タロットダイバー

夏沢誠

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双頭の竜

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 ふと、気がつくと、星鏡は床にうつ伏せになって倒れていた。ゆっくりと半身を起こし、頭を振った。
 ここはどこだ? さっきまで光り輝く世界にいたような気がするが。
 星鏡はぼんやりした頭でふらつきながら立ち上がり、周囲を見回してみた。見慣れない部屋にいる。木張りの床と壁。壁には古い振り子時計と斧が掛けられてあった。部屋に漂う木と埃の臭いが懐かしく感じられる。さらに部屋の中を見回そうと、振り向いたところ、星鏡はギョッとして表情が固まった。眼の先には木組みの大きなベッドがあり、そこに見たこともない男が寝ていた。男は布団の中におさまって、ナイトキャップをかぶり、気持ちよさそうに目をつぶり眠っていた。
 星鏡はもう一度、ここはどこだか思い出そうとした。
 自分はさっきまで鱗をキラキラさせて群れて泳ぐ回遊魚の一匹だった。そして、泳いでいるうちに気を失い、気が付けばここにいた。そんなような気がする。星鏡は、男を起こさぬようソッと窓際に近寄り、窓の外を眺めてみた。窓の外は青い空と雲が広がっていた。遠くには鳥が飛んでいた。だが、星鏡はその鳥を見ているうちにそれが鳥ではないことに気づいた。その鳥は、長い首を二つ持ち、翼は羽毛に覆われておらずコウモリの羽のようであった。長い尻尾を空にうねらせていた。そいつは二つの首を交互に上下に揺らし、赤い玉のようなものを吐き出していた。
 翼竜? 火を吹いている! 星鏡は思わず、声を上げそうになった。 
 ここはどこだ? どんな世界なんだ?
 そのとき、背後から「そこで何をしている」という低い声が聞こえてきた。それから、ゆっくりと一歩、一歩、ぎしぎしと床を踏みしめる足音が背後に迫ってくるのが聞こえてきた。
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