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滝口家
1
「人間で言えば、三十かそこらかのお」
石田の爺は独りごち、煙草に火を点ける。
晩夏の海。
激しく燃える真夏を過ぎ、そろそろ落ち着いて、しかし決して枯れてはいない。輝きを充分に保っている季節。
「あの男も、そんな年頃じゃないか。早く嫁さんを貰わにゃあ」
自身の若い頃に似た、妙に親しみの湧くあの男が爺は心配だった。
「わしが元気なうちに、よーく吟味してやらにゃあ」
どっこいしょと立ち上がると、タオルで汗を拭った。晩夏とはいえ天気の良い日は気温が高い。
爺は畑仕事を終えると、周辺の見回りをしがてら家に戻る。いつものように坂道を下っていると、日傘を差した若い娘が歩いてくるのが見えた。
地元の人間ではない。
随分と色白で、どこか頼りなげな風情が爺好みだ。
「むうう……!」
天性の女好きの勘でピンときた。あの男のもとに行くに違いない。
爺はさり気なく、すすーっと道の真ん中に進み出て、麦藁帽を深く被る。それから、娘にくるりと背中を向けて突っ立った。
こうしていれば、声をかけざるを得ない――爺はニヤニヤしながらそれを待った。
娘の足音が近付き、やがて真後ろで止まった。通せんぼを食らい、困惑する気配を感じる。
「あのう、すみません」
かぼそい声から、あまり気の強くないタイプと見た。
ますます爺の好みである。
「道をお尋ねしたいのですが」
爺はゆっくりと振り返った。
「ほおお~っ」
娘を見て、爺は感嘆した。
薄化粧の顔。純白のワンピースを纏う姿は、実に瑞々しい。少女の面差しだが、そこはかとない色香も感じさせる。年の頃は二十を越えたあたりか。
爺は麦藁帽のつばを上げ、じろじろと見回す。
「いや~、あいつめ。どこでどうやって捕まえたのやら」
「えっ?」
「ふむふむ。なるほどなあ……」
何やらつぶやく老人に、娘は戸惑いながらも口を開いた。
「すみません、道をお尋ねしたいのですが。滝口さんという……」
「慧一?」
娘は面食らった。どうやら当たりのようだ。
「は、はい、そうです。滝口慧一さんのお宅に行きたいのですが」
「そうかそうか。慧一か。ついにあいつも決めたのか」
「はい?」
「案内してやろう。ほれ、そのスイカ畑を横切ればすぐじゃ」
爺は先に立って歩き出した。娘は慌てて付いてくる。
「お前さん、名前は? 滝口の慧一と、どんな関係なんじゃ」
爺は土の固いところを選んで歩きながら、娘に訊いた。
「私は三原峰子と申します」
「ふむ、峰子さんか。で、関係は?」
「えっと……滝口さんと同じ会社に勤める者です」
「違う違う」
爺は不満そうにかぶりを振った。
「慧一の彼女なのかと、訊いておる」
「あ……」
峰子が目を見開く。
この老人が誰なのか、ようやく分かったらしい。
「どうなんじゃ。慧一の彼女か、そうでないのか」
「私は……」
「私は?」
「慧一さんの、こ、恋人です」
爺の足が止まった。
畑を横切り、二人は舗装道路に出ていた。爺が見ると、峰子のパンプスの踵に泥が付いている。
「峰子さんよ、ちょっと来なさい」
畑の隅にあるバケツのところに峰子をいざなう。雨水が溜めてあるようだ。
爺は腰に提げたタオルを取ってバケツの中でゆすぎ、ぎゅっと絞って峰子に差し出す。
「靴を拭きなさい」
「えっ? いえそんな、大丈夫ですので」
峰子は遠慮した。このタオルは、老人が汗を拭くために使うものだ。
「土が付いたままでは、慧一に怒られちまう。さ、早く拭え」
強引に押し付けられた。
峰子は申しわけなさそうに受け取り、そっと靴を拭った。
「ありがとうございます」
「なんのなんの」
爺はタオルをゆすぐと、もとどおり腰に提げた。
峰子と向き合い、先ほどの続きを話す。
「そうか。お前さん、慧一の恋人か」
「はい。今日は初めてお家におじゃまするのですが、道がよく分からなくて」
「電車で来たのかね。慧一の奴、迎えにも行かんで」
しかめ面になる爺に、峰子は違うんですと顔を振った。
「私が歩いてみたいって言ったんです。慧一さんが生まれ育ったところをのんびりと歩いてみたくて」
峰子の言葉を聞き、爺は目を細めた。
「ふうん、なるほどねえ。では、いいことを教えてやろう」
「え?」
「あいつ、滝口慧一はな……」
石田の爺は、近所のことなら何でも知っている。
もちろん慧一のことも。
いつかの元カノには、でたらめを吹き込んだが――
「慧一は、小気味のいい男じゃ。ガキの頃はスイカを盗んだり悪さをしよったが、わしがガツンと怒ってからは改心して、どんどんいい男に成長したわい。あいつの男振りは、この爺が保証する!」
峰子は嬉しそうに微笑んだ。
爺もにこりと笑い、
「いや~、良かった。生きてるうちに慧一の嫁さんを見ることができて、本当に良かった。ほら、来よったぞ」
坂道の上を指差す。
そこには二階建ての家があり、誰かが門扉を出て、こちらに駆けて来るのが見えた。
慧一だ。
「爺ちゃん、案内してくれたの?」
明るく声をかける慧一に、爺は顔をくしゃっとさせる。
「お前、何やっとる。駅まで迎えに行って、一緒に歩いて来んか、クソッ」
「クソはないだろ。ったく、口が悪いなあ」
友達みたいに笑い合う二人を見て、峰子も笑顔になる。親しみの空気が、心を和ませた。
「峰子。親父もお袋も、お待ちかねだぜ。今朝からそわそわしちゃってさ」
慧一が言うと、爺が横から口を挟んだ。
「そりゃそうだろ。気ままな独身貴族が嫁候補を見つけたとあっては、落ち着くまい」
「ひでえな」
今度は三人で、声を合わせて笑った。
「よしよし、これでわしも安心だ。じゃあな、色男」
爺は慧一の肩をばしっと叩き、今来た道を戻って行った。
「あっ、あの、ありがとうございました!」
峰子が大きな声で言うと、爺はぶっきらぼうに手を上げ、「おう」と返した。
石田の爺は独りごち、煙草に火を点ける。
晩夏の海。
激しく燃える真夏を過ぎ、そろそろ落ち着いて、しかし決して枯れてはいない。輝きを充分に保っている季節。
「あの男も、そんな年頃じゃないか。早く嫁さんを貰わにゃあ」
自身の若い頃に似た、妙に親しみの湧くあの男が爺は心配だった。
「わしが元気なうちに、よーく吟味してやらにゃあ」
どっこいしょと立ち上がると、タオルで汗を拭った。晩夏とはいえ天気の良い日は気温が高い。
爺は畑仕事を終えると、周辺の見回りをしがてら家に戻る。いつものように坂道を下っていると、日傘を差した若い娘が歩いてくるのが見えた。
地元の人間ではない。
随分と色白で、どこか頼りなげな風情が爺好みだ。
「むうう……!」
天性の女好きの勘でピンときた。あの男のもとに行くに違いない。
爺はさり気なく、すすーっと道の真ん中に進み出て、麦藁帽を深く被る。それから、娘にくるりと背中を向けて突っ立った。
こうしていれば、声をかけざるを得ない――爺はニヤニヤしながらそれを待った。
娘の足音が近付き、やがて真後ろで止まった。通せんぼを食らい、困惑する気配を感じる。
「あのう、すみません」
かぼそい声から、あまり気の強くないタイプと見た。
ますます爺の好みである。
「道をお尋ねしたいのですが」
爺はゆっくりと振り返った。
「ほおお~っ」
娘を見て、爺は感嘆した。
薄化粧の顔。純白のワンピースを纏う姿は、実に瑞々しい。少女の面差しだが、そこはかとない色香も感じさせる。年の頃は二十を越えたあたりか。
爺は麦藁帽のつばを上げ、じろじろと見回す。
「いや~、あいつめ。どこでどうやって捕まえたのやら」
「えっ?」
「ふむふむ。なるほどなあ……」
何やらつぶやく老人に、娘は戸惑いながらも口を開いた。
「すみません、道をお尋ねしたいのですが。滝口さんという……」
「慧一?」
娘は面食らった。どうやら当たりのようだ。
「は、はい、そうです。滝口慧一さんのお宅に行きたいのですが」
「そうかそうか。慧一か。ついにあいつも決めたのか」
「はい?」
「案内してやろう。ほれ、そのスイカ畑を横切ればすぐじゃ」
爺は先に立って歩き出した。娘は慌てて付いてくる。
「お前さん、名前は? 滝口の慧一と、どんな関係なんじゃ」
爺は土の固いところを選んで歩きながら、娘に訊いた。
「私は三原峰子と申します」
「ふむ、峰子さんか。で、関係は?」
「えっと……滝口さんと同じ会社に勤める者です」
「違う違う」
爺は不満そうにかぶりを振った。
「慧一の彼女なのかと、訊いておる」
「あ……」
峰子が目を見開く。
この老人が誰なのか、ようやく分かったらしい。
「どうなんじゃ。慧一の彼女か、そうでないのか」
「私は……」
「私は?」
「慧一さんの、こ、恋人です」
爺の足が止まった。
畑を横切り、二人は舗装道路に出ていた。爺が見ると、峰子のパンプスの踵に泥が付いている。
「峰子さんよ、ちょっと来なさい」
畑の隅にあるバケツのところに峰子をいざなう。雨水が溜めてあるようだ。
爺は腰に提げたタオルを取ってバケツの中でゆすぎ、ぎゅっと絞って峰子に差し出す。
「靴を拭きなさい」
「えっ? いえそんな、大丈夫ですので」
峰子は遠慮した。このタオルは、老人が汗を拭くために使うものだ。
「土が付いたままでは、慧一に怒られちまう。さ、早く拭え」
強引に押し付けられた。
峰子は申しわけなさそうに受け取り、そっと靴を拭った。
「ありがとうございます」
「なんのなんの」
爺はタオルをゆすぐと、もとどおり腰に提げた。
峰子と向き合い、先ほどの続きを話す。
「そうか。お前さん、慧一の恋人か」
「はい。今日は初めてお家におじゃまするのですが、道がよく分からなくて」
「電車で来たのかね。慧一の奴、迎えにも行かんで」
しかめ面になる爺に、峰子は違うんですと顔を振った。
「私が歩いてみたいって言ったんです。慧一さんが生まれ育ったところをのんびりと歩いてみたくて」
峰子の言葉を聞き、爺は目を細めた。
「ふうん、なるほどねえ。では、いいことを教えてやろう」
「え?」
「あいつ、滝口慧一はな……」
石田の爺は、近所のことなら何でも知っている。
もちろん慧一のことも。
いつかの元カノには、でたらめを吹き込んだが――
「慧一は、小気味のいい男じゃ。ガキの頃はスイカを盗んだり悪さをしよったが、わしがガツンと怒ってからは改心して、どんどんいい男に成長したわい。あいつの男振りは、この爺が保証する!」
峰子は嬉しそうに微笑んだ。
爺もにこりと笑い、
「いや~、良かった。生きてるうちに慧一の嫁さんを見ることができて、本当に良かった。ほら、来よったぞ」
坂道の上を指差す。
そこには二階建ての家があり、誰かが門扉を出て、こちらに駆けて来るのが見えた。
慧一だ。
「爺ちゃん、案内してくれたの?」
明るく声をかける慧一に、爺は顔をくしゃっとさせる。
「お前、何やっとる。駅まで迎えに行って、一緒に歩いて来んか、クソッ」
「クソはないだろ。ったく、口が悪いなあ」
友達みたいに笑い合う二人を見て、峰子も笑顔になる。親しみの空気が、心を和ませた。
「峰子。親父もお袋も、お待ちかねだぜ。今朝からそわそわしちゃってさ」
慧一が言うと、爺が横から口を挟んだ。
「そりゃそうだろ。気ままな独身貴族が嫁候補を見つけたとあっては、落ち着くまい」
「ひでえな」
今度は三人で、声を合わせて笑った。
「よしよし、これでわしも安心だ。じゃあな、色男」
爺は慧一の肩をばしっと叩き、今来た道を戻って行った。
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