を張る。
「今回は絶対傑作になるぜ!」
「駄作でいいから、さっさと書け」
里見がスープジャーのめんつゆに素麺を入れる。
「それかチャンバラ部に転向しろ」
と言うと素麺をすすった。
「お前ら殺陣の練習ばっかりしてるもんな」
と呆れる角野を尻目に
「ウチの演劇部は派手なアクションが売りだからな!」
と杉山がまた胸を張る。
「てかもう里見が書いたら」
と角野がパンの袋を開けながら、杉山を指差す。
「誰が書いても、こいつのよりはマシだろ」
「それは間違いないが」
「俺が有名になっても、サインやんねーからな!お前ら!」
あからさまにむくれて見せる杉山を、一顧だにせず
「俺は演劇が嫌いだから、書かない」
と里見は素麺をすする。
「あるがままが1番美しいんだ、演技なんて見苦しいだけだ」
「分かってねーなー」
杉山がニヤリと笑う。
「人間ってのは演技する生き物だろ?」
里見が杉山の瞳を見た。
(また始まった)
静かに火花を散らす二人に、呆れながら角野がパンを齧る。
(何でこいつら、性格も趣味も合わないのに一緒にいるんだ)
その時にふと、隅原の顔が浮かんだ。
「あ」
思わず洩れた声に、二人の視線が集まる。
「隅原とかいいんじゃね?」
と半分ふざけて言うと
「確かにな」
と里見が真剣に頷く。
「彼は武士が斬り合う時代小説も、剣で戦う中世ファンタジーもよく読んでいる。適任だろう」
「そうなの?」
杉山は小首を傾げ
「じゃあ一回書かせてやってもいいかなー」
とまたニヤリと笑う。
「おいおい、待てって」
角野が慌てて、杉山を見る。
「俺はテキトーに言っただけで、隅原が書いてくれるかどうか分かんねえって」
杉山は立ち上がると
「そこは言い出しっぺが責任取れよー」
と角野の肩を叩いた。
「説得は任せたぜ!」
「はあ⁉︎」
と角野は目を白黒させる。
「じゃあお前は書かないのか?」
と問う里見に、杉山が拳を握る。
「いーや、俺も書く。そんで対決させる!」
「時間の無駄だな」
話しが決まったかのように話す二人に、角野が食いつく。
「待てって、説得って、どうすんだよ⁉︎」
と途方に暮れる角野を一目見た、里見は
「犬で釣ればいい」
と告げた。
「君は犬を飼っているだろう」
「え?」
角野は困惑に眉をひそめる。
「確かに飼っているけど」
「隅原は、おそらく犬が好きだ」
と箸をしまいながら言う。
「犬のビジュアル図鑑をよく見ているからな」
ブロッコリーを口に運んだ里見が、ノートを覗き込み
「名前くらい決めたらどうだ?」
と呟くと、杉山はいやーと唸った。
「俺はさー、ほら。性格とか信念とか、そういうの決めてから名前をつけたいタイプだから」
「なにー、また台本お前が書くの?」
角野がどかりと椅子に座ると、
「前、グダグダだったじゃん」
と杉山のノートを引き寄せた。
「俺が書いてやるよ」
と冗談半分に自分のシャーペンを取り出す。
「いやいや」
杉山が笑いながら、自分のノートを取り返した。
「俺は前回で、完全に!コツ掴んだから!」
フフンと、自信満々に胸を張る。
「今回は絶対傑作になるぜ!」
「駄作でいいから、さっさと書け」
里見がスープジャーのめんつゆに素麺を入れる。
「それかチャンバラ部に転向しろ」
と言うと素麺をすすった。
「お前ら殺陣の練習ばっかりしてるもんな」
と呆れる角野を尻目に
「ウチの演劇部は派手なアクションが売りだからな!」
と杉山がまた胸を張る。
「てかもう里見が書いたら」
と角野がパンの袋を開けながら、杉山を指差す。
「誰が書いても、こいつのよりはマシだろ」
「それは間違いないが」
「俺が有名になっても、サインやんねーからな!お前ら!」
あからさまにむくれて見せる杉山を、一顧だにせず
「俺は演劇が嫌いだから、書かない」
と里見は素麺をすする。
「あるがままが1番美しいんだ、演技なんて見苦しいだけだ」
「分かってねーなー」
杉山がニヤリと笑う。
「人間ってのは演技する生き物だろ?」
里見が杉山の瞳を見た。
(また始まった)
静かに火花を散らす二人に、呆れながら角野がパンを齧る。
(何でこいつら、性格も趣味も合わないのに一緒にいるんだ)
その時にふと、隅原の顔が浮かんだ。
「あ」
思わず洩れた声に、二人の視線が集まる。
「隅原とかいいんじゃね?」
と半分ふざけて言うと
「確かにな」
と里見が真剣に頷く。
「彼は武士が斬り合う時代小説も、剣で戦う中世ファンタジーもよく読んでいる。適任だろう」
「そうなの?」
杉山は小首を傾げ
「じゃあ一回書かせてやってもいいかなー」
とまたニヤリと笑う。
「おいおい、待てって」
角野が慌てて、杉山を見る。
「俺はテキトーに言っただけで、隅原が書いてくれるかどうか分かんねえって」
杉山は立ち上がると
「そこは言い出しっぺが責任取れよー」
と角野の肩を叩いた。
「説得は任せたぜ!」
「はあ⁉︎」
と角野は目を白黒させる。
「じゃあお前は書かないのか?」
と問う里見に、杉山が拳を握る。
「いーや、俺も書く。そんで対決させる!」
「時間の無駄だな」
話しが決まったかのように話す二人に、角野が食いつく。
「待てって、説得って、どうすんだよ⁉︎」
と途方に暮れる角野を一目見た、里見は
「犬で釣ればいい」
と告げた。
「君は犬を飼っているだろう」
「え?」
角野は困惑に眉をひそめる。
「確かに飼っているけど」
「隅原は、おそらく犬が好きだ」
と箸をしまいながら言う。
「犬のビジュアル図鑑をよく見ているからな」
0
あなたにおすすめの小説
雪色のラブレター
hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。
そばにいられればいい。
想いは口にすることなく消えるはずだった。
高校卒業まであと三か月。
幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。
そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。
そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。
翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。
【完結】恋した君は別の誰かが好きだから
海月 ぴけ
BL
本編は完結しました。後日、おまけ&アフターストーリー随筆予定。
青春BLカップ31位。
BETありがとうございました。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺が好きになった人は、別の誰かが好きだからーー。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二つの視点から見た、片思い恋愛模様。
じれきゅん
ギャップ攻め
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる