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魔鉱窟ダンジョン
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「はあ? 大樹の根のダンジョンと魔鉱窟ダンジョンの違いを聞きたいだって?」
「そう。出て来る魔物とか宝について聞きたいんですよ」
「なあんでギルドメンバーでもないお前さんに話して聞かせてやらなきゃなんねえんだぜ?」
「ギルドメンバーじゃないと聞かせてもらえないのか……分かりました」
そう言って僕は立ち上がった。
「あん? なんだ、もう終わりか?」
「ええ。話は聞けないんでしょう? だったらここにいても仕方ないし、他のギルドに聞いてみますよ。じゃ」
「おいおいおいおいちょおっと待てや」
「はい?」
「いやお前、今までうちで色々してやったろう」
「? ええ、そうですね。ギルドのゲストカードは本当に助かってます。ありがとう。でも色々ってなんだろう?」
「そりゃあ……魔石やスクロールを買い取ってやっただろう?」
「え? それのことですか? でも、それって他所のギルドで売るのと同じ値段だったような気がしますけど」
「ほれ、カオスファインダーのスクロールは高く買い取ってやっただろ?」
「そうだった。大銀貨一枚分だけ高く買ってくれたんだった。ありがとう。他には?」
「あー、あれだ……ん~~」
「僕が泥棒をしてるんじゃないかって疑って見張りをつけてくれたこと?」
「いや、あれはだな」
「その見張りが、誰か、それか魔物にやられたのを僕のせいにしようとしたこと?」
「いや……」
「スクロールの発動句を知らなかった僕が、スクロールを売りに来た時にその説明をしなかったこと?」
「いや、あれはお前さんはもう知ってると思ってたんだ。ぐぬぬぬぬ……あ、そうだ。ほれ、お前さんが行きたいって言うから茜で奢ってやったろう」
「あれは僕から話を聞き出すための対価としてだったような……違いましたっけ?」
「…………」
会話の相手はギフだ。
ここはダンジョン攻略ギルド。
別に嫌がらせに来たわけじゃない。
魔石を売ったあと、僕は欲しい情報があってギフに質問をしたんだ。
でも、僕の質問に対して、ギフは情報の対価(値段)を聞いてくるのではなく、ギルドメンバー以外には教えられないと言ってきたから、他のところに聞きにこうと思っただけだ。
それを、あーでもないこーでもないと言い始めたから、受け答えしてるだけなんだけど、ギフはもしかしてあれか、僕が他のギルドに入るのを懸念しているのか?
だとしたも、別に僕が他のギルドに入ろうが、ダンジョン攻略ギルドになんの影響もないと思うんだけど、何が彼を焦らせているんだろうか。
「そお言われて考えてみりゃ、特にお前さんに便宜を図ってやってた訳じゃねえな……」
「見張りをつけられるのは嫌ですけど、ゲストカードを貸してくれたのは感謝してますよ。じゃ、また来ますので」
僕は今度こそギルドから出ようと扉に向かう。それにしても相変わらず暗くて足元が怪しい施設だな。まあ、大根掘りで地下三階を経験したから、こういう暗闇に慣れるのが大切だと言うことは分かるんだけど。
「いや、ちょっと待て。俺はいずれはお前さんにうちに入ってもらいたいと思ってんだ。その辺を汲んでもらえるんだったらある程度のことなら教えてやらあ。こっち来な」
おっと。
まあ、前に、僕自身も大樹の根のダンジョン地下五階まで行けたら、なんて口にしてるしね。あまり人に見せない方が良さそうな能力を使わないでも戦えるようになったら、その時は魔鉱窟ダンジョンにも入ってみたい気はする。その時は、今のところダンジョン攻略ギルドにお世話になろうかなとは思ってるけど。他に選択肢があまりないし。
ギフはカウンターから出てきてテーブルの席に腰を掛けた。
僕もその対面に座る。
「んで、二つのダンジョンの魔物の話だったか」
ガガガがと音が出そうな勢いで頭を搔きながらギフがいう。
「はい。まあ僕も正直に言いますけど、大根の方はコボルトやネズミが出るじゃないですか。宝箱からは金貨一枚かスクロールが出てきます。それ以外にお金になりそうな物はあまりないですよね」
前にヒール・スクロールを売りに来たから分かってるとは思うけど、僕は暗に「地下一階は突破してるよ」ということを伝えた。
「大根か。それを分かっててそこにチャレンジし続けるのはいったい……いや、答えるのは俺の方か。魔鉱窟はな、まず一階層にはゴブリンが出る。このゴブリンってのは緑色の一メートルくらいの魔物でなあ……コボルトよりも弱い。それでいて、魔鉱窟には魔鉱石ってのがあってな。新人はゴブリンで安全に戦闘経験を積みながら、魔鉱石を採取して装備を整えていくもんなんだぜ」
「…………え?」
「俺はちゃんと言ったぜ? うちに入って魔鉱窟ダンジョンに行けってな。もちろん、お前さんが嫌がらなければ、最初は先輩チャレンジャーと一緒に入ってレクチャーしてやれただろうし、稼ぎ方も教えてやれたんだが……まあ無理強いするもんでもねえからな」
ちょっと放心してしまったみたいだ。
そうか、なるほど。
魔鉱窟は本当に旨味が多いダンジョンだったのか。
大根が大根と呼ばれる理由が分かったよ。
そりゃそうだよな。男爵のお抱え闘士達が入ってるダンジョンなんだからね。
そうだよなぁ…………
「そう。出て来る魔物とか宝について聞きたいんですよ」
「なあんでギルドメンバーでもないお前さんに話して聞かせてやらなきゃなんねえんだぜ?」
「ギルドメンバーじゃないと聞かせてもらえないのか……分かりました」
そう言って僕は立ち上がった。
「あん? なんだ、もう終わりか?」
「ええ。話は聞けないんでしょう? だったらここにいても仕方ないし、他のギルドに聞いてみますよ。じゃ」
「おいおいおいおいちょおっと待てや」
「はい?」
「いやお前、今までうちで色々してやったろう」
「? ええ、そうですね。ギルドのゲストカードは本当に助かってます。ありがとう。でも色々ってなんだろう?」
「そりゃあ……魔石やスクロールを買い取ってやっただろう?」
「え? それのことですか? でも、それって他所のギルドで売るのと同じ値段だったような気がしますけど」
「ほれ、カオスファインダーのスクロールは高く買い取ってやっただろ?」
「そうだった。大銀貨一枚分だけ高く買ってくれたんだった。ありがとう。他には?」
「あー、あれだ……ん~~」
「僕が泥棒をしてるんじゃないかって疑って見張りをつけてくれたこと?」
「いや、あれはだな」
「その見張りが、誰か、それか魔物にやられたのを僕のせいにしようとしたこと?」
「いや……」
「スクロールの発動句を知らなかった僕が、スクロールを売りに来た時にその説明をしなかったこと?」
「いや、あれはお前さんはもう知ってると思ってたんだ。ぐぬぬぬぬ……あ、そうだ。ほれ、お前さんが行きたいって言うから茜で奢ってやったろう」
「あれは僕から話を聞き出すための対価としてだったような……違いましたっけ?」
「…………」
会話の相手はギフだ。
ここはダンジョン攻略ギルド。
別に嫌がらせに来たわけじゃない。
魔石を売ったあと、僕は欲しい情報があってギフに質問をしたんだ。
でも、僕の質問に対して、ギフは情報の対価(値段)を聞いてくるのではなく、ギルドメンバー以外には教えられないと言ってきたから、他のところに聞きにこうと思っただけだ。
それを、あーでもないこーでもないと言い始めたから、受け答えしてるだけなんだけど、ギフはもしかしてあれか、僕が他のギルドに入るのを懸念しているのか?
だとしたも、別に僕が他のギルドに入ろうが、ダンジョン攻略ギルドになんの影響もないと思うんだけど、何が彼を焦らせているんだろうか。
「そお言われて考えてみりゃ、特にお前さんに便宜を図ってやってた訳じゃねえな……」
「見張りをつけられるのは嫌ですけど、ゲストカードを貸してくれたのは感謝してますよ。じゃ、また来ますので」
僕は今度こそギルドから出ようと扉に向かう。それにしても相変わらず暗くて足元が怪しい施設だな。まあ、大根掘りで地下三階を経験したから、こういう暗闇に慣れるのが大切だと言うことは分かるんだけど。
「いや、ちょっと待て。俺はいずれはお前さんにうちに入ってもらいたいと思ってんだ。その辺を汲んでもらえるんだったらある程度のことなら教えてやらあ。こっち来な」
おっと。
まあ、前に、僕自身も大樹の根のダンジョン地下五階まで行けたら、なんて口にしてるしね。あまり人に見せない方が良さそうな能力を使わないでも戦えるようになったら、その時は魔鉱窟ダンジョンにも入ってみたい気はする。その時は、今のところダンジョン攻略ギルドにお世話になろうかなとは思ってるけど。他に選択肢があまりないし。
ギフはカウンターから出てきてテーブルの席に腰を掛けた。
僕もその対面に座る。
「んで、二つのダンジョンの魔物の話だったか」
ガガガがと音が出そうな勢いで頭を搔きながらギフがいう。
「はい。まあ僕も正直に言いますけど、大根の方はコボルトやネズミが出るじゃないですか。宝箱からは金貨一枚かスクロールが出てきます。それ以外にお金になりそうな物はあまりないですよね」
前にヒール・スクロールを売りに来たから分かってるとは思うけど、僕は暗に「地下一階は突破してるよ」ということを伝えた。
「大根か。それを分かっててそこにチャレンジし続けるのはいったい……いや、答えるのは俺の方か。魔鉱窟はな、まず一階層にはゴブリンが出る。このゴブリンってのは緑色の一メートルくらいの魔物でなあ……コボルトよりも弱い。それでいて、魔鉱窟には魔鉱石ってのがあってな。新人はゴブリンで安全に戦闘経験を積みながら、魔鉱石を採取して装備を整えていくもんなんだぜ」
「…………え?」
「俺はちゃんと言ったぜ? うちに入って魔鉱窟ダンジョンに行けってな。もちろん、お前さんが嫌がらなければ、最初は先輩チャレンジャーと一緒に入ってレクチャーしてやれただろうし、稼ぎ方も教えてやれたんだが……まあ無理強いするもんでもねえからな」
ちょっと放心してしまったみたいだ。
そうか、なるほど。
魔鉱窟は本当に旨味が多いダンジョンだったのか。
大根が大根と呼ばれる理由が分かったよ。
そりゃそうだよな。男爵のお抱え闘士達が入ってるダンジョンなんだからね。
そうだよなぁ…………
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