37 / 94
クリエイトウォーター
しおりを挟む
クリエイトウォーターは水を創り出す魔法だそうだ。この魔法を使える魔法使いは少ないらしく、その為、この魔法のスクロールの値段もお高い。
確かに。遭難時のみならず、ダンジョン深くに入っている時に水が必要になる場面は沢山ありそうだ。
説明を聞いていたら欲しくなったのだけど、お姉さんの言葉通り値段が高くて躊躇してしまったのだ。
そのお値段、なんと金貨五枚だ。
買えないことはないし、僕の場合、一回買ってしまえば……ということもあって買ってしまっても良かったのだけど、説明の時に「地下深くまで潜るようなチャレンジャー様がたまに何枚か購入してくださるんですが、新人の方にはお勧めいたしかねる物ですね。寧ろ、ダンジョン内でこのスクロールを見つけたら当店までお持ちいただければと思います」と言われてしまったから。きっと見た目が新人、またはこの店に初めてやってきた奴にぼったくりのような真似はしないよ、という親切心だったのだと思うけど、買うか買うまいか悩んでいた僕から、買うという選択肢を取り上げられてしまった感じだ。
と、長々と思い出してしまうくらい、ちょっと後悔をしている一品だった。
ただ、このお姉さんは普通に良い人ではあった。何故なら、攻撃魔法のサンプルを見せてくれたからだ。
僕が持っているロックバレットのスクロールを「これって売れますかね?」と出してみたら、「これは多分攻撃魔法だったような……」と言って、攻撃魔法を書き写したサンプル表を取り出してくれたのだ。
テーブルに置いて、僕の出したスクロールと同じ文字が書かれた物を探してくれたのだが、その時に四つほど魔法を覚えさせてもらってしまったのだ。
これって泥棒になってしまうんだろうか。
ウインドアロー
ウインドスラッシュ
ウインドストーム
ロックウォール
ロックバレットに辿り着くまでに、ペラ、ペラ、と確認しながら開いてくれたので、僕も一緒に見ながらそれを覚えさせてもらった。
覚えきれなくて「あれ、そのウインドスラッシュとウインドストームというのはさっきの説明で出てこなかった魔法ですね?」とか質問して引き止めたりした。
どうやら、今はスクロールの在庫がないんだそうで、売れない物を説明するのも変かと思ったのだそうだ。
そして、ロックバレットのページの反対側にあるロックウォールを見ている時になって、「あ、ダメダメ、見て覚えちゃだめですよ。鑑定も有料なんですから」と思い出したかのようにロックウォールのページを隠されてしまった。素に戻った感じがちょっと可愛く見えてしまった。
お姉さん、色々とごめんなさい。
そしてありがとう。
で、申し訳なくなって買ったのがカオスファインダーという巻物だ。
実はこれも金貨五枚だったりする。
これは、魔法の対象が魔法の発動者に対して障害となる物/悪意を持っている者かどうかを見極められる魔法なんだそうだ。
例えば宝箱に対して使った場合、罠が仕掛けられていれば赤く光って見えるのだそうだ。
人に対して使う時は、普通に使ってもいいらしいけど、嘘発見器のように使うこともできるらしい。この魔法を発動して質問をして答えさせると、相手が嘘をついた場合は赤く光って見えるそうだ。
宝箱の罠がどんなものかまでは分からないみたいだけど、罠があるか無いかが分かるだけでもありがたい。罠が無いと分れば恐れずに宝箱を開けることができるからね。
さっそく、次の宝箱の時に使ってみよう。
そして、僕は買ったばかりのカオスファインダー・スクロールをダンジョン攻略ギルドに売りに行った。
実際のところ、今の僕はそれほどお金持ちではないのだ。
だから正直に「マジックポットで説明を聞いてたらつい買ってしまったけど、お金がないから買い取ってほしい」とギフに頼んだ。
「何個あっても無駄になるもんじゃねえから買ってやるぜ」と金貨二枚と大銀貨一枚で買い取ってくれた。大銀貨一枚分だけ、僕を憐れんでおまけしてくれたらしい。
その後は街をぶらついてみた。
すると、この世界に来て最初に泊まった宿が見えてきた。
一泊朝食付きで銀貨二十一枚はかなり高かったよなぁ。身分証を手に入れて銀貨十枚になった時は一瞬安いと思ったけど、それでもかなり高かったんだよね。
今、ハワードさんの所で部屋を借りられてるのはラッキーなことだよね、本当に。
「あ、フトウさん、ちわっす」
「こんにちは」
「ああ、どうも」
ぼんやりと歩いていたら、熊野君達と会ってしまった。
そして、挨拶だけしてすれ違おうとしたのだけど、呼び止められてお茶をすることになってしまったのだった。
確かに。遭難時のみならず、ダンジョン深くに入っている時に水が必要になる場面は沢山ありそうだ。
説明を聞いていたら欲しくなったのだけど、お姉さんの言葉通り値段が高くて躊躇してしまったのだ。
そのお値段、なんと金貨五枚だ。
買えないことはないし、僕の場合、一回買ってしまえば……ということもあって買ってしまっても良かったのだけど、説明の時に「地下深くまで潜るようなチャレンジャー様がたまに何枚か購入してくださるんですが、新人の方にはお勧めいたしかねる物ですね。寧ろ、ダンジョン内でこのスクロールを見つけたら当店までお持ちいただければと思います」と言われてしまったから。きっと見た目が新人、またはこの店に初めてやってきた奴にぼったくりのような真似はしないよ、という親切心だったのだと思うけど、買うか買うまいか悩んでいた僕から、買うという選択肢を取り上げられてしまった感じだ。
と、長々と思い出してしまうくらい、ちょっと後悔をしている一品だった。
ただ、このお姉さんは普通に良い人ではあった。何故なら、攻撃魔法のサンプルを見せてくれたからだ。
僕が持っているロックバレットのスクロールを「これって売れますかね?」と出してみたら、「これは多分攻撃魔法だったような……」と言って、攻撃魔法を書き写したサンプル表を取り出してくれたのだ。
テーブルに置いて、僕の出したスクロールと同じ文字が書かれた物を探してくれたのだが、その時に四つほど魔法を覚えさせてもらってしまったのだ。
これって泥棒になってしまうんだろうか。
ウインドアロー
ウインドスラッシュ
ウインドストーム
ロックウォール
ロックバレットに辿り着くまでに、ペラ、ペラ、と確認しながら開いてくれたので、僕も一緒に見ながらそれを覚えさせてもらった。
覚えきれなくて「あれ、そのウインドスラッシュとウインドストームというのはさっきの説明で出てこなかった魔法ですね?」とか質問して引き止めたりした。
どうやら、今はスクロールの在庫がないんだそうで、売れない物を説明するのも変かと思ったのだそうだ。
そして、ロックバレットのページの反対側にあるロックウォールを見ている時になって、「あ、ダメダメ、見て覚えちゃだめですよ。鑑定も有料なんですから」と思い出したかのようにロックウォールのページを隠されてしまった。素に戻った感じがちょっと可愛く見えてしまった。
お姉さん、色々とごめんなさい。
そしてありがとう。
で、申し訳なくなって買ったのがカオスファインダーという巻物だ。
実はこれも金貨五枚だったりする。
これは、魔法の対象が魔法の発動者に対して障害となる物/悪意を持っている者かどうかを見極められる魔法なんだそうだ。
例えば宝箱に対して使った場合、罠が仕掛けられていれば赤く光って見えるのだそうだ。
人に対して使う時は、普通に使ってもいいらしいけど、嘘発見器のように使うこともできるらしい。この魔法を発動して質問をして答えさせると、相手が嘘をついた場合は赤く光って見えるそうだ。
宝箱の罠がどんなものかまでは分からないみたいだけど、罠があるか無いかが分かるだけでもありがたい。罠が無いと分れば恐れずに宝箱を開けることができるからね。
さっそく、次の宝箱の時に使ってみよう。
そして、僕は買ったばかりのカオスファインダー・スクロールをダンジョン攻略ギルドに売りに行った。
実際のところ、今の僕はそれほどお金持ちではないのだ。
だから正直に「マジックポットで説明を聞いてたらつい買ってしまったけど、お金がないから買い取ってほしい」とギフに頼んだ。
「何個あっても無駄になるもんじゃねえから買ってやるぜ」と金貨二枚と大銀貨一枚で買い取ってくれた。大銀貨一枚分だけ、僕を憐れんでおまけしてくれたらしい。
その後は街をぶらついてみた。
すると、この世界に来て最初に泊まった宿が見えてきた。
一泊朝食付きで銀貨二十一枚はかなり高かったよなぁ。身分証を手に入れて銀貨十枚になった時は一瞬安いと思ったけど、それでもかなり高かったんだよね。
今、ハワードさんの所で部屋を借りられてるのはラッキーなことだよね、本当に。
「あ、フトウさん、ちわっす」
「こんにちは」
「ああ、どうも」
ぼんやりと歩いていたら、熊野君達と会ってしまった。
そして、挨拶だけしてすれ違おうとしたのだけど、呼び止められてお茶をすることになってしまったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる