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ボスエリア2
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地下二階に降りた僕らは、ギフとガロを先頭に僕とリン、エナとアトリ、シュガーとボルの二列の隊形でダンジョンを進んでいる。
前方の防御だけでなく、後方にも盾と剣を配置できるのは安心感がある。
「次は私の火炎系の魔法を見せてやるのですよ」
「ファイアボールとファイアウォールでしたっけ。ファイアウォールはまだ見たことがないから楽しみかも」
「え? ええ、楽しみにしてるといいのです!」
リンと小声で会話しながらギフの後ろをついて行く。
何度かコボルトのちょっと大きいヤツ(剣士型と拳士型)やモグラと戦ったけど、レベルアップの為か、僕以外の皆が片付けてくれた。
エナはまだこの階の敵が相手だと厳しいようだ。格上の敵を倒して一気に経験値を稼ぐか、地道に勝てる相手と戦い続けて強くなるかは、判断が難しいところだ。
僕はたまたま自由自在というサイキッカーになれる強いスキルがあったから、格上の敵と戦ってこれたけど、ソードマンのスキルだけで格上と戦うのは命懸けになってしまうだろうし。
偉そうに言ってもいいのなら、「その死線を生きて踏み越えた先にレベルアップがある」とは思うんだけどね。
他の人にそれを強要はできないし、他の人には無理はしてほしくない。
理想はやっぱり「命を大事に」だと思うから。
探索は順調に進んだ。
僕一人の時に比べると三倍くらいの時間はかかっているけど。
仕方ない。命を大事に、だ。
二時間程かけて、ジャイアントスケルトン(僕が命名)のいる空洞の近くまでやって来た。
正直、これまで見てきた彼らの力量で勝てるのか少し心配だけど、前に地下三階まで行ったことがあると言うのだから勝てるのだろう。
もちろん一緒に戦うつもりではあるけど、彼らの戦略をしっかりと勉強したい。
と、思ったのだけど。
ギフとガロは曲がるべきところを曲がらずに進んだ。
あれ? と思ったけど、ここでは余計な口は挟まない方がいいだろう。僕は黙って彼らについていった。
「着いたぜ。みんなお疲れさん」
「いや、こっからだろ?」
ギフが目的地への到着を労い、ガロが気を抜くなとフォローする。
クレアボヤンスで確認したところ、今は午後の四時だ。見た感じ、エナは精神的にも肉体的にも疲れているようだ。口数が随分と減っている。
それにしても、ジャイアントスケルトンの空洞の他にもボスエリアがあったとは……確かに、ジャイアントスケルトンの空洞に行くには、道があるかないか少し分かりにくくはなってるのだけど。ぱっと見が行き止まりになってるように見えるので、ギフはその道を知らなかったんだろうな。
そしてボクも、ボスエリアを見つけたことでそれ以上のルートの探索を途中で辞めてしまっていた。だからこっちの空洞を見つけることができてなかったわけだ。
どおりで話が理解できなかったわけだ。
「フトーはあの爪攻撃はどう躱したのです?」とか、「岩魔法同士だと分が悪いのか?」とか言われてもさっぱり分からなかった。
つまり、これから戦う相手は、僕にとって初見の戦いになるということだ。
と思ったのだけど、疲労回復の為にすぐには突入せず、休憩しつつ、大根の地下二階のボス戦が初となるボルとエナの為に、細かな説明がされたのだった。助かった。
ここに現れるのは超巨大モグラ(ボスモグラ)だそうだ。
普通のサイズの大モグラと大ミミズも大量に出てくるらしい。
つまり、地下一階の超巨大ネズミのモグラバージョンということだ。
モグラの爪による攻撃が強烈らしいけど、それはギフとシュガーが止めると豪語したので任せたて良さそうだ。
気をつける点は、モグラやミミズが地面を荒らすので足場が悪くなることと、ボスモグラがロックスピアという、地面から太い槍を突き出す魔法を使ってくることだそうだ。
この休憩中に、僕は持ってきた携帯食を食べることにした。赤い袋の携帯食を取り出してエナに投げる。
「雑~」それをキャッチしたエナが不満そうに言う。
「いらないなら返してくれていいですよ」
「貰うって。お水もちょうだい?」
「もう飲みきったんですか?」
僕は、エナが自分で水筒を持ってるのを知ってるので聞いた。
「まだあるよ?」
「いや、だったら自分のを飲んでくださいよ」
そう言いながら、僕も赤い携帯食の袋を開けて一噛りした。
「からっ!」
「へへー、辛くて美味しいでしょ」
僕は自分の水筒の蓋を開けて水を飲む。この携帯食、結構な辛さだ。エナは普通二輪免許「やっぱうまっ」とか言いながら食べている。別に僕を騙したとかではなく、単に辛いものが好きなようだ。
「フトーは辛いの苦手なのですか?」
「う~ん。そんなに嫌いじゃないですけど、それほど強くはないです」
「甘いのはどうなのです?」
「甘い物は好きですよ」
「なら今度、美味しいパフェを出す店に連れてってやるのです」
「パフェですか。いいですね」
「あ、それわたしも行くからね」
「エナは来なくていいです」
「なんでよ~!」
皆に笑いが起きた。
緊張感がほぐれ、食事と水分補給ができたことで疲れも少しはとれたようだ。
ギフが「そろそろやるか」と言うと、「おう」「はい」と、いい声で返事が返った。
革靴の紐を締め直し、装備を確認する。
「よしっ」
大樹の根のダンジョン、地下二階、第二ボスエリアでの戦闘が始まる。
前方の防御だけでなく、後方にも盾と剣を配置できるのは安心感がある。
「次は私の火炎系の魔法を見せてやるのですよ」
「ファイアボールとファイアウォールでしたっけ。ファイアウォールはまだ見たことがないから楽しみかも」
「え? ええ、楽しみにしてるといいのです!」
リンと小声で会話しながらギフの後ろをついて行く。
何度かコボルトのちょっと大きいヤツ(剣士型と拳士型)やモグラと戦ったけど、レベルアップの為か、僕以外の皆が片付けてくれた。
エナはまだこの階の敵が相手だと厳しいようだ。格上の敵を倒して一気に経験値を稼ぐか、地道に勝てる相手と戦い続けて強くなるかは、判断が難しいところだ。
僕はたまたま自由自在というサイキッカーになれる強いスキルがあったから、格上の敵と戦ってこれたけど、ソードマンのスキルだけで格上と戦うのは命懸けになってしまうだろうし。
偉そうに言ってもいいのなら、「その死線を生きて踏み越えた先にレベルアップがある」とは思うんだけどね。
他の人にそれを強要はできないし、他の人には無理はしてほしくない。
理想はやっぱり「命を大事に」だと思うから。
探索は順調に進んだ。
僕一人の時に比べると三倍くらいの時間はかかっているけど。
仕方ない。命を大事に、だ。
二時間程かけて、ジャイアントスケルトン(僕が命名)のいる空洞の近くまでやって来た。
正直、これまで見てきた彼らの力量で勝てるのか少し心配だけど、前に地下三階まで行ったことがあると言うのだから勝てるのだろう。
もちろん一緒に戦うつもりではあるけど、彼らの戦略をしっかりと勉強したい。
と、思ったのだけど。
ギフとガロは曲がるべきところを曲がらずに進んだ。
あれ? と思ったけど、ここでは余計な口は挟まない方がいいだろう。僕は黙って彼らについていった。
「着いたぜ。みんなお疲れさん」
「いや、こっからだろ?」
ギフが目的地への到着を労い、ガロが気を抜くなとフォローする。
クレアボヤンスで確認したところ、今は午後の四時だ。見た感じ、エナは精神的にも肉体的にも疲れているようだ。口数が随分と減っている。
それにしても、ジャイアントスケルトンの空洞の他にもボスエリアがあったとは……確かに、ジャイアントスケルトンの空洞に行くには、道があるかないか少し分かりにくくはなってるのだけど。ぱっと見が行き止まりになってるように見えるので、ギフはその道を知らなかったんだろうな。
そしてボクも、ボスエリアを見つけたことでそれ以上のルートの探索を途中で辞めてしまっていた。だからこっちの空洞を見つけることができてなかったわけだ。
どおりで話が理解できなかったわけだ。
「フトーはあの爪攻撃はどう躱したのです?」とか、「岩魔法同士だと分が悪いのか?」とか言われてもさっぱり分からなかった。
つまり、これから戦う相手は、僕にとって初見の戦いになるということだ。
と思ったのだけど、疲労回復の為にすぐには突入せず、休憩しつつ、大根の地下二階のボス戦が初となるボルとエナの為に、細かな説明がされたのだった。助かった。
ここに現れるのは超巨大モグラ(ボスモグラ)だそうだ。
普通のサイズの大モグラと大ミミズも大量に出てくるらしい。
つまり、地下一階の超巨大ネズミのモグラバージョンということだ。
モグラの爪による攻撃が強烈らしいけど、それはギフとシュガーが止めると豪語したので任せたて良さそうだ。
気をつける点は、モグラやミミズが地面を荒らすので足場が悪くなることと、ボスモグラがロックスピアという、地面から太い槍を突き出す魔法を使ってくることだそうだ。
この休憩中に、僕は持ってきた携帯食を食べることにした。赤い袋の携帯食を取り出してエナに投げる。
「雑~」それをキャッチしたエナが不満そうに言う。
「いらないなら返してくれていいですよ」
「貰うって。お水もちょうだい?」
「もう飲みきったんですか?」
僕は、エナが自分で水筒を持ってるのを知ってるので聞いた。
「まだあるよ?」
「いや、だったら自分のを飲んでくださいよ」
そう言いながら、僕も赤い携帯食の袋を開けて一噛りした。
「からっ!」
「へへー、辛くて美味しいでしょ」
僕は自分の水筒の蓋を開けて水を飲む。この携帯食、結構な辛さだ。エナは普通二輪免許「やっぱうまっ」とか言いながら食べている。別に僕を騙したとかではなく、単に辛いものが好きなようだ。
「フトーは辛いの苦手なのですか?」
「う~ん。そんなに嫌いじゃないですけど、それほど強くはないです」
「甘いのはどうなのです?」
「甘い物は好きですよ」
「なら今度、美味しいパフェを出す店に連れてってやるのです」
「パフェですか。いいですね」
「あ、それわたしも行くからね」
「エナは来なくていいです」
「なんでよ~!」
皆に笑いが起きた。
緊張感がほぐれ、食事と水分補給ができたことで疲れも少しはとれたようだ。
ギフが「そろそろやるか」と言うと、「おう」「はい」と、いい声で返事が返った。
革靴の紐を締め直し、装備を確認する。
「よしっ」
大樹の根のダンジョン、地下二階、第二ボスエリアでの戦闘が始まる。
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