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93話 母さんの墓参りに来ました
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レグルス討伐の準備も済んだので、オレとリナはプロキオンに戻ってきていた。ウラノスにも声をかけたけど、留守番をするというのでリナとふたりだけだ。
ウラノスは完全に餌付けされたのか、ラルフの料理を堪能するんだと頬を緩ませていた。
プロキオンに出発する前に黒狼になったら、ラルフがものすごいキラキラした目で見つめて来たので、ウラノスのこともあったし触らせてやったんだ。
ラルフのすごく幸せそうな顔をみたら、また今度なって言ってた。自分にビックリだ。まぁ、これで留守中のウラノスは心配なくなったと思う。
久しぶりのプロキオンは相変わらずだった。ギルド長がエリアさんになっても、問題ないみたいだ。リナが食材の買い出しに行ってる間に、ギルドに顔を出すとムルジムさんが魔獣討伐に行くところだった。
「ムルジムさん、間に合ってよかった! これから出張ですよね?」
「カイトか! そうだ、これから一週間の出張だよ。ほんと面倒くせぇ。あーあ、カイトが戻ってくるんだったら、今回は依頼受けなかったのになぁ」
「急な連絡ですみませんでした。思いがけず休暇が取れたので、母さんの墓参りがしたくて……」
「いいんだ、気にするな。カイトの家だしな。鍵はギルドの受付に返してくれればいいからな」
よかった、ムルジムさんに会えて。もしかしたら、もうここに戻って来れないかもしれないからな。
「ムルジムさん、気をつけて行ってきてください」
こんなオレに優しくしてくれて、ありがとうございました————
***
リナと合流したあと、荷物を家に置いてから母さんの墓参りにむかった。リナも行きたいというので、一緒に来てもらってる。母さんの墓参りに、誰かと一緒に来るなんて初めてだった。ユリの花束を母さんの墓前に置いて、刻まれた文字をそっと撫でていく。
(母さん、もうすぐ母さんの仇が討てそうだよ。あれからいろいろあったけど、いまは大切に思える仲間もたくさんできたんだ。今日はリナも一緒に来てくれたよ。オレの一番大切な人なんだ)
リナを見ると、手を胸の前で組んで母さんの冥福を祈ってくれてるみたいだった。そんな風にオレの母さんまで思ってくれて、嬉しかった。
今回の討伐では、リナだけは無事に返したい。そんな事を考えていた。
集合は3日後だ。明後日の昼までに、プロキオンを立てば問題ない。それまでは、生まれ育ったこの街で過ごしたかった。
嫌な思い出の方が多いはずなのに、いつの間にか守りたい場所になっていた。きっとリナやムルジムさん、エルナトさんたちがたくさん楽しい思い出で、上書きしてくれたからだろう。
久しぶりにリナとふたりで食事をとって、風呂に入ったあとは自分の部屋に戻った。ムルジムさんがたまに掃除してくれてるみたいで、キレイに整えられている。
ガシガシとタオルで頭を拭いたあと、ベッドに横になった。
また帰って来れるかな。できれば、帰ってきたいな。最悪リナだけでも……他のメンバーには悪いけど、オレの中ではリナが一番大切なんだよな。いつからだったのか……結構最初の方からだと思うけど、好きだったんだ。
その時だ、扉の向こうからリナの声がした。まさにリナのことを考えていたので、心臓がバックンと大きく波打つ。
「カイト、起きてる?」
「うん大丈夫だけど、どうした?」
「あのね、ちょっと話したいなと思って……部屋に入っていい?」
「うん、いいよ」
扉を開けると、ほんのり頬を染めたリナがするりと部屋に入り、カイトのベッドに腰を下ろした。オレもリナの隣に並んで座る。
「もうすぐレグルスの討伐だね。カイトなら余裕かもだけど」
「今回は余裕かどうかちょっとわかんないけどな。現役の魔獣王だし」
「正直生きて帰れるかもわからないよね」
そうなんだ。だから、この前からちょっと感傷的になってるのかもしれない。
「そうだな。リナは行くの辞めたいか?」
「違うの、そんなことはないの! ただ……後悔したくないの」
リナはうつむき、固く手をに握っている。行きたくないなら、それはそれで構わないと思っていた。むしろその方が安心なんだけど。
「後悔? 何かやり残したことあるのか?」
リナは勢いよくベッドから立ちあがり、オレの目の前に立った。そして、そのままオレをベッドに押し倒した。
ウラノスは完全に餌付けされたのか、ラルフの料理を堪能するんだと頬を緩ませていた。
プロキオンに出発する前に黒狼になったら、ラルフがものすごいキラキラした目で見つめて来たので、ウラノスのこともあったし触らせてやったんだ。
ラルフのすごく幸せそうな顔をみたら、また今度なって言ってた。自分にビックリだ。まぁ、これで留守中のウラノスは心配なくなったと思う。
久しぶりのプロキオンは相変わらずだった。ギルド長がエリアさんになっても、問題ないみたいだ。リナが食材の買い出しに行ってる間に、ギルドに顔を出すとムルジムさんが魔獣討伐に行くところだった。
「ムルジムさん、間に合ってよかった! これから出張ですよね?」
「カイトか! そうだ、これから一週間の出張だよ。ほんと面倒くせぇ。あーあ、カイトが戻ってくるんだったら、今回は依頼受けなかったのになぁ」
「急な連絡ですみませんでした。思いがけず休暇が取れたので、母さんの墓参りがしたくて……」
「いいんだ、気にするな。カイトの家だしな。鍵はギルドの受付に返してくれればいいからな」
よかった、ムルジムさんに会えて。もしかしたら、もうここに戻って来れないかもしれないからな。
「ムルジムさん、気をつけて行ってきてください」
こんなオレに優しくしてくれて、ありがとうございました————
***
リナと合流したあと、荷物を家に置いてから母さんの墓参りにむかった。リナも行きたいというので、一緒に来てもらってる。母さんの墓参りに、誰かと一緒に来るなんて初めてだった。ユリの花束を母さんの墓前に置いて、刻まれた文字をそっと撫でていく。
(母さん、もうすぐ母さんの仇が討てそうだよ。あれからいろいろあったけど、いまは大切に思える仲間もたくさんできたんだ。今日はリナも一緒に来てくれたよ。オレの一番大切な人なんだ)
リナを見ると、手を胸の前で組んで母さんの冥福を祈ってくれてるみたいだった。そんな風にオレの母さんまで思ってくれて、嬉しかった。
今回の討伐では、リナだけは無事に返したい。そんな事を考えていた。
集合は3日後だ。明後日の昼までに、プロキオンを立てば問題ない。それまでは、生まれ育ったこの街で過ごしたかった。
嫌な思い出の方が多いはずなのに、いつの間にか守りたい場所になっていた。きっとリナやムルジムさん、エルナトさんたちがたくさん楽しい思い出で、上書きしてくれたからだろう。
久しぶりにリナとふたりで食事をとって、風呂に入ったあとは自分の部屋に戻った。ムルジムさんがたまに掃除してくれてるみたいで、キレイに整えられている。
ガシガシとタオルで頭を拭いたあと、ベッドに横になった。
また帰って来れるかな。できれば、帰ってきたいな。最悪リナだけでも……他のメンバーには悪いけど、オレの中ではリナが一番大切なんだよな。いつからだったのか……結構最初の方からだと思うけど、好きだったんだ。
その時だ、扉の向こうからリナの声がした。まさにリナのことを考えていたので、心臓がバックンと大きく波打つ。
「カイト、起きてる?」
「うん大丈夫だけど、どうした?」
「あのね、ちょっと話したいなと思って……部屋に入っていい?」
「うん、いいよ」
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「もうすぐレグルスの討伐だね。カイトなら余裕かもだけど」
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「そうだな。リナは行くの辞めたいか?」
「違うの、そんなことはないの! ただ……後悔したくないの」
リナはうつむき、固く手をに握っている。行きたくないなら、それはそれで構わないと思っていた。むしろその方が安心なんだけど。
「後悔? 何かやり残したことあるのか?」
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