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しおりを挟む買い物というのは、楽しい反面、存外疲れるものである。男二人なので、体力面では、心配ないと思われたのだが、必要だと思われるものを全て購入し、帰宅したときには、すでに気力の全てを使い果たしていたといっても過言ではなかった。
取り合えず、交代で風呂に入り、荷物をばらして、ボクはサイズの合ってないパジャマではなく、買ってもらった新品の部屋着に袖を通した。
「なあ、これ、ボク……似合って、なくね」
人に買ってもらった物に文句をつけるのは、あまりいいことでないと思いつつも、どうしても、一言いいたかったのだ。
何せ、ボクは今年で二十五歳になる男である。着るものは、ちくちくゴワゴワしていなければ、なんでもいいとはいえ、チェックの柄に襟付きのパジャマは無しじゃないかと思うのだ。昨日、借りていたものは、まだよかった、紺だったし落ち着いたデザインだったから。
しかしこれは別物である。確かに肌ざわりはよくて、いかにも快眠できそうだが、これはボクが着るには、可愛い感じに寄りすぎな気がする。
「どうして?よく似合ってるよ、ほかの服も今着てみる?せっかく吟味して買ったんだ。早くみたいな」
「……」
その吟味して買った、普段着もオーバーサイズが基本で、全体的にフワフワしているというか、なんというか。
どんどん購入されていく服たちを見て、セージの好みというか、ボクに着せたい服の系統はわかってはいたのだが、それを自信をもって着られるかというのは、また別の問題である。
けれど決して、セージが勝手に、ボクの意見を無視して買う服を決めたのではない。買い物に行くときに車の中で、服の好みなんかを聞かれたのだ。そして、ボクは肌ざわりの要望だけを伝えて、それ以外には興味がないと言ったらこうなったのだ。
つまり、晩御飯何がいい?と聞かれて、なんでもいい。と答えたのに、出てきたものに関して文句を言ってるようなものなのだ。それはよくない、常識的にというより、人として。
「……セージ、ボク何歳に見える?」
「うーん。二十歳、過ぎくらいだと、思ってたけど」
「二十五……」
「わ、あはは、童顔だね」
「だから、な、四捨五入すると、三十でおっさんだろ。今更だけど、こんな可愛いカンジの服着て、い、痛くない?」
単刀直入に言うと、セージはすこしキョトンとして、それから吹き出して笑う。
「っ、あはは!ユキ、そんなこと気にしてたの?おっかしいなあ。おっさんて、ユキがおっさんなら、俺はおじさんになっちゃうよ!そんな風にみえる?」
「……いや、セージはおじさんじゃないだろ。まだ、若い」
「若い、ねぇ……ありがと。君も十分若く見えるから大丈夫だよ。それに、俺はユキにこういうのが似合うと思って買ったんだ。あんまり嫌ならもう少しカジュアルより服を買ってきてもいいけれど、君は可愛いんだから、自分の魅力を引き出せる服を着た方がいい」
「……」
すこし、疑いたくなる気持ちはありつつも、セージのセンスはいいように思う。スーツも私服もシックだけれど、それなりに飾り気もありお洒落だ。そしてボクは、まあまあ人から童顔だと言われる。
色々、考えるとそれほど変ではないのかなと思える。
「そこまで言うなら、セージを信じる……けど。お前の目には、ボクはどんな風に映ってんだよ。童顔かもしれないけど、可愛くはないだろ?」
「かわいいよ?……可愛いだけっていうより、愛らしい感じだけどね」
「違いがわかんね」
「そう?なんていうのかな、説明が難しいんだけどね」
ボクはとりあえず、ばらした服なんかは畳んで重ねておく。
「説明しなくていい。ボク、きっと言われてもわかんないしな。それより、夕飯なににする?」
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