4 / 8
四
しおりを挟む
アキラは社内で仕事する社員たちに手で挨拶しながらマカヴォイトランスポーツを後にしたアキラ達一行は、そのままシャトル駐機場に戻り、二人と一匹でシャトルの安全確認をした後、シャトルのコンピューターを立ち上げてステーションまでのフライトプランをシャトル管制に送った。
『こちら管制です。タチバナ号のフライトプラン受領確認しました。基船のトランスポンダーは〇二四六八五、B12通行路からK通行路を経由して十六番カタパルトへ向かってください。射出後は高度一六〇〇〇〇でKIRKOを経由してBステーションへ向かってください。またカタパルト到着次第、タワーと連絡を取ってください』
フライトプラン送信後すぐに管制から受諾連絡が入ったので、復唱する。
「こちらタチバナ号、トランスポンダーを〇二四六八五にセット。B12からK経由で十六番カタパルトに向かいます。射出後は高度一六〇〇〇〇でKIRKO経由でBステーションに向かいます」
『復唱合ってます。トランスポンダーも確認できました。良い旅を』
「ありがとう」
船長としての通信を終えたアキラは管制から伝えられた飛行ルートをコンピューターに登録したフライトプランに挿入しミレーヌと一緒にエンジン点火前まで機体セッティングと確認を進める。クロはというと、アキラが作ったクロ用のシートに座り、ベルトボタンを押して既に準備完了である。
期待のセッティングを終えたアキラは駐機グランドに連絡をし、シャトルのプッシュバックを求めた。
『こちらグランド。プッシュバックを開始する。パーキングブレーキをオフにして滑走エンジンを点火せよ』
「了解」
アキラはミレーヌにパーキングブレーキを解除させてその旨をグランドに伝えると、シャトルが動き出した。
「ミレーヌ、滑走エンジン点火」
「はい、滑走エンジン点火」
滑走エンジンの点火を計器でチェックしてグランドマンにもチェックしてもらい正常点火を確認した。
プッシュバックが終わると今度は、ブースター油圧確認を行ない、正常であることを確認してカタパルトまでのタキシングを開始した。
「いつものことながら人間の乗り物って大変ね」
とクロが溜息をつきながら言う。
「その人間のシャトルにただ乗ってるだけなのはお前だろクロ」
「それを言われたらアタシも何も言えないわ」
アキラとクロの会話を聞きながらミレーヌは吹き出す。
「あ、ミレーヌ、今アタシを笑ったでしょ!」
「そんなことないわよ。いつものことながら面白い会話だなと……」
「あーやっぱり笑ってるじゃない!覚えておきなさい、アンタのベッドにネズミ仕込んどくんだから」
「それはヤメテ!」
いつもの二人と一匹の会話だ。これもルーティンと言えなくもないかもしれない。
さて、シャトル「タチバナ号」はカタパルト付近まで来たのだが、この時間混み合っているのか射出待ちが五機もいた。
「こりゃ十分くらいの待ちかなー」
「そうかもしれないわね」
「ニャー……」
「仕方ない、空くまでなんかないか?」
「アキラ、あなたそうやっていつも丸投げよね」
「ニャー!」
一人と一匹からクレームをつけられるアキラ。
「だってさ、俺は操縦に集中しなきゃなんねーだろ?」
「苦しい言い訳ニャー」
「ならしりとりでもしない?」
「しりとりかぁ……」
「いいんじゃない?」
「じゃあ私、クロ、アキラの順でいい?」
「いいわよ」
「なんかしりとりにならない気もするが……まぁいいだろ」
ということで待ち時間をしりとりで過ごすことになったのだか――
「じゃあね、アキラ」
「ランドハルにゃー」
「ルービス」
「アキラ、ニャーまでだからね」
と、せっかく答えたのにクロからダメ出しが入る。
「なら……あ、あ、あ、アンドラ」
「ラパス」
「スパニャー」
「もしかしてこれもニャーまでか?」
「「もちろん!」」
アキラの問いにミレーヌとクロがハモる。
「マジか………あ、あ、アデル」
「ルート」
「トークニャー」
「またニャーかよ……あ、あ、あ……」
アキラが「あ」から始まる言葉を探してるところにミレーヌとクロがカウントダウンを始める。――そして、
「「ゼロー!」」
「アキラの負けね」
「ニャ!」
「クロのニャーはズルいぞ!」
「だって猫だもん」
と何食わぬ顔して言うクロ。
それが正しいだけにアキラは何も言えないのだった――。
そうこうしている内に前はだいぶ履けていき、次がタチバナ号射出。前にいるのは大型旅客機。緑と白のツートンカラーを基調としたマヤ星系のマヤスペースラインのラカマダ社製RM899‐700という機体だ。
このシャトルはブースターエンジンが最大十基ついており、大気圏離脱にそれだけ多くのトルクを必要とする機体であることがわかる。
因みに旅客機のブースターは使い捨てではなく、燃焼終了し分離されたらそのまま宇宙港南方にある各会社用のブースター回収施設まで自動帰還するように設計されている。この技術があるからこそ、ステーションからではなく地上からの大気圏離脱を可能としているのだ。
また、シャトルの中では「対Gキャンセラー」というものがついていて、射出時の強烈な重力を乗客に感じさせないような装置までついていたりする。
マヤスペースラインのシャトル後方のカタパルトに熱防護シールドが展開され、ブースターが点火される。それから数秒後、轟音とともに大型シャトルが空中に打ち上げられ、あっという間に見えなくなってしまう。
「毎回見るたびに思うけど、人間のやることってすごいと思うわ」
と、クロが溜息混じりにそう言う。
「確かになー。俺が修学旅行でラオ星系に行ったときにあのクラスの旅客機に乗ったけど、全くと言っていいほどに揺れないし体も押し付けられないしで、すげぇと思ったもんだよ」
「それなら、このシャトルにも揺れない装置をつけたらアタシもラクになるのに……」
「無茶言うな。そもそもこんな小型シャトルそんなにGかかってないだろ」
「人間には良くても猫にはキツいのよ!」
「そりゃ人間様の乗るものだからなー」
「アンタ、後で覚えときなさいよ!」
アキラとクロのやり取りをミレーヌが笑いながら聞いている。
「なによ、ミレーヌ!アンタまでアタシを舐める気?」
クロのストレスの矛先がミレーヌに向く。
「いやいや、クロを舐めるなんて……」
「そう?私は舐めるわよ。物理的に」
「ア、アハハ……」
クロが口の周りを舌なめずりする仕草を見て、ミレーヌは顔を引きつらせるのだった。
『こちら管制です。タチバナ号のフライトプラン受領確認しました。基船のトランスポンダーは〇二四六八五、B12通行路からK通行路を経由して十六番カタパルトへ向かってください。射出後は高度一六〇〇〇〇でKIRKOを経由してBステーションへ向かってください。またカタパルト到着次第、タワーと連絡を取ってください』
フライトプラン送信後すぐに管制から受諾連絡が入ったので、復唱する。
「こちらタチバナ号、トランスポンダーを〇二四六八五にセット。B12からK経由で十六番カタパルトに向かいます。射出後は高度一六〇〇〇〇でKIRKO経由でBステーションに向かいます」
『復唱合ってます。トランスポンダーも確認できました。良い旅を』
「ありがとう」
船長としての通信を終えたアキラは管制から伝えられた飛行ルートをコンピューターに登録したフライトプランに挿入しミレーヌと一緒にエンジン点火前まで機体セッティングと確認を進める。クロはというと、アキラが作ったクロ用のシートに座り、ベルトボタンを押して既に準備完了である。
期待のセッティングを終えたアキラは駐機グランドに連絡をし、シャトルのプッシュバックを求めた。
『こちらグランド。プッシュバックを開始する。パーキングブレーキをオフにして滑走エンジンを点火せよ』
「了解」
アキラはミレーヌにパーキングブレーキを解除させてその旨をグランドに伝えると、シャトルが動き出した。
「ミレーヌ、滑走エンジン点火」
「はい、滑走エンジン点火」
滑走エンジンの点火を計器でチェックしてグランドマンにもチェックしてもらい正常点火を確認した。
プッシュバックが終わると今度は、ブースター油圧確認を行ない、正常であることを確認してカタパルトまでのタキシングを開始した。
「いつものことながら人間の乗り物って大変ね」
とクロが溜息をつきながら言う。
「その人間のシャトルにただ乗ってるだけなのはお前だろクロ」
「それを言われたらアタシも何も言えないわ」
アキラとクロの会話を聞きながらミレーヌは吹き出す。
「あ、ミレーヌ、今アタシを笑ったでしょ!」
「そんなことないわよ。いつものことながら面白い会話だなと……」
「あーやっぱり笑ってるじゃない!覚えておきなさい、アンタのベッドにネズミ仕込んどくんだから」
「それはヤメテ!」
いつもの二人と一匹の会話だ。これもルーティンと言えなくもないかもしれない。
さて、シャトル「タチバナ号」はカタパルト付近まで来たのだが、この時間混み合っているのか射出待ちが五機もいた。
「こりゃ十分くらいの待ちかなー」
「そうかもしれないわね」
「ニャー……」
「仕方ない、空くまでなんかないか?」
「アキラ、あなたそうやっていつも丸投げよね」
「ニャー!」
一人と一匹からクレームをつけられるアキラ。
「だってさ、俺は操縦に集中しなきゃなんねーだろ?」
「苦しい言い訳ニャー」
「ならしりとりでもしない?」
「しりとりかぁ……」
「いいんじゃない?」
「じゃあ私、クロ、アキラの順でいい?」
「いいわよ」
「なんかしりとりにならない気もするが……まぁいいだろ」
ということで待ち時間をしりとりで過ごすことになったのだか――
「じゃあね、アキラ」
「ランドハルにゃー」
「ルービス」
「アキラ、ニャーまでだからね」
と、せっかく答えたのにクロからダメ出しが入る。
「なら……あ、あ、あ、アンドラ」
「ラパス」
「スパニャー」
「もしかしてこれもニャーまでか?」
「「もちろん!」」
アキラの問いにミレーヌとクロがハモる。
「マジか………あ、あ、アデル」
「ルート」
「トークニャー」
「またニャーかよ……あ、あ、あ……」
アキラが「あ」から始まる言葉を探してるところにミレーヌとクロがカウントダウンを始める。――そして、
「「ゼロー!」」
「アキラの負けね」
「ニャ!」
「クロのニャーはズルいぞ!」
「だって猫だもん」
と何食わぬ顔して言うクロ。
それが正しいだけにアキラは何も言えないのだった――。
そうこうしている内に前はだいぶ履けていき、次がタチバナ号射出。前にいるのは大型旅客機。緑と白のツートンカラーを基調としたマヤ星系のマヤスペースラインのラカマダ社製RM899‐700という機体だ。
このシャトルはブースターエンジンが最大十基ついており、大気圏離脱にそれだけ多くのトルクを必要とする機体であることがわかる。
因みに旅客機のブースターは使い捨てではなく、燃焼終了し分離されたらそのまま宇宙港南方にある各会社用のブースター回収施設まで自動帰還するように設計されている。この技術があるからこそ、ステーションからではなく地上からの大気圏離脱を可能としているのだ。
また、シャトルの中では「対Gキャンセラー」というものがついていて、射出時の強烈な重力を乗客に感じさせないような装置までついていたりする。
マヤスペースラインのシャトル後方のカタパルトに熱防護シールドが展開され、ブースターが点火される。それから数秒後、轟音とともに大型シャトルが空中に打ち上げられ、あっという間に見えなくなってしまう。
「毎回見るたびに思うけど、人間のやることってすごいと思うわ」
と、クロが溜息混じりにそう言う。
「確かになー。俺が修学旅行でラオ星系に行ったときにあのクラスの旅客機に乗ったけど、全くと言っていいほどに揺れないし体も押し付けられないしで、すげぇと思ったもんだよ」
「それなら、このシャトルにも揺れない装置をつけたらアタシもラクになるのに……」
「無茶言うな。そもそもこんな小型シャトルそんなにGかかってないだろ」
「人間には良くても猫にはキツいのよ!」
「そりゃ人間様の乗るものだからなー」
「アンタ、後で覚えときなさいよ!」
アキラとクロのやり取りをミレーヌが笑いながら聞いている。
「なによ、ミレーヌ!アンタまでアタシを舐める気?」
クロのストレスの矛先がミレーヌに向く。
「いやいや、クロを舐めるなんて……」
「そう?私は舐めるわよ。物理的に」
「ア、アハハ……」
クロが口の周りを舌なめずりする仕草を見て、ミレーヌは顔を引きつらせるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる