47 / 88
ミアの夢
3
しおりを挟む
黒と青のゴアが揃い、合わさる時、どんな望みも叶うだろう
太陽と月を支配し、聖なる光を手に入れる
偉大なる魔法使いが与えし力を得る者は、書を火にくべる勇気を持て
「偉大なる魔法使い……」
密かに呟くと、ラルフは立ち上がってミアを引き寄せた。小さく肩を震わせる彼女は、今はただ可哀想な少女であった。
ミアを後ろから抱いた格好で、ベッドに腰掛ける。
青のゴアと、彼女が持つ黒のゴアを、そっと合わせてみた。
二人は固唾を呑んで見守る。しかし、奇跡は起こらない。太陽と月の輝きを放つ伝説の石は、森を照らし始めた朝陽の光を感じ取り、発光をやめた。
「黒と青のゴアを、お前は手に入れようとした。一族の誰もなそうとしなかった無謀な行いをしてまで、何を願おうとしたのだ」
ラルフの声は優しかった。彼らを隔てていた秘密はすべて、溶け合っている。
「お花畑です……」
「ん?」
「コスモスやデイジー。可愛らしい花がたくさん咲いたお花畑で、誰にも命令されず、苛められず、隠しごともなく、幸せに暮らしたい。家族と、一緒に」
ラルフは睫毛を伏せた。ミアを包む腕に力がこもる。
「何という欲のない……ふふっ、呆れる。お前には本当に」
慎ましやかな、強い娘。
あれに喰わせるには惜しい。
先ほどまで屋敷を取り囲んでいた魔物の気配は、夜明けとともに消えていた。
「ミア、新しい朝だ」
「……え?」
身体をねじり、ミアはラルフに振り向く。
「夜通しお前を抱いて、消耗した。朝食の用意をしてくれよ」
「ラルフ様……」
彼女の双眸は微笑する彼を映し、やがてじんわりと濡れた。
しかしラルフは動じない。
緑の瞳を濡らすのは、哀しみではなかった。
太陽と月を支配し、聖なる光を手に入れる
偉大なる魔法使いが与えし力を得る者は、書を火にくべる勇気を持て
「偉大なる魔法使い……」
密かに呟くと、ラルフは立ち上がってミアを引き寄せた。小さく肩を震わせる彼女は、今はただ可哀想な少女であった。
ミアを後ろから抱いた格好で、ベッドに腰掛ける。
青のゴアと、彼女が持つ黒のゴアを、そっと合わせてみた。
二人は固唾を呑んで見守る。しかし、奇跡は起こらない。太陽と月の輝きを放つ伝説の石は、森を照らし始めた朝陽の光を感じ取り、発光をやめた。
「黒と青のゴアを、お前は手に入れようとした。一族の誰もなそうとしなかった無謀な行いをしてまで、何を願おうとしたのだ」
ラルフの声は優しかった。彼らを隔てていた秘密はすべて、溶け合っている。
「お花畑です……」
「ん?」
「コスモスやデイジー。可愛らしい花がたくさん咲いたお花畑で、誰にも命令されず、苛められず、隠しごともなく、幸せに暮らしたい。家族と、一緒に」
ラルフは睫毛を伏せた。ミアを包む腕に力がこもる。
「何という欲のない……ふふっ、呆れる。お前には本当に」
慎ましやかな、強い娘。
あれに喰わせるには惜しい。
先ほどまで屋敷を取り囲んでいた魔物の気配は、夜明けとともに消えていた。
「ミア、新しい朝だ」
「……え?」
身体をねじり、ミアはラルフに振り向く。
「夜通しお前を抱いて、消耗した。朝食の用意をしてくれよ」
「ラルフ様……」
彼女の双眸は微笑する彼を映し、やがてじんわりと濡れた。
しかしラルフは動じない。
緑の瞳を濡らすのは、哀しみではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
俺様御曹司は十二歳年上妻に生涯の愛を誓う
ラヴ KAZU
恋愛
藤城美希 三十八歳独身
大学卒業後入社した鏑木建設会社で16年間経理部にて勤めている。
会社では若い女性社員に囲まれて、お局様状態。
彼氏も、結婚を予定している相手もいない。
そんな美希の前に現れたのが、俺様御曹司鏑木蓮
「明日から俺の秘書な、よろしく」
経理部の美希は蓮の秘書を命じられた。
鏑木 蓮 二十六歳独身
鏑木建設会社社長 バイク事故を起こし美希に命を救われる。
親の脛をかじって生きてきた蓮はこの出来事で人生が大きく動き出す。
社長と秘書の関係のはずが、蓮は事あるごとに愛を囁き溺愛が始まる。
蓮の言うことが信じられなかった美希の気持ちに変化が......
望月 楓 二十六歳独身
蓮とは大学の時からの付き合いで、かれこれ八年になる。
密かに美希に惚れていた。
蓮と違い、奨学金で大学へ行き、実家は農家をしており苦労して育った。
蓮を忘れさせる為に麗子に近づいた。
「麗子、俺を好きになれ」
美希への気持ちが冷めぬまま麗子と結婚したが、徐々に麗子への気持ちに変化が現れる。
面倒見の良い頼れる存在である。
藤城美希は三十八歳独身。大学卒業後、入社した会社で十六年間経理部で働いている。
彼氏も、結婚を予定している相手もいない。
そんな時、俺様御曹司鏑木蓮二十六歳が現れた。
社長就任挨拶の日、美希に「明日から俺の秘書なよろしく」と告げた。
社長と秘書の関係のはずが、蓮は美希に愛を囁く
実は蓮と美希は初対面ではない、その事実に美希は気づかなかった。
そして蓮は美希に驚きの事を言う、それは......
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
丘の上の王様とお妃様
よしき
恋愛
木崎珠子(35才)は、大学を卒業後、帝国財閥の子会社に勤めていた、ごくごく平凡なOLだった。しかし、同じ職場の彼に二股をかけられ、職場にも居づらくなり、あげくに両親が交通事故でいっぺんに他界。結局会社を退職し、両親がやっていた喫茶店「坂の上」を引き継ごうと、地元へ帰ってくる。喫茶店の仕事は、会社務めに比べると、珠子にはなんとなくあっているようで...ご近所さんを相手にユルくやっていた。そんな珠子が地元へ戻ってから半年ほどして、喫茶店「坂の上」の隣にある、通称「お化け屋敷」と呼ばれる大豪邸に、帝国財閥の偉い人が越してくると話題になる。珠子は、「別の世界の人間」だからと、あまり意識をしていなかったのだか...
「お化け屋敷」の噂からひと月後。いつもは見ない紳士が、喫茶「坂の上」によってきて。そこから始まる現代シンデレラ物語
隻眼の騎士王の歪な溺愛に亡国の王女は囚われる
玉響
恋愛
平和だったカヴァニス王国が、隣国イザイアの突然の侵攻により一夜にして滅亡した。
カヴァニスの王女アリーチェは、逃げ遅れたところを何者かに助けられるが、意識を失ってしまう。
目覚めたアリーチェの前に現れたのは、祖国を滅ぼしたイザイアの『隻眼の騎士王』ルドヴィクだった。
憎しみと侮蔑を感情のままにルドヴィクを罵倒するが、ルドヴィクは何も言わずにアリーチェに治療を施し、傷が癒えた後も城に留まらせる。
ルドヴィクに対して憎しみを募らせるアリーチェだが、時折彼の見せる悲しげな表情に別の感情が芽生え始めるのに気がついたアリーチェの心は揺れるが………。
※内容の一部に残酷描写が含まれます。
簒奪女王と隔絶の果て
紺乃 安
恋愛
穏やかな美青年王子が、即位した途端に冷酷な王に変貌した。そしてそれが、不羈の令嬢ベアトリスの政略結婚相手。
ポストファンタジー宮廷ロマンス小説。
※拙作「山賊王女と楽園の涯」の完結編という位置づけでもありますが、知らなくとも問題ないよう書いてあります。興味があればそちらもお読みください(ただしずいぶんジャンルが違い、とても長いです)。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる