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1 秘密の恋に溺れる女
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ゲス不倫だって騒がれても、尊敬が勝手に恋に変わることなんて、きっとありふれたことなんだと思う。
ここはホテルの最上階。このスカイラウンジが、私・都築 玲(つづき れい)と部長・矢嶋 隆紀(やじま たかのり)の待ち合わせ場所だ。
相手がただ、既婚者だっただけ。
ただ、恋に落ちただけ。
そう言い聞かせながら、今夜も彼を待つ。
「……待った?」
「いえ……」
ガラにもなく恥じらって俯きながら答えるが、本当にこの男の前では狙わずしてそうなるから仕方ない。
「大丈夫でしたか?お仕事は…」
「ああ、何とか切り上げたよ。今度の出張楽しみだな」
矢嶋部長は、職場の上司。27歳の私よりも、15歳近く上だ。
人望もあり、きれいな奥様もかわいいお子さんもいる、およそこんな関係に陥りそうにない人。
私も、まさかこんなことになるとは、思っていなかった。
部長は軽く手をあげタクシーを呼びとめる。
速やかに乗り込み、行く先は……
繁華街から外れた、寂れたこの町にある低層マンションの前でタクシーがとまる。
「ここでいいです。釣りは取っておいて下さい」
部長は私に降りるよう促し、支払いを済ませた。
タクシーが去るのを見計らい、そのマンションに二人で入って行く。
ここは、部長の別宅。
昔この近くで長期の仕事をしていた時に借りたままにしているそうだ。
簡単な家電と、ベッドに、備え付けの空調。
ここが私たちの束の間の別世界。
「そろそろ寒くなってきたから、毛布を買いたさないといけないね」
「そうですね。布団干したいなぁ…」
「明日干そうか。昼までいられるから、今晩はずっと一緒にいよう」
半分新婚ごっこのできる場所。おままごとのようなものだが。
「…玲」
部長は私を軽く呼び寄せると、ベッドの上に引き込んだ。
「玲、舐めて…」
私の目の前に、部長の男の部分がぶら下がる。
それは少し角度がついていて。
上から、愛しい彼の熱っぽい視線を向けられてぞくぞくした。
「はい……」
舌を伸ばして、軽く俯く男の先を擽るように舐め上げ、まだ柔らかいまま口に含んでしごきあげる。
みるみるうちに口の中で大きく膨らみ、部長が一日働いた事を感じさせる芳香が鼻から抜けた。
「ん…んふ、ん」
淫靡な水音と、自然と出るリズミカルな喘ぎとも似た声に、部長は深く息を吐く。
「上手だね、玲…今度、会議室でもしてくれる?」
「ふぁい…」
陰棒を咥えてうっとりと頷いたら、一段と部長は快感の高みへと登ってしまった。
「ああ、出そうだ……玲、脱いでくれ」
ちゅぽっとシンボルを口から逃し、パンストとパンティーを一息に脱ぎ、足を広げて部長を待つ。
部長はもどかしそうにスラックスを脱いで、黒々とした男のシンボルを、然程濡れてもいない私の女の入り口に押し当てた。
「いくよ、入れるよ、玲の好きなモノだよ」
グッ、と貫かれる。
「………あぁん!痛いっ…」
濡れていない分、部長は無理矢理押し込み、何も隔たりのない生のそれが奥へ到達した。
「痛い?玲、可愛い」
「んんんっ……」
顔を顰める私に、部長は余すところなくキスを落とす。
優しいのだか痛めつけたいのだか、わからないけれど、部長に見つめられるだけできゅんと締め付けてしまう。
最初はこんなセックスではなかった。
その時だけでも愛されていると実感できるような素敵な時間だったけど、いつしか、無理矢理するのがデフォルトになった。
濡れていないのをこじ開けられる感覚が好きで、部長は痛がる私を見ているのがお気に入りなのだ。
その証拠に、数回動かせばもう私の奥からは滴るほどの愛液が溢れ、すぐに部長のシンボルは私の蜜に覆われ、部長はほどなく、私を脅しながら私の奥で真っ白な精液を放つ。
部長の図らいで、しっかりとピルも飲んでいる。
こういうプレイだ。不倫関係の二人が、中に出す攻防を楽しむのだ。
部長は私を可愛い恋人だと囁くが、私は部長専属の風俗嬢だと思っている。
一晩抱き合って眠り、明るくなった日中、別々のタクシーで家に帰る。
寂しくないと言えば嘘になる。でも、寂しいって言ったって、彼は帰っていく。奥さんとお子さんの待つ家に。
休みの日は好きじゃない。
何をしていいのかわからないし、今頃奥さんと楽しく過ごしていると思ったら嫉妬よりも、生きていることが虚しくなってしまう。
一人でいても幸せでいたいのに、そんな願望とはかけ離れた生活だ。
月曜が待ち遠しく、部長と一緒にいられる金曜のために生きている。
「都築さん。ちょっと今いい?」
「……はい…」
月曜朝イチで声を掛けてきたのは、同じ部署の先輩である、木庭 彰人(こば あきひと)。年齢は30。
飄々としていて、何を考えているかわからないタイプで苦手だ。仕事はできる人なので、尊敬はしているけど。
「新規プロジェクト……ですか?」
「そう。最初は、部長から俺に振られたんだけど、規模小さいから、俺が見ながら都築さんにやらせてって」
「部長が…」
そう言うと、木庭さんはちらと私を見た。
「あ、頑張ります」
「俺がいなくなるまでに独り立ちしてね」
そっけなく返されたが、…いなくなる?
「いなくなるんですか?」
「すぐじゃないよ。今年度いっぱいはいるから。誰にも言わないでね」
「えっ。あと3ヶ月しかないじゃないですか」
「3ヶ月もあればこれ一発ぐらいできるでしょ。じゃ、叩き作ってきて。また見るから」
「…あ…はい……」
へえ。辞めちゃうのかな……?ちょっとびっくりした。
私が入社してからずっといたから、ふーん…。
私を置いてさっさと席を立つ木庭さんに、端末を抱いて追いかける。
「追いてかないでくださいよ」
「え、だって都築さん、下降りんじゃないの?」
「降りませんよ」
「部長、下にいるよ」
な、何か知ってる……?
思わず口をつぐんだ私を、全く表情を崩さずに木庭さんが言う。
「そんな顔しなくても。誰にも言わないから。それより、気付かれないようにしなよ」
やっぱり、知ってる……。
何もかもが恥ずかしくなって、冷水を浴びせられたようにさっと血の気が引いた。木庭さんは手に提げた端末をぐっと抱き直し、エレベーターの上のボタンを押した。
「一個だけ言っていい?ウゼー先輩のアドバイスだと思って聞き流してもいいし」
「は、はい」
「自分を大事にしたほうがいい」
エレベーターが来た。木庭さんだけが乗り込み、私はその場に立ち竦む。
「先にあがってください…」
「ああ」
ドアが閉まっても、顔を上げることができなかった。
ここはホテルの最上階。このスカイラウンジが、私・都築 玲(つづき れい)と部長・矢嶋 隆紀(やじま たかのり)の待ち合わせ場所だ。
相手がただ、既婚者だっただけ。
ただ、恋に落ちただけ。
そう言い聞かせながら、今夜も彼を待つ。
「……待った?」
「いえ……」
ガラにもなく恥じらって俯きながら答えるが、本当にこの男の前では狙わずしてそうなるから仕方ない。
「大丈夫でしたか?お仕事は…」
「ああ、何とか切り上げたよ。今度の出張楽しみだな」
矢嶋部長は、職場の上司。27歳の私よりも、15歳近く上だ。
人望もあり、きれいな奥様もかわいいお子さんもいる、およそこんな関係に陥りそうにない人。
私も、まさかこんなことになるとは、思っていなかった。
部長は軽く手をあげタクシーを呼びとめる。
速やかに乗り込み、行く先は……
繁華街から外れた、寂れたこの町にある低層マンションの前でタクシーがとまる。
「ここでいいです。釣りは取っておいて下さい」
部長は私に降りるよう促し、支払いを済ませた。
タクシーが去るのを見計らい、そのマンションに二人で入って行く。
ここは、部長の別宅。
昔この近くで長期の仕事をしていた時に借りたままにしているそうだ。
簡単な家電と、ベッドに、備え付けの空調。
ここが私たちの束の間の別世界。
「そろそろ寒くなってきたから、毛布を買いたさないといけないね」
「そうですね。布団干したいなぁ…」
「明日干そうか。昼までいられるから、今晩はずっと一緒にいよう」
半分新婚ごっこのできる場所。おままごとのようなものだが。
「…玲」
部長は私を軽く呼び寄せると、ベッドの上に引き込んだ。
「玲、舐めて…」
私の目の前に、部長の男の部分がぶら下がる。
それは少し角度がついていて。
上から、愛しい彼の熱っぽい視線を向けられてぞくぞくした。
「はい……」
舌を伸ばして、軽く俯く男の先を擽るように舐め上げ、まだ柔らかいまま口に含んでしごきあげる。
みるみるうちに口の中で大きく膨らみ、部長が一日働いた事を感じさせる芳香が鼻から抜けた。
「ん…んふ、ん」
淫靡な水音と、自然と出るリズミカルな喘ぎとも似た声に、部長は深く息を吐く。
「上手だね、玲…今度、会議室でもしてくれる?」
「ふぁい…」
陰棒を咥えてうっとりと頷いたら、一段と部長は快感の高みへと登ってしまった。
「ああ、出そうだ……玲、脱いでくれ」
ちゅぽっとシンボルを口から逃し、パンストとパンティーを一息に脱ぎ、足を広げて部長を待つ。
部長はもどかしそうにスラックスを脱いで、黒々とした男のシンボルを、然程濡れてもいない私の女の入り口に押し当てた。
「いくよ、入れるよ、玲の好きなモノだよ」
グッ、と貫かれる。
「………あぁん!痛いっ…」
濡れていない分、部長は無理矢理押し込み、何も隔たりのない生のそれが奥へ到達した。
「痛い?玲、可愛い」
「んんんっ……」
顔を顰める私に、部長は余すところなくキスを落とす。
優しいのだか痛めつけたいのだか、わからないけれど、部長に見つめられるだけできゅんと締め付けてしまう。
最初はこんなセックスではなかった。
その時だけでも愛されていると実感できるような素敵な時間だったけど、いつしか、無理矢理するのがデフォルトになった。
濡れていないのをこじ開けられる感覚が好きで、部長は痛がる私を見ているのがお気に入りなのだ。
その証拠に、数回動かせばもう私の奥からは滴るほどの愛液が溢れ、すぐに部長のシンボルは私の蜜に覆われ、部長はほどなく、私を脅しながら私の奥で真っ白な精液を放つ。
部長の図らいで、しっかりとピルも飲んでいる。
こういうプレイだ。不倫関係の二人が、中に出す攻防を楽しむのだ。
部長は私を可愛い恋人だと囁くが、私は部長専属の風俗嬢だと思っている。
一晩抱き合って眠り、明るくなった日中、別々のタクシーで家に帰る。
寂しくないと言えば嘘になる。でも、寂しいって言ったって、彼は帰っていく。奥さんとお子さんの待つ家に。
休みの日は好きじゃない。
何をしていいのかわからないし、今頃奥さんと楽しく過ごしていると思ったら嫉妬よりも、生きていることが虚しくなってしまう。
一人でいても幸せでいたいのに、そんな願望とはかけ離れた生活だ。
月曜が待ち遠しく、部長と一緒にいられる金曜のために生きている。
「都築さん。ちょっと今いい?」
「……はい…」
月曜朝イチで声を掛けてきたのは、同じ部署の先輩である、木庭 彰人(こば あきひと)。年齢は30。
飄々としていて、何を考えているかわからないタイプで苦手だ。仕事はできる人なので、尊敬はしているけど。
「新規プロジェクト……ですか?」
「そう。最初は、部長から俺に振られたんだけど、規模小さいから、俺が見ながら都築さんにやらせてって」
「部長が…」
そう言うと、木庭さんはちらと私を見た。
「あ、頑張ります」
「俺がいなくなるまでに独り立ちしてね」
そっけなく返されたが、…いなくなる?
「いなくなるんですか?」
「すぐじゃないよ。今年度いっぱいはいるから。誰にも言わないでね」
「えっ。あと3ヶ月しかないじゃないですか」
「3ヶ月もあればこれ一発ぐらいできるでしょ。じゃ、叩き作ってきて。また見るから」
「…あ…はい……」
へえ。辞めちゃうのかな……?ちょっとびっくりした。
私が入社してからずっといたから、ふーん…。
私を置いてさっさと席を立つ木庭さんに、端末を抱いて追いかける。
「追いてかないでくださいよ」
「え、だって都築さん、下降りんじゃないの?」
「降りませんよ」
「部長、下にいるよ」
な、何か知ってる……?
思わず口をつぐんだ私を、全く表情を崩さずに木庭さんが言う。
「そんな顔しなくても。誰にも言わないから。それより、気付かれないようにしなよ」
やっぱり、知ってる……。
何もかもが恥ずかしくなって、冷水を浴びせられたようにさっと血の気が引いた。木庭さんは手に提げた端末をぐっと抱き直し、エレベーターの上のボタンを押した。
「一個だけ言っていい?ウゼー先輩のアドバイスだと思って聞き流してもいいし」
「は、はい」
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