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第一章 呪われた男
20. 狂気の行く末
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美奈は一人、屋上から広がる景色を見ていた。空には星が浮かんでいるのだろうが、分厚い雲に阻まれ見ることはできない。時折月が雲間から顔を出しているが、この場を照らすには不十分だった。
美奈は空虚な心で手に持ったものへ視線を向ける。そこにあるのは刃渡り三十センチメートルの包丁。美奈の覚悟の証。
「嫌われるくらいならいっそ……!!」
美奈は下唇をかみしめると、ギュッと包丁の柄を握りしめた。屋上を選んだのはすぐに自分も颯空の後を追う事ができるため。颯空のいない世界に興味なんてない。そして、颯空に嫌われてしまったこの人生に意味などない。この世界に別れを告げ、永遠の時を彼と共に歩んでいく。
そんなことを考えていたら屋上の扉が開いた音がした。ドキリと心臓が跳ね上がる。まだ約束の時間には早い。だが、こんな時間にこんな場所に来るのは、自分が呼び出した相手以外にはありえなかった。自分を落ち着かせるように、そっと手を胸に添える。近づいてくる足音が少し後ろで止まった。もう後には引き返せない。ゆっくりと深呼吸をし、美奈は覚悟を決める。
「――颯空君じゃないですよ、美奈さん」
だが、その覚悟は思わぬ形で挫かれてしまった。驚きのあまりものすごい勢いで振り返った美奈は自分の前に立っている少女を見てぽかんと口を開けた。
「な……んで……?」
「少しお話しがしたかったので」
言葉にならない様子の美奈に、彩萌は優しく微笑みかける。その顔があまりにも可愛らしく、そう思った自分に激しく憤りを感じた美奈が我を取り戻す。
「あ、あんたと話す事なんてなにもないのよ!! いいからさっさとこの場から消えなさい!!」
その声は怒鳴り声というより叫び声に近かった。いつもの彩萌であれば怯えた表情を見せるのだが、今日の彼女は落ち着き払っている。
「好きなんですよね? 颯空君の事」
「なっ……!?」
突然の問いかけに動揺を隠せない美奈。
「……だ、誰があんな奴の事なんてっ!!」
「颯空君が好きだから、彼の近くにいる私が気に入らなかったんですよね?」
「な、なにを言って……!!」
「別に隠す必要なんてないんですよ。ここには私たち以外誰もいませんから」
微笑んだまま彩萌は言った。知らない。こんな女知らない。自分が知っているのは颯空の後ろを金魚の糞のように付きまとっている地味で、いつもおどおどしていて、いけ好かない女だけだ。こんな……こんな余裕の笑みを携えて堂々と目の前に立っているような女など知ってたまるか。
「……なんか知らないけど、えらく調子に乗っているみたいね。痛い目みたいの?」
なんとか平静を装いつつ、美奈が凄んで見せる。だが、彩萌の表情は少しも変わらない。
「そうですか……そんなにまで颯空君の事を」
「っ!? だから、好きじゃないって言ってるでしょっ!! 適当なことばっか言ってると張り倒すわよ!!」
「好きでもない人の事でそんなにも思い悩まないでしょ? ……そんなものまで持ち出して」
美奈の右手にあるものを見ながら彩萌は言った。美奈が慌てて包丁を背中に隠すも時すでに遅し。美奈がしようとしている事を知った彩萌は、それでも表情を崩さない。
「美奈さんは本当に勇気がありますね。私には到底真似できない」
「は、はぁ? 何言ってんのよ、あんた!!」
「私は臆病者だから……もし、あなたと同じ立場になっても、自分が大切だと思う人を傷つける事なんて出来ない。ましてや、一緒に命を落とそうだなんて、怖くて足がすくんでしまいます」
屋上に呼び出した意図まで、彩萌は見抜いていた。ゆっくりと自分の方へと歩き出した彩萌に恐怖を感じた美奈が包丁を前に出して威嚇をする。
「そ、それ以上近づいたら、あんたから先に殺すわよ!!」
「出会い方が違えば私とあなたは仲良くなれたかもしれないのに……運命というのは本当に残酷なものですね」
美奈の脅しなど物ともせずに彩萌が一歩ずつ近づいてきた。それに合わせて美奈は一歩ずつ後退していく。
「く、来るなって言ってるでしょ! 本当に殺すわよ!?」
「でも、そうですね……やっぱり仲良くはなれそうにないです。……たとえ、同じ人を好きになった相手でも」
「っ!?」
ここに来て初めて、彩萌が顔から笑みを消し、真剣な表情を浮かべた。
「好きになってもらう努力もしてないくせに、好意を向けてもらうことを夢見ているおとぎ話のお姫様みたいにおめでたい人」
「やめろ……」
「愛した人が自分を見てくれない事で感じるストレスを、弱者をいたぶる事でしか発散できないどうしようもない人」
「やめろ……!」
「愛した人に嫌いだと言われたら、この世界からいなくなる選択肢しか選べないような脆弱な人」
「やめろぉ……!!」
がちがちと歯が鳴る。包丁を持つ手が震えて制御が効かない。
そんな美奈の目前までやってきた彩萌は、これ以上ないほどに暖かな笑みを浮かべた
「そんな卑怯で醜いあなたが、私は嫌いです」
──お前のことは嫌いだ。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
完全に理性を失った美奈が目を固く閉じ、悲鳴に近い怒声を上げながら、彩萌に向かって突進した。
ブスッ。
自分の手に何か生暖かいものが流れてくる。正気を取り戻した美奈が恐る恐る目を開けると、そこには真っ赤に染まった自分の手があった。
「ひぃっ……!!」
美奈が短い悲鳴を上げながら腰を抜かす。彩萌はゴフッ、と口から血を吐きながら、自分のお腹に刺さっている包丁を抜き、その辺に投げ捨てた。
ぶるぶると足元で震える美奈を無視して、刺された箇所を抑えながら、彩萌はフラフラと屋上の端まで歩いていく。最後の力を振り絞って少し高くなっている屋上のふちに上ると、ゆっくりと息を吐きだし、出入り口の方へ顔を向け、にっこりと微笑を浮かべた。
「来るのが少し早いですよ……颯空君」
そこには呆然とその場にたたずむ颯空の姿があった。
美奈は空虚な心で手に持ったものへ視線を向ける。そこにあるのは刃渡り三十センチメートルの包丁。美奈の覚悟の証。
「嫌われるくらいならいっそ……!!」
美奈は下唇をかみしめると、ギュッと包丁の柄を握りしめた。屋上を選んだのはすぐに自分も颯空の後を追う事ができるため。颯空のいない世界に興味なんてない。そして、颯空に嫌われてしまったこの人生に意味などない。この世界に別れを告げ、永遠の時を彼と共に歩んでいく。
そんなことを考えていたら屋上の扉が開いた音がした。ドキリと心臓が跳ね上がる。まだ約束の時間には早い。だが、こんな時間にこんな場所に来るのは、自分が呼び出した相手以外にはありえなかった。自分を落ち着かせるように、そっと手を胸に添える。近づいてくる足音が少し後ろで止まった。もう後には引き返せない。ゆっくりと深呼吸をし、美奈は覚悟を決める。
「――颯空君じゃないですよ、美奈さん」
だが、その覚悟は思わぬ形で挫かれてしまった。驚きのあまりものすごい勢いで振り返った美奈は自分の前に立っている少女を見てぽかんと口を開けた。
「な……んで……?」
「少しお話しがしたかったので」
言葉にならない様子の美奈に、彩萌は優しく微笑みかける。その顔があまりにも可愛らしく、そう思った自分に激しく憤りを感じた美奈が我を取り戻す。
「あ、あんたと話す事なんてなにもないのよ!! いいからさっさとこの場から消えなさい!!」
その声は怒鳴り声というより叫び声に近かった。いつもの彩萌であれば怯えた表情を見せるのだが、今日の彼女は落ち着き払っている。
「好きなんですよね? 颯空君の事」
「なっ……!?」
突然の問いかけに動揺を隠せない美奈。
「……だ、誰があんな奴の事なんてっ!!」
「颯空君が好きだから、彼の近くにいる私が気に入らなかったんですよね?」
「な、なにを言って……!!」
「別に隠す必要なんてないんですよ。ここには私たち以外誰もいませんから」
微笑んだまま彩萌は言った。知らない。こんな女知らない。自分が知っているのは颯空の後ろを金魚の糞のように付きまとっている地味で、いつもおどおどしていて、いけ好かない女だけだ。こんな……こんな余裕の笑みを携えて堂々と目の前に立っているような女など知ってたまるか。
「……なんか知らないけど、えらく調子に乗っているみたいね。痛い目みたいの?」
なんとか平静を装いつつ、美奈が凄んで見せる。だが、彩萌の表情は少しも変わらない。
「そうですか……そんなにまで颯空君の事を」
「っ!? だから、好きじゃないって言ってるでしょっ!! 適当なことばっか言ってると張り倒すわよ!!」
「好きでもない人の事でそんなにも思い悩まないでしょ? ……そんなものまで持ち出して」
美奈の右手にあるものを見ながら彩萌は言った。美奈が慌てて包丁を背中に隠すも時すでに遅し。美奈がしようとしている事を知った彩萌は、それでも表情を崩さない。
「美奈さんは本当に勇気がありますね。私には到底真似できない」
「は、はぁ? 何言ってんのよ、あんた!!」
「私は臆病者だから……もし、あなたと同じ立場になっても、自分が大切だと思う人を傷つける事なんて出来ない。ましてや、一緒に命を落とそうだなんて、怖くて足がすくんでしまいます」
屋上に呼び出した意図まで、彩萌は見抜いていた。ゆっくりと自分の方へと歩き出した彩萌に恐怖を感じた美奈が包丁を前に出して威嚇をする。
「そ、それ以上近づいたら、あんたから先に殺すわよ!!」
「出会い方が違えば私とあなたは仲良くなれたかもしれないのに……運命というのは本当に残酷なものですね」
美奈の脅しなど物ともせずに彩萌が一歩ずつ近づいてきた。それに合わせて美奈は一歩ずつ後退していく。
「く、来るなって言ってるでしょ! 本当に殺すわよ!?」
「でも、そうですね……やっぱり仲良くはなれそうにないです。……たとえ、同じ人を好きになった相手でも」
「っ!?」
ここに来て初めて、彩萌が顔から笑みを消し、真剣な表情を浮かべた。
「好きになってもらう努力もしてないくせに、好意を向けてもらうことを夢見ているおとぎ話のお姫様みたいにおめでたい人」
「やめろ……」
「愛した人が自分を見てくれない事で感じるストレスを、弱者をいたぶる事でしか発散できないどうしようもない人」
「やめろ……!」
「愛した人に嫌いだと言われたら、この世界からいなくなる選択肢しか選べないような脆弱な人」
「やめろぉ……!!」
がちがちと歯が鳴る。包丁を持つ手が震えて制御が効かない。
そんな美奈の目前までやってきた彩萌は、これ以上ないほどに暖かな笑みを浮かべた
「そんな卑怯で醜いあなたが、私は嫌いです」
──お前のことは嫌いだ。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
完全に理性を失った美奈が目を固く閉じ、悲鳴に近い怒声を上げながら、彩萌に向かって突進した。
ブスッ。
自分の手に何か生暖かいものが流れてくる。正気を取り戻した美奈が恐る恐る目を開けると、そこには真っ赤に染まった自分の手があった。
「ひぃっ……!!」
美奈が短い悲鳴を上げながら腰を抜かす。彩萌はゴフッ、と口から血を吐きながら、自分のお腹に刺さっている包丁を抜き、その辺に投げ捨てた。
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