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二年B組
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早速昼休み、守崎と弁当を食べた後、明音はひとりでB組の教室を覗きに行った。
そこは何だか華やかな世界だった。とても坊主頭の武道部佐田がいるクラスに見えない。
A組のような優等生の集まりの雰囲気を保ちつつ、ギスギスした空気を追い出したような心地よさを感じる。
ただ、明音には合わなかった。
後ろの出入口から少し入ったところで佐田の坊主頭がないことはわかった。もっと早くわかれば良かったのだがそう思った時には遅かった。
入ってすぐ出ていくのもおかしな話だ。仕方なく最も近いところにいた女子生徒に訊ねた。
「佐田君、いる?」
「え?」二人組の女子は目を丸くした。明音の顔を見て一瞬固まった。
私はモンスターではないのだが、と明音は相手にわからない程度にため息をついた。
「いないみたいね……」
引き下がろうとしたら窓際近くの席で群れていた一団から男子生徒が一人、明音を見つけて声をあげた。「お、明音じゃねえか」
そこには五、六人の男女がいて、その中で最もキラキラした輝きを放つ美少年がゆっくりと明音に近寄ってきた。
「あ、……恭平」明音は苦笑いを浮かべた。
さらに一団の中心にいて悠然と腰かけていた美少女が、突如思い立ったかのように立ち上がり、美少年の後を追うように明音のところへ足早に寄ってきた。
「明音……」目元涼しげな美少女は穏やかに微笑む。
眩しすぎて明音は二人を直視できなかった。渋谷恭平と前薗純香。かつてのクラスメイトだった。
「珍しいな、明音が来るなんて」渋谷が微かに笑みを浮かべて明音に言った。
「あ、ああ、佐田君に用があって」
「え、佐田? 武道部に助っ人頼まれたか」
「まあ、そんなところ、代わりになる当てができたので教えて上げようかと思って」
「剣道部の親善試合?」前薗が訊いた。彼女も佐田から相談を受けていたのだろう。
「うん、私は出ないし、泉月にも相談しづらいと言っていたから、別の人を紹介しようかと」
「他に剣道できそうなの、いたっけ?」渋谷は訊いた。
堂々としていて声も大きい。教室内に渋谷の声が響いているようだった。
「いたわよ」名前は明かさなかった。「佐田君いないのなら、私はこれで」
「たまには付き合えよ、最近ちっとも話してないだろ」
「うち、母子家庭になったからさ……」その先を何て言おう。
「少しくらいは良いだろ」渋谷が強引なところは変わらない。
「恭平君、明音が困っているでしょう?」間に入るのはいつも前薗純香だった。
「明音でも困ることあるのか?」
「ひどい言い方ね」明音はジトっと渋谷を見た。
「そうそう、その顔、久しぶりにみた。ラッキー」
「何がラッキーよ。じゃあね」
渋谷を振りきるように、前薗には笑顔を向けながら明音はB組の教室を離れた。
あの二人もA組を離れ、新しく自分たちのテリトリーを築いたようだ。
渋谷と前薗を相手に喋る明音を、奥からじっと見る一団があった。つい先ほどまで渋谷と前園を囲んで談笑していた生徒たちだ。
恐らくは彼らが今の渋谷と前薗と行動を共にする仲間なのだ。彼らにとって明音は完全なる部外者あるいは侵略者なのだろう。その視線に異端者を見る警戒感を感じたのはただの気のせいと明音は思えなかった。
ほとんど教室に閉じ籠ってばかりしていたから、たまによそのクラスを覗くと好奇の目で見られる。だからD組教室に戻った。
そこは何だか華やかな世界だった。とても坊主頭の武道部佐田がいるクラスに見えない。
A組のような優等生の集まりの雰囲気を保ちつつ、ギスギスした空気を追い出したような心地よさを感じる。
ただ、明音には合わなかった。
後ろの出入口から少し入ったところで佐田の坊主頭がないことはわかった。もっと早くわかれば良かったのだがそう思った時には遅かった。
入ってすぐ出ていくのもおかしな話だ。仕方なく最も近いところにいた女子生徒に訊ねた。
「佐田君、いる?」
「え?」二人組の女子は目を丸くした。明音の顔を見て一瞬固まった。
私はモンスターではないのだが、と明音は相手にわからない程度にため息をついた。
「いないみたいね……」
引き下がろうとしたら窓際近くの席で群れていた一団から男子生徒が一人、明音を見つけて声をあげた。「お、明音じゃねえか」
そこには五、六人の男女がいて、その中で最もキラキラした輝きを放つ美少年がゆっくりと明音に近寄ってきた。
「あ、……恭平」明音は苦笑いを浮かべた。
さらに一団の中心にいて悠然と腰かけていた美少女が、突如思い立ったかのように立ち上がり、美少年の後を追うように明音のところへ足早に寄ってきた。
「明音……」目元涼しげな美少女は穏やかに微笑む。
眩しすぎて明音は二人を直視できなかった。渋谷恭平と前薗純香。かつてのクラスメイトだった。
「珍しいな、明音が来るなんて」渋谷が微かに笑みを浮かべて明音に言った。
「あ、ああ、佐田君に用があって」
「え、佐田? 武道部に助っ人頼まれたか」
「まあ、そんなところ、代わりになる当てができたので教えて上げようかと思って」
「剣道部の親善試合?」前薗が訊いた。彼女も佐田から相談を受けていたのだろう。
「うん、私は出ないし、泉月にも相談しづらいと言っていたから、別の人を紹介しようかと」
「他に剣道できそうなの、いたっけ?」渋谷は訊いた。
堂々としていて声も大きい。教室内に渋谷の声が響いているようだった。
「いたわよ」名前は明かさなかった。「佐田君いないのなら、私はこれで」
「たまには付き合えよ、最近ちっとも話してないだろ」
「うち、母子家庭になったからさ……」その先を何て言おう。
「少しくらいは良いだろ」渋谷が強引なところは変わらない。
「恭平君、明音が困っているでしょう?」間に入るのはいつも前薗純香だった。
「明音でも困ることあるのか?」
「ひどい言い方ね」明音はジトっと渋谷を見た。
「そうそう、その顔、久しぶりにみた。ラッキー」
「何がラッキーよ。じゃあね」
渋谷を振りきるように、前薗には笑顔を向けながら明音はB組の教室を離れた。
あの二人もA組を離れ、新しく自分たちのテリトリーを築いたようだ。
渋谷と前薗を相手に喋る明音を、奥からじっと見る一団があった。つい先ほどまで渋谷と前園を囲んで談笑していた生徒たちだ。
恐らくは彼らが今の渋谷と前薗と行動を共にする仲間なのだ。彼らにとって明音は完全なる部外者あるいは侵略者なのだろう。その視線に異端者を見る警戒感を感じたのはただの気のせいと明音は思えなかった。
ほとんど教室に閉じ籠ってばかりしていたから、たまによそのクラスを覗くと好奇の目で見られる。だからD組教室に戻った。
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