僕は先輩の便利な後輩だ

えにけりおあ

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私のクリスマス

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「ただいまー」
 玄関の扉を閉めて、家の中に呼びかける。
 すぐにお母さんが「あら、もう帰ってきたの」と、リビングから顔を出した。
「うん、まあね。ちょっとね」
「出掛けるって言うから、ごはん下げちゃったわよ。台所にあるから、あっためて食べちゃいなさい」
「はあい」
 お母さんがリビングに戻ってから、背中に隠していた両手を眺める。
 手袋。あったかいし、かわいい。よく行くお店でたまたま見つけて、いいなぁと思っていたやつで。それを選んで贈ってくれるいずるくんは、センスがいい。
 手袋を取って、ついでに服も着替えるために、階段を上る。勢いで買ってしまったふりふりの可愛い服は、普段は滅多に着ない。可愛すぎて着て行く場所もなければ、気づかないうちに汚してしまいそうで、なんだか勿体無くて。買ったその日に部屋で着て以来、ずっと仕舞いっぱなしだった。
 ご飯を食べる前に着替えておかないと、汚してしまうかもしれない。
 いつもの部屋着に着替えて、服は仕舞っておく。
 ひらひらとした可愛い今日の服は、普段めったに着ないので、奥の方にしまった方が邪魔にならないだろうと、服をかきわけて、収める。
 と、クローゼットの奥の方から存在を忘れていたコートが出てきた。気に入って、お母さんに買ってもらったけれど、その時には少し大きくて、仕舞い込んでしまったものだった。
 試しにと着てみれば、丁度良いくらいだった。これなら、大きさは問題ない、けれど。
「ちょっと可愛すぎるかな」
 レースやリボンの飾りが可愛くて、ちょっと恥ずかしい。普段使いにするには、ちょっぴり勇気が必要だった。
 でも、いずるくんなら 変に思わないかな、とも思う。いずるくんは、なんというか、人の嫌がる事はしないし、困ってたら助けてくれる すごく良い子だから。
 ただ最近は、その優しさに つい甘えっぱなしで。いつか愛想を尽かされるんじゃないかと、ちょっぴり心配もしているけれど。
 さて、手袋はどこに置いておこう。出掛ける時にすぐ見つかる所がいいな。
 いずるくんのプレゼントは、すごく 嬉しかった。本当に私の好きなものを押さえていて、手袋と一緒に入っていたマニキュアも可愛かった。
 それに比べて、私が贈ったのは 手作りの写真立てで。思いついた時も、作ってる最中も、テンションが上がってて、喜んでもらえる自信しかなかったけど、冷静になってみると なんだか幼稚っぽくって恥ずかしい。
 しかも、写真立てが終業式までに完成しなくって、いずるくんにお願いしてプレゼント交換を 今日に遅らせてもらったのに、昨日の夜までかかって徹夜して、それで結局寝坊しちゃうし、朝になってもボンドが乾いてないしで散々だった。とりあえずドライヤーを当てて乾かしたけど、飾り 取れてないといいなぁ。大丈夫かなぁ。
「歩美、ごはんあっためたわよー」
「はあい」


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