【R-18】17歳の寄り道

六楓(Clarice)

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第1章、碧編

【21】タブー *R18

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目が腫れるほど泣いたら、すっきりして気分爽快になった。村上先生のお陰だ。
教室を出る時に「あーあ、仕事山積みだけど帰ろう」と先生が言い、引きとめてしまってごめんなさいと謝った。

「謝らなくていい。送るから、駐車場行っといて」

村上先生は一度職員室に戻り、駐車場で落ち合うことになった。


帰り道は、先生はいつもより饒舌だった。
男子校勤務時代から、生徒をよく車に乗せていたらしい。

「最初は女子生徒がいるのが慣れなかったけど、17歳はまだ子供だし、素直だなと思うよ」

そう話してくれながら、車は進む。
10分だけドライブしたいと言ったら、前来た河川敷の方へ回ってくれた。

「村上先生の…さっきの『好き』は、先生としての好き?」

はっきりと尋ねたら、村上先生は苦笑いする。

「それ以外ないでしょう」
「ふうん…じゃあ、それでもいいから、好きって言って」

恋愛の好きでもセンセイの好きでも、私はどっちでもいい。
その甘い声で、心を満たしてもらえれば…

「『言って』って言われて言うのって…」
と笑い飛ばされたしまったが。


河川敷に着く。
草が生い茂っていて、車の中は、外から故意に近づかれなければ何も見えない。

先生の『好き』が聞きたい。

「……そういうこと、浅野は言わないのか」
「言わないよ。つきあってないもん」
「は?つきあってない男とあんなことするの?」
「私は好きだったもん…」
「えー…今の若い奴らはわかんねえ」


丁寧な言葉遣いが崩れ、プライベートの村上先生が覗く。

もっと見たい。知りたい。先生の全部を。
『俺みたいな人間』と卑下する、先生の本当の顔を――。


私は、膝に置かれている先生の手を握った。
ピク…と手は動いたが、そのままにしてくれる。

「ねえ…言って、先生」

センセイの立場で私を好きなはずの先生は、私の肩を強引に抱き寄せる。
そして、いつも見惚れるそのきれいな長い指を、私の太ももに乗せた。

太ももに触れられ、体がゾクンと反応した。内側まですーっと辿り終えると、村上先生は指を離す。

近づいていた体も離されてしまいそうだったので、先生のスーツのジャケットを捕まえたら、「離して…」と苦笑いされた。




ジャケットをぎゅ…と握り、捕まえたまま離さずに先生を見上げた。
村上先生は僅かにため息をつく。

「そういう事は…好きな男としなさい」
「私、村上先生好きだよ」

今度は、私が先生のズボンにすばやく指を滑らせ、中央へ辿りつく。

「…白川」

困惑する先生の上にのしかかり、ジッパーを下げて手を入れた。

「白川…やめろ」

村上先生は私の手首を掴んだが、私は何かが憑依したように口を開けて、先生の下着ごと、猛々しいものを口に含んだ。

「っ……」

私の手首を掴んだ手が緩み、その隙に両手で先生の下着をズリ下げると、想像以上の極太のものが飛び出した。

「わあっ…」

先生のものは、目を見張るほど逞しく太かった。
細身な先生からは想像できなくて、遥のものよりも大きなそれは、凶悪なほど膨らみきっている。
村上先生も興奮してるんだ。

男の人のそれを舐めるのは初めてで、アイスクリームを舐めるようにぺろ、ぺろと舌を動かしながら先生を見上げる。

むせ返るほど男の匂いがする。それを味わいたくて、根元の方まで口の中に収め、唇をすぼめて引きあげ、喉元まで深く含む。

何度か繰り返していたら、「ん…」と先生の甘い吐息が聞こえてきて、舐めしゃぶりながらも感激して微笑んだ。

「ほんとに君は…」

先生は、抵抗をやめて大事な所を私に委ねてくれる。
私の身体には全く触れる事はせず、私の口内の感触を楽しんでいるようにすら見えた。
じゅぽっと音をさせて口を離し、はち切れる寸前のものをきゅっと握って、覚えたての手つきで上下させた。

『他の男の握んじゃねーぞ』と言っていた遥の姿が、脳裏を過ぎる。

握るどころか、口にまで含んで、甘い声を出しながら味わっている。
遥が知ったらどう思うかな――。

自分の異常さを自覚しながらも、抑えきれない性の衝動にたやすく流されてしまう。

「白川…離れなさい」

昇りつめそうな先生の声が聞こえているが、頭を上下させ続ける。

「出るよ、もう…離れないと……」

卑猥な水音は途切れることなく、精がほとばしる瞬間を待ち焦がれる私。

村上先生は、私の腕を握った。


「……知らねえぞ」

唸りながら強く握られる腕は、痛みを感じない。

「!」

口の中に、ビュ、ビュッと勢いよく流れ込む。
先生の精で熱く満たされた瞬間、征服感に近い感情が湧きあがった。


余韻を味わう間も無く村上先生は、飲みかけらしいミネラルウォーターを渡してくれた。
遠慮なく蓋を開けて飲み、唇を舐める。
先生は訝しげに私を一瞥し、乱れた着衣を整えながら、笑い出した。

「気持ちよかった?」
「まあな。下手なりに」

下手か…やっぱり。でも、先生が達してくれるのは嬉しい。

「お母さんとは、話をしてないのか」
「べつに、何も。…心配かけたくないの。私が話をすると、何でも心配しちゃうし。怒るし…」
「母親に心配かけずに、俺には心配かけるのか」

村上先生は、私の頬を親指と中指で横から潰す様に持ちあげた。
頬が強く押し潰されて唇が尖り、ブスな顔になっている。
そして先生が笑う。

Sっぽいな…

ブス顔のまま、メガネの奥の瞳をまっすぐに見つめていたら、先生は指を離した。

「しかし、盛りのついた雌猫みたいだな。困ったもんだな。寂しいんだろうけど…」

愛情不足。
はっきりとした自覚はなかったけど、指摘されるのは初めてだった。
母も、私への愛情はあったと思うが、私がそれを受け取れていなかった、というのが正しいのだろうか。

義父の言動に怯えながらも、母の愛情を手にしている義父への嫉妬もあり、家庭は私の落ち着く場所ではない。
いつも、虚しくて、心にぽっかり穴があいていて。
現状には満足できずに、いつかきっと幸せが待っていると本気で思っていた。

「寂しいのかな、私…」
「…いや、わかんないけど、そう見える」

先生は、黒縁メガネを外してダッシュボードに置く。

「白川が、虚無感やストレスをセックスで満たそうとしているのはわかってるよ。でも、他の男を渡り歩くのは心配で見ていられない。本当に好きな男相手なら何も文句はないけど、そうでもないようだし……俺にまで、こんなことするぐらいだし。」

先生は私を見据え、話を続ける。
メガネをとった先生は、村上先生ではない誰か別の男の人に見えた。
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