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ギルド四階 秘密の花園
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ダンジョン攻略ギルドの四階。
この建物の最上階であるその部屋は、ギルドに所属する女性達が寝泊まりするスペースとして使われている。
彼ら闘士は、基本的に自分の家というものを持たないので、宿を取らなければここで寝泊まりをすることになる。
まあ、そんな環境であるので、寝る時間が近づくと、不思議と無駄話をしたくなるもので。
今夜の女子達の最初の話題の提供者はノーラであった。
「みんなもう寝た?」
「もう寝たのです」
「寝るところよ」
「な~に~?」
ノーラの問いかけに三人が答える。
「いや、あのね~。ちょっと相談というか、私の話を聞いてちょっとみんなの感想というか、脈のある無しを聞きたくて」
「男の話ね?」
「男だね!」
「男の話なのです?」
食いつきは上々だ。
ノーラは今日のフトーとの出来事を、ほんの少しだけ脚色してみんなに話して聞かせた。
仕事中の自分に背後からそっと近付く実力者で、耳元に甘い言葉を囁き、驚いたノーラが落ちないようにそっと抱き止め、優しい言葉と流行りのホットドッグを残して去って行った。
そんな男が居たとして、彼は自分のことをどう思っているのだろうか。
もしかして、想ってくれてたりするのだろうか。
「ノーラにも春が来たんだねぇ。あたしはちょっと嬉しいよ。つっても、あんた相手にそんなことができるのはガロくらいのもんだろう? 相手は選んだ方がいいと思うけどねぇ」
アトリが全部を分かったように返した。
「ガロ相手ならみんなに相談なんてしないわよ」
「え? わたしもガロだと思ってた」
「私もなのです」
「というか、ガロ以外に、そんなことするおちゃめな男がいるのねぇ」
「おちゃめって」と言ってエナが吹き出す。
「でも、そんなおちゃめさんなことをしてくれる相手がほしいと思う今日この頃なのですよ」
「確かにそうだね!」
さっと意見を翻せるのはある意味女子力なのだろうか。エナは今度はおちゃめでスマートな男性像を思い浮かべようとして、つい、フトウの顔が思い浮かんだ。
「フトーさん……フトーさんがそんなことしてくれたらますます惚れちゃうかなあ」
「な、何を言うですかエナ」
「わたしはフトーさんのこと好きだよ? こんな世界に来ちゃったからさ、打算的に強い人を選んでるところもあるけど、なんだかんだ言って助けてくれる優しいところもあるしね」
「最初は自分勝手で嫌いだったって言ってたじゃないですか」
「でも、いいなと思ったからフトーさんが入ってると思ったこのギルドに移籍してきたんだよ?」
「ま、まあ、それは聞いたから知ってるのですが」
「ちょっとちょっと。今は私の話でしょ!?」
「あ、そーでした」
「わたしとしては、その人のちょっとお子様な部分が出ただけで、脈があるとかないとか言うレベルの話じゃないと思うな~。男って無邪気で計算してない時のほーがかっこよく見えたりするしね~」
「うっっっ、やっぱりそう思う?」
「わたしは、ね?」
「いや、私もそんな感じかな、って思ってるんだよね。でも、久々にときめいちゃったわ~」
ノーラの声が嬉しそうに聞こえて、他の三人は素直に羨ましいと感じていた。
「エナの男を見る目が何気に凄いのです。私はそういうの、よく分からないです。ノーラがされたことを私にされたら、相手の気持ちがどうこうじゃなくて、たぶん、私が相手を好きになってしまうのです」
「相手によるでしょ? あんた今、フトーくんのことを考えてるから「好きになっちゃうだろうな」って思ってるだけよ」
「そ、そ、そ、そんなことはないのです」
「で、で、で? それで、お相手は誰なの?」
「エナ!」
「へへへ。でもさ、ホント、ノーラに、そんなことしたの誰なのよ」
「そうね、あたしも気になるわ」
「確かに。眠いけど寝れなくなりそうなのです」
リンの吃りを真似して、エナがノーラにそろそろ教えなさいと詰め寄り、残る二人も同調する。
まあ、ノーラも本音のところでは言ってしまいたいのだ。
そして、驚かせたい。
だから、そろそろ答え合わせの時間に入った。
「えーとね。みんなが知ってる人なのよ」
「「「え?」」」
ガロじゃなくてノーラの背後を取れる男?
素早さだけで言うならボル?
ヒャッハーしてない時のボルは無口だけど、ノーラには爽やかなおちゃめさんをしてみせた?
「……ボル?」
「ぷはっ! 流石にボルじゃないわ。でも、ボルにあんなことされても、私、ときめくのかな? エナはどう思う?」
「じゃあ、シュガーです?」
「あんな大男に背後を取られても気付かないようなら、私、スカウト廃業の危機よ?」
「まさか……あの子じゃないわよねぇ?」
「そのまさかだったりして……」
「「「ええ?」」」
ガバっと布団から起き上がる三人。
ノーラの布団を取り囲み、「フトーじゃないわよね?」「フトーなのです?」「フトーさんなのっ!?」と詰め寄った。
ノーラはその迫力に気圧されながらも、「そ、そうなのよ。彼にあんなことされたら、ちょっとグッとキちゃっても仕方ないわよね?」となんとか答えた。
「う、羨まし、く、なんかないんだから……」
「あ、あの男……私の裸を見ておきながら、エナだけじゃなくてノーラにまで……許すまじなのですよ」
「意外なところにふくへーがいたかー。でもわたし負けないからねノーラ!」
三者三様の反応を見せつつ、三階の男共に「うるせえよ! いい加減寝させろ!」と怒鳴られるまで、女子四人の会話は続いたのだった。
この建物の最上階であるその部屋は、ギルドに所属する女性達が寝泊まりするスペースとして使われている。
彼ら闘士は、基本的に自分の家というものを持たないので、宿を取らなければここで寝泊まりをすることになる。
まあ、そんな環境であるので、寝る時間が近づくと、不思議と無駄話をしたくなるもので。
今夜の女子達の最初の話題の提供者はノーラであった。
「みんなもう寝た?」
「もう寝たのです」
「寝るところよ」
「な~に~?」
ノーラの問いかけに三人が答える。
「いや、あのね~。ちょっと相談というか、私の話を聞いてちょっとみんなの感想というか、脈のある無しを聞きたくて」
「男の話ね?」
「男だね!」
「男の話なのです?」
食いつきは上々だ。
ノーラは今日のフトーとの出来事を、ほんの少しだけ脚色してみんなに話して聞かせた。
仕事中の自分に背後からそっと近付く実力者で、耳元に甘い言葉を囁き、驚いたノーラが落ちないようにそっと抱き止め、優しい言葉と流行りのホットドッグを残して去って行った。
そんな男が居たとして、彼は自分のことをどう思っているのだろうか。
もしかして、想ってくれてたりするのだろうか。
「ノーラにも春が来たんだねぇ。あたしはちょっと嬉しいよ。つっても、あんた相手にそんなことができるのはガロくらいのもんだろう? 相手は選んだ方がいいと思うけどねぇ」
アトリが全部を分かったように返した。
「ガロ相手ならみんなに相談なんてしないわよ」
「え? わたしもガロだと思ってた」
「私もなのです」
「というか、ガロ以外に、そんなことするおちゃめな男がいるのねぇ」
「おちゃめって」と言ってエナが吹き出す。
「でも、そんなおちゃめさんなことをしてくれる相手がほしいと思う今日この頃なのですよ」
「確かにそうだね!」
さっと意見を翻せるのはある意味女子力なのだろうか。エナは今度はおちゃめでスマートな男性像を思い浮かべようとして、つい、フトウの顔が思い浮かんだ。
「フトーさん……フトーさんがそんなことしてくれたらますます惚れちゃうかなあ」
「な、何を言うですかエナ」
「わたしはフトーさんのこと好きだよ? こんな世界に来ちゃったからさ、打算的に強い人を選んでるところもあるけど、なんだかんだ言って助けてくれる優しいところもあるしね」
「最初は自分勝手で嫌いだったって言ってたじゃないですか」
「でも、いいなと思ったからフトーさんが入ってると思ったこのギルドに移籍してきたんだよ?」
「ま、まあ、それは聞いたから知ってるのですが」
「ちょっとちょっと。今は私の話でしょ!?」
「あ、そーでした」
「わたしとしては、その人のちょっとお子様な部分が出ただけで、脈があるとかないとか言うレベルの話じゃないと思うな~。男って無邪気で計算してない時のほーがかっこよく見えたりするしね~」
「うっっっ、やっぱりそう思う?」
「わたしは、ね?」
「いや、私もそんな感じかな、って思ってるんだよね。でも、久々にときめいちゃったわ~」
ノーラの声が嬉しそうに聞こえて、他の三人は素直に羨ましいと感じていた。
「エナの男を見る目が何気に凄いのです。私はそういうの、よく分からないです。ノーラがされたことを私にされたら、相手の気持ちがどうこうじゃなくて、たぶん、私が相手を好きになってしまうのです」
「相手によるでしょ? あんた今、フトーくんのことを考えてるから「好きになっちゃうだろうな」って思ってるだけよ」
「そ、そ、そ、そんなことはないのです」
「で、で、で? それで、お相手は誰なの?」
「エナ!」
「へへへ。でもさ、ホント、ノーラに、そんなことしたの誰なのよ」
「そうね、あたしも気になるわ」
「確かに。眠いけど寝れなくなりそうなのです」
リンの吃りを真似して、エナがノーラにそろそろ教えなさいと詰め寄り、残る二人も同調する。
まあ、ノーラも本音のところでは言ってしまいたいのだ。
そして、驚かせたい。
だから、そろそろ答え合わせの時間に入った。
「えーとね。みんなが知ってる人なのよ」
「「「え?」」」
ガロじゃなくてノーラの背後を取れる男?
素早さだけで言うならボル?
ヒャッハーしてない時のボルは無口だけど、ノーラには爽やかなおちゃめさんをしてみせた?
「……ボル?」
「ぷはっ! 流石にボルじゃないわ。でも、ボルにあんなことされても、私、ときめくのかな? エナはどう思う?」
「じゃあ、シュガーです?」
「あんな大男に背後を取られても気付かないようなら、私、スカウト廃業の危機よ?」
「まさか……あの子じゃないわよねぇ?」
「そのまさかだったりして……」
「「「ええ?」」」
ガバっと布団から起き上がる三人。
ノーラの布団を取り囲み、「フトーじゃないわよね?」「フトーなのです?」「フトーさんなのっ!?」と詰め寄った。
ノーラはその迫力に気圧されながらも、「そ、そうなのよ。彼にあんなことされたら、ちょっとグッとキちゃっても仕方ないわよね?」となんとか答えた。
「う、羨まし、く、なんかないんだから……」
「あ、あの男……私の裸を見ておきながら、エナだけじゃなくてノーラにまで……許すまじなのですよ」
「意外なところにふくへーがいたかー。でもわたし負けないからねノーラ!」
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