22 / 128
第1章、碧編
【22】タブー
しおりを挟む
「セックスを知ったのなんて、数日前だよ。数回しかしてないし」
「その数回のうちの一回に俺は立ち会ったのか」
へへ、と笑ったら、「笑いごとじゃない」と叱られた。
「そんなに心配ならさ、先生が相手してくれたらいいじゃん」
「は?」
「そしたらセックスの相手…先生だけにするよ」
「…………」
半分冗談だったのだが、先生は考え込み、私を見つめる。
「それでいいなら、そうするか。いいよ。やってみても」
まさか承諾するとはつゆほども思わず、今度は私の方が慌てる。
「いいの?先生なのに?この前プリンくれた時だって、見つかったらだめな感じだったのに……」
「俺のズボンずり下げて咥えた奴がよく言うよ。別に俺は、お前ひとり抱くぐらい何てことないよ。オナニーしてるのと変わらない」
女じゃなく、雌猫を拾ったような顔をして先生は答えた。
それが村上先生の本音?
「いいか。条件は絶対秘密。それだけだよ」
私が寂しくなったら、先生に抱いてもらう約束。
恋愛ではないけど、好きという言葉つき。
「じゃあ、帰ろうか。ちょっと遅くなったな」
村上先生はまたメガネをかけて、今の約束なんて大したことじゃないかのような顔をして、私にシートベルトをするように言ってきた。
私は、衝撃の約束を交わしたと思っているんだけど……ドキドキしてるのは私だけのようだ。
先生が口の中で果てた時、『勝った』と思ったのに、すぐに形勢逆転をして。
今は私の方が、村上先生に負けてる。
その後は普通に家に送り届けられて、しばらくは夢うつつの状態で過ごした。
「最近、ぼーっとしてるねぇ」と母が変な顔をしていた。
義父のことは驚くほど気にならず、お風呂の時に義父に下着を見られないようにさえしたら、なんとか普通に過ごせるものだった。
私…いつか村上先生とエッチするんだ、と考えたら落ち着かない。
私が望めば、あの手で、いろんな所を触ってもらえる。
誰にも秘密にさえしていたら、先生が抱いてくれる――。
しかし、学校で会う村上先生は、前と全く様子は変わらないし、あの約束は本当に現実の出来事だったのか?などと、思い直したりしていた。
遥は、学校を休みがちになった。でも、誰も遥の事を気にとめない。1年生の時からそうだ。
遥と行く約束だったデートの日が過ぎ、観測会直前のこと。
天文部の部室でミーティングがあり、放課後集まった。
20人足らずの部員の中、小柄な女の子が一人いる。
他の女子部員は二人だと聞いたが、一人だけかな?
目が合い会釈すると、その子はニコッと可愛く微笑んで、私の隣に来た。
「今月入部されたんですよね?こんにちは、1-Aの小谷です」
A組と言う事は、特進の生徒か。
「2-Aの白川碧です。よろしくね」
「碧先輩って呼んでいいですか?」
「いいよ。学年は先輩だけど、部活歴は同じだけどね~。小谷さんの下の名前は?」
「美咲です。碧先輩の好きな呼び方でお願いします!」
「じゃあ~……………美咲ちゃん。」
「はい!」
美咲ちゃんの瞳はうるうるとして仔犬のようだ。
厚めの前髪に、栗色のふわっとした髪を、後ろでくるりと纏めている。クラスでもきっとモテているだろう。
美咲ちゃんと少し話をしたところによると、彼女と一緒に入部したもう一人の女子部員はすでに退部してしまったらしく、今はサッカー部のマネージャーに立候補しているらしい。
「なので、天文部の女子は私と碧先輩だけなんですよ」
「そうなんだ…」
美咲ちゃんは、なんでその子と一緒にやめなかったんだろう?
よっぽど星が好きなのかな。
そのうち、本格的な観測会の説明が始まり、今年は例年と違い、休日の夕方から実施されることとなった。
毎年平日開催だったのだが、カレンダーの都合でゴールデンウィークの合間になってしまったらしい。
学校も閉まっているのだが、当日は校門前で村上先生が待機しているので、そこに集合してから校舎内に入るそうだ。
当日の夕食は自分たちで用意をし、デザートも作る。
高校には調理部や家庭部といった、女子向きのクラブはなかったので、校内で調理実習をする部活動は天文部だけのようだ。
小谷さんと目を合わせて、「料理するんだね…」と苦笑いした。
料理は、土日にたまにやるが、得意ではない。
遥は観測会に来るのかな。
前は来るって言っていたけど、今日のミーティングもサボってるし…。
もうデートしないって言ってから、一度もまともに話をしていない。
でもきっと、遥の事を気にしているのは私だけで、遥は私の事など何も考えていないだろう。
それに、私は―――。
部室のドアがガラッと開いた。
村上先生が気だるく部室を覗き入ってきた。パイプ椅子を出して座る。
ミーティングの進行はすべて高田部長。流暢にわかりやすく説明てしてくれるので、とても聞きやすい。
「だいたいの説明は行いました。後は、調理の買い出しの事を…」
と、部長が村上先生に進捗を話し、先生は腕組みをして指示を出す。
「じゃんけんして、負けた人二人決めて。当日集合前に車で○○スーパー連れてくから。献立は決めたの?」
先生がスーパーに連れてってくれるならやりたかったが、じゃんけんはこんな時に限って勝ち進んでしまい、買い出し係にはなれなかった。
献立は王道のカレーに決まった。
「その数回のうちの一回に俺は立ち会ったのか」
へへ、と笑ったら、「笑いごとじゃない」と叱られた。
「そんなに心配ならさ、先生が相手してくれたらいいじゃん」
「は?」
「そしたらセックスの相手…先生だけにするよ」
「…………」
半分冗談だったのだが、先生は考え込み、私を見つめる。
「それでいいなら、そうするか。いいよ。やってみても」
まさか承諾するとはつゆほども思わず、今度は私の方が慌てる。
「いいの?先生なのに?この前プリンくれた時だって、見つかったらだめな感じだったのに……」
「俺のズボンずり下げて咥えた奴がよく言うよ。別に俺は、お前ひとり抱くぐらい何てことないよ。オナニーしてるのと変わらない」
女じゃなく、雌猫を拾ったような顔をして先生は答えた。
それが村上先生の本音?
「いいか。条件は絶対秘密。それだけだよ」
私が寂しくなったら、先生に抱いてもらう約束。
恋愛ではないけど、好きという言葉つき。
「じゃあ、帰ろうか。ちょっと遅くなったな」
村上先生はまたメガネをかけて、今の約束なんて大したことじゃないかのような顔をして、私にシートベルトをするように言ってきた。
私は、衝撃の約束を交わしたと思っているんだけど……ドキドキしてるのは私だけのようだ。
先生が口の中で果てた時、『勝った』と思ったのに、すぐに形勢逆転をして。
今は私の方が、村上先生に負けてる。
その後は普通に家に送り届けられて、しばらくは夢うつつの状態で過ごした。
「最近、ぼーっとしてるねぇ」と母が変な顔をしていた。
義父のことは驚くほど気にならず、お風呂の時に義父に下着を見られないようにさえしたら、なんとか普通に過ごせるものだった。
私…いつか村上先生とエッチするんだ、と考えたら落ち着かない。
私が望めば、あの手で、いろんな所を触ってもらえる。
誰にも秘密にさえしていたら、先生が抱いてくれる――。
しかし、学校で会う村上先生は、前と全く様子は変わらないし、あの約束は本当に現実の出来事だったのか?などと、思い直したりしていた。
遥は、学校を休みがちになった。でも、誰も遥の事を気にとめない。1年生の時からそうだ。
遥と行く約束だったデートの日が過ぎ、観測会直前のこと。
天文部の部室でミーティングがあり、放課後集まった。
20人足らずの部員の中、小柄な女の子が一人いる。
他の女子部員は二人だと聞いたが、一人だけかな?
目が合い会釈すると、その子はニコッと可愛く微笑んで、私の隣に来た。
「今月入部されたんですよね?こんにちは、1-Aの小谷です」
A組と言う事は、特進の生徒か。
「2-Aの白川碧です。よろしくね」
「碧先輩って呼んでいいですか?」
「いいよ。学年は先輩だけど、部活歴は同じだけどね~。小谷さんの下の名前は?」
「美咲です。碧先輩の好きな呼び方でお願いします!」
「じゃあ~……………美咲ちゃん。」
「はい!」
美咲ちゃんの瞳はうるうるとして仔犬のようだ。
厚めの前髪に、栗色のふわっとした髪を、後ろでくるりと纏めている。クラスでもきっとモテているだろう。
美咲ちゃんと少し話をしたところによると、彼女と一緒に入部したもう一人の女子部員はすでに退部してしまったらしく、今はサッカー部のマネージャーに立候補しているらしい。
「なので、天文部の女子は私と碧先輩だけなんですよ」
「そうなんだ…」
美咲ちゃんは、なんでその子と一緒にやめなかったんだろう?
よっぽど星が好きなのかな。
そのうち、本格的な観測会の説明が始まり、今年は例年と違い、休日の夕方から実施されることとなった。
毎年平日開催だったのだが、カレンダーの都合でゴールデンウィークの合間になってしまったらしい。
学校も閉まっているのだが、当日は校門前で村上先生が待機しているので、そこに集合してから校舎内に入るそうだ。
当日の夕食は自分たちで用意をし、デザートも作る。
高校には調理部や家庭部といった、女子向きのクラブはなかったので、校内で調理実習をする部活動は天文部だけのようだ。
小谷さんと目を合わせて、「料理するんだね…」と苦笑いした。
料理は、土日にたまにやるが、得意ではない。
遥は観測会に来るのかな。
前は来るって言っていたけど、今日のミーティングもサボってるし…。
もうデートしないって言ってから、一度もまともに話をしていない。
でもきっと、遥の事を気にしているのは私だけで、遥は私の事など何も考えていないだろう。
それに、私は―――。
部室のドアがガラッと開いた。
村上先生が気だるく部室を覗き入ってきた。パイプ椅子を出して座る。
ミーティングの進行はすべて高田部長。流暢にわかりやすく説明てしてくれるので、とても聞きやすい。
「だいたいの説明は行いました。後は、調理の買い出しの事を…」
と、部長が村上先生に進捗を話し、先生は腕組みをして指示を出す。
「じゃんけんして、負けた人二人決めて。当日集合前に車で○○スーパー連れてくから。献立は決めたの?」
先生がスーパーに連れてってくれるならやりたかったが、じゃんけんはこんな時に限って勝ち進んでしまい、買い出し係にはなれなかった。
献立は王道のカレーに決まった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる