32 / 64
回想 初陣と彼女とライバルと
しおりを挟む
初の実戦である。
俺はついに前に出る。戦場に出る。
シガレッツの地を支配していた魔王軍の最後の拠点地へ攻勢。ジーク様は総動員を掛け最終攻勢へ移行する。
「一兵たりともここから逃がさないように。もう敵は降伏か死かの二つに一つだ」
フリート様の言葉にジーク様も頷きそれが攻勢の目的となった。
進軍を進めその目的地へと近づくにつれて俺の心臓の鼓動が高まっていく。だが不安になるなと俺は自分に言い聞かせた。
お前ひとりが如何こうする戦いではない。
この戦いは仕上げであり勝ちが確定しているようなものだ。俺は敵の逃亡を防ぐために動員された壁を厚くするための一人に過ぎない。
現にほら、隊列の最後尾あたりにいるじゃないか。お前はただ足手まといにならず任務放棄とかといった問題を起こさなければ何も問題はない。
目立とうとしたり活躍しようとしてはならない。
せっかくアレクやノイスがこんな俺のために口添えをしてくれたんだなにかやらかして二人の顔に泥をこれ以上かけたくはない。
俺の残されたなけなしの財産でもある評判や誇りに掛けて自分の役目を全うしよう。
特に何もしない! という役目をだ。
やがて行進が止まり前に壁ができだした。この先が砦で目的地かと俺は緊張する。
フリート様が身体に似合わぬ驚くほどの大声でなにやら降伏を勧告しているようだが反応はない。
やはり戦闘開始かとしばらく待っているとタバコの香りが漂ってきて薫りが濃くなって近づいてくる。
この匂いは絶対に間違えるはずのない彼女の、と思っていると人垣が裂け彼女が現れた。
顔には二本の線が刻まれ戦闘用の衣装にまとわれた彼女はさながら異国の軍神じみており異形な美しさに見惚れていると俺は声を掛けられ名を呼ばれた。
えっ? 俺になにかと先ずそのことを思った。
「なんだこんなところにいたのか。あなたはこっちだろ。なにをしているのやら」
何を言っているのか分からず混乱したまま手を引っ張られ前へと連れていかれる。
その遠慮のない力強い掌に俺は喜びを覚えると同時に不安と緊張が全て絡まり合いながら歩いていくと、
俺の前には誰もいなくなった。
前線である。最前線。横に弓兵や飛び道具系の戦士が並んでいる。
なんで俺がここに?
「手斧、あるよな? 構えて」
「ある、けど、構えろ、って?」
彼女は妙な顔をした。その崩れた表情もまた美しい。
「変なことを言うのだな。敵が出てきたら一斉攻勢だ。その際に先ずは飛び道具を使用するのだよ。
私とあなたの手斧はその為にずっと訓練してきたんだ。それなのにまさかあんなところにいるとか……よりによってなんで最後尾にいるんだ! 捜すのに苦労したんだから」
俺の手斧の訓練は厳密にはあなたと一緒にいたいからで、とは言えない。言えるはずもなし。そうだ俺はこの時のために訓練してきたんだ!
そうに違いない! そうと言わないと彼女から変に見られてしまう。
「すまなかった。でしゃばるのも良くないと思ったし、それに俺はそのまだ上手くは投げられなく」
「大丈夫だ。ジーク殿には名人だと伝えた」
「なにも大丈夫じゃない! そんなに話を盛ったら」
「だからここに立てるわけだ」
彼女の微笑むと俺の心臓は違う音の鼓動が鳴った。たまに鳴るその音は痛さが心にまで滲む。血が溢れているのかもしれない。
「戦士ならここにいるべきだ。オヴェリア様との訓練も全部吐き出せ。戦士なら、戦ってそして死ね。あなた自身の全てをさらけ出すんだ」
彼女は笑い声混じりの声に俺は頷いた。そうだ俺は戦いを望んでいたんだ。
「うん、戦ってそして死ぬ」
「その意気だ。運がよかったら生き残れる」
その言葉にも頷く。俺は死ぬのは良いが、だが君には生きてもらいたいし、できれば一緒に生きたい。
こんなことは言えるはずもないもののそう思うと身体から力が漲り行進中の後ろ向きな気持ちはどこかに消失した。俺が戦うとしたらそれはその理由はひとつは。
「来る、構えて」
彼女はタバコを吐き捨て構え、俺も続いた。
砦からは何も変化はないが、と思った瞬間に敵が一斉に現れた。
「撃て!」
フリート様の叫び声と同時に俺は手斧を反射的に投げた。一瞬見えた敵目掛けて回転しながら飛んで行く手斧。
当たれ、と願いながらその行く末を目で追うも、それは虚しく空を斬って後方へと流れていくのを見て取った。
「惜しい!」
彼女の声が聞こえ隣を見るとそっちは敵に当たって一人、倒れた。
「うまい!」
「良いところを見せられたよ!」
喜ぶ彼女に俺は複雑な気分となった。それは俺が言いたかった台詞なんだが、しょうがない。
「突撃!」
フリート様の合図が辺りに響くと彼女が先駆けとばかりに飛び出しあとのみんなも続いた。
俺も行くのか? 俺も、と一瞬思うと彼女の背中が目に入るとすぐに追いかけた。
騒音と悲鳴に叫び声が俺の全身を取り巻き戦いの渦へと呑み込まれていく感覚のなか、彼女は戦っていた。
オヴェリアちゃんといつも行っている剣の型そのものの動きで以て。
俺はあれは舞のようなものとしか見れなかったが、いまの彼女にはその舞に相手がいて、舞いに取り込まれ血の雨を降らせているように見えた。
薙ぎ払いながら回転する軍神がそこにいた。相手が倒れるとその舞が終わった。
次なる敵の剣士とつばぜり合いからの睨みあいが発生。
かなりの剣士と思っているとそんな彼女の背後に忍び寄るもう一人の戦士が、いると思った瞬間に俺は間に飛び込み踏み込んで来たその敵の一撃目を防いだ。
いつもの稽古よりも軽いその一撃、ビクともしない自身の剣、そしてそのことにあとで気づくもこの時はなにも気づかぬ無我夢中のなか、そこから俺の攻撃は空を斬り外れ、もう一撃が来るも今度も受け止め流したところで、敵が突然倒れた。
俺の攻撃ではない誰かの攻撃によって。
謎の影が走りそれを目で追うとそれは彼女のところへいき、それから敵の剣士も倒れた。
「助太刀、感謝する!」
彼女の喜びの声が聞こえ俺はそっちを見た。
その言葉は俺に対してのものではなくその近くにいる影に対してのもの。俺はその影と彼女を見ているとそれがこっちを見た。
「君、大丈夫か?」
金色の髪をした涼し気な顔をした男がそこにいた。俺は何も答えられずにいた。
何も答えることができない。そう、口が開かない。
感謝ではなく違う感情が腹の底から渦巻き自分の身体中にそれが満たされていく感覚だけがそこにあった。
俺はついに前に出る。戦場に出る。
シガレッツの地を支配していた魔王軍の最後の拠点地へ攻勢。ジーク様は総動員を掛け最終攻勢へ移行する。
「一兵たりともここから逃がさないように。もう敵は降伏か死かの二つに一つだ」
フリート様の言葉にジーク様も頷きそれが攻勢の目的となった。
進軍を進めその目的地へと近づくにつれて俺の心臓の鼓動が高まっていく。だが不安になるなと俺は自分に言い聞かせた。
お前ひとりが如何こうする戦いではない。
この戦いは仕上げであり勝ちが確定しているようなものだ。俺は敵の逃亡を防ぐために動員された壁を厚くするための一人に過ぎない。
現にほら、隊列の最後尾あたりにいるじゃないか。お前はただ足手まといにならず任務放棄とかといった問題を起こさなければ何も問題はない。
目立とうとしたり活躍しようとしてはならない。
せっかくアレクやノイスがこんな俺のために口添えをしてくれたんだなにかやらかして二人の顔に泥をこれ以上かけたくはない。
俺の残されたなけなしの財産でもある評判や誇りに掛けて自分の役目を全うしよう。
特に何もしない! という役目をだ。
やがて行進が止まり前に壁ができだした。この先が砦で目的地かと俺は緊張する。
フリート様が身体に似合わぬ驚くほどの大声でなにやら降伏を勧告しているようだが反応はない。
やはり戦闘開始かとしばらく待っているとタバコの香りが漂ってきて薫りが濃くなって近づいてくる。
この匂いは絶対に間違えるはずのない彼女の、と思っていると人垣が裂け彼女が現れた。
顔には二本の線が刻まれ戦闘用の衣装にまとわれた彼女はさながら異国の軍神じみており異形な美しさに見惚れていると俺は声を掛けられ名を呼ばれた。
えっ? 俺になにかと先ずそのことを思った。
「なんだこんなところにいたのか。あなたはこっちだろ。なにをしているのやら」
何を言っているのか分からず混乱したまま手を引っ張られ前へと連れていかれる。
その遠慮のない力強い掌に俺は喜びを覚えると同時に不安と緊張が全て絡まり合いながら歩いていくと、
俺の前には誰もいなくなった。
前線である。最前線。横に弓兵や飛び道具系の戦士が並んでいる。
なんで俺がここに?
「手斧、あるよな? 構えて」
「ある、けど、構えろ、って?」
彼女は妙な顔をした。その崩れた表情もまた美しい。
「変なことを言うのだな。敵が出てきたら一斉攻勢だ。その際に先ずは飛び道具を使用するのだよ。
私とあなたの手斧はその為にずっと訓練してきたんだ。それなのにまさかあんなところにいるとか……よりによってなんで最後尾にいるんだ! 捜すのに苦労したんだから」
俺の手斧の訓練は厳密にはあなたと一緒にいたいからで、とは言えない。言えるはずもなし。そうだ俺はこの時のために訓練してきたんだ!
そうに違いない! そうと言わないと彼女から変に見られてしまう。
「すまなかった。でしゃばるのも良くないと思ったし、それに俺はそのまだ上手くは投げられなく」
「大丈夫だ。ジーク殿には名人だと伝えた」
「なにも大丈夫じゃない! そんなに話を盛ったら」
「だからここに立てるわけだ」
彼女の微笑むと俺の心臓は違う音の鼓動が鳴った。たまに鳴るその音は痛さが心にまで滲む。血が溢れているのかもしれない。
「戦士ならここにいるべきだ。オヴェリア様との訓練も全部吐き出せ。戦士なら、戦ってそして死ね。あなた自身の全てをさらけ出すんだ」
彼女は笑い声混じりの声に俺は頷いた。そうだ俺は戦いを望んでいたんだ。
「うん、戦ってそして死ぬ」
「その意気だ。運がよかったら生き残れる」
その言葉にも頷く。俺は死ぬのは良いが、だが君には生きてもらいたいし、できれば一緒に生きたい。
こんなことは言えるはずもないもののそう思うと身体から力が漲り行進中の後ろ向きな気持ちはどこかに消失した。俺が戦うとしたらそれはその理由はひとつは。
「来る、構えて」
彼女はタバコを吐き捨て構え、俺も続いた。
砦からは何も変化はないが、と思った瞬間に敵が一斉に現れた。
「撃て!」
フリート様の叫び声と同時に俺は手斧を反射的に投げた。一瞬見えた敵目掛けて回転しながら飛んで行く手斧。
当たれ、と願いながらその行く末を目で追うも、それは虚しく空を斬って後方へと流れていくのを見て取った。
「惜しい!」
彼女の声が聞こえ隣を見るとそっちは敵に当たって一人、倒れた。
「うまい!」
「良いところを見せられたよ!」
喜ぶ彼女に俺は複雑な気分となった。それは俺が言いたかった台詞なんだが、しょうがない。
「突撃!」
フリート様の合図が辺りに響くと彼女が先駆けとばかりに飛び出しあとのみんなも続いた。
俺も行くのか? 俺も、と一瞬思うと彼女の背中が目に入るとすぐに追いかけた。
騒音と悲鳴に叫び声が俺の全身を取り巻き戦いの渦へと呑み込まれていく感覚のなか、彼女は戦っていた。
オヴェリアちゃんといつも行っている剣の型そのものの動きで以て。
俺はあれは舞のようなものとしか見れなかったが、いまの彼女にはその舞に相手がいて、舞いに取り込まれ血の雨を降らせているように見えた。
薙ぎ払いながら回転する軍神がそこにいた。相手が倒れるとその舞が終わった。
次なる敵の剣士とつばぜり合いからの睨みあいが発生。
かなりの剣士と思っているとそんな彼女の背後に忍び寄るもう一人の戦士が、いると思った瞬間に俺は間に飛び込み踏み込んで来たその敵の一撃目を防いだ。
いつもの稽古よりも軽いその一撃、ビクともしない自身の剣、そしてそのことにあとで気づくもこの時はなにも気づかぬ無我夢中のなか、そこから俺の攻撃は空を斬り外れ、もう一撃が来るも今度も受け止め流したところで、敵が突然倒れた。
俺の攻撃ではない誰かの攻撃によって。
謎の影が走りそれを目で追うとそれは彼女のところへいき、それから敵の剣士も倒れた。
「助太刀、感謝する!」
彼女の喜びの声が聞こえ俺はそっちを見た。
その言葉は俺に対してのものではなくその近くにいる影に対してのもの。俺はその影と彼女を見ているとそれがこっちを見た。
「君、大丈夫か?」
金色の髪をした涼し気な顔をした男がそこにいた。俺は何も答えられずにいた。
何も答えることができない。そう、口が開かない。
感謝ではなく違う感情が腹の底から渦巻き自分の身体中にそれが満たされていく感覚だけがそこにあった。
0
あなたにおすすめの小説
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
逢生ありす
ファンタジー
女性向け異世界ファンタジー(逆ハーレム)です。ヤンデレ、ツンデレ、溺愛、嫉妬etc……。乙女ゲームのような恋物語をテーマに偉大な"五大国の王"や"人型聖獣"、"謎の美青年"たちと織り成す極甘長編ストーリー。ラストに待ち受ける物語の真実と彼女が選ぶ道は――?
――すべての女性に捧げる乙女ゲームのような恋物語――
『狂気の王と永遠の愛(接吻)を』
五大国から成る異世界の王と
たった一人の少女の織り成す恋愛ファンタジー
――この世界は強大な五大国と、各国に君臨する絶対的な『王』が存在している。彼らにはそれぞれを象徴する<力>と<神具>が授けられており、その生命も人間を遥かに凌駕するほど長いものだった。
この物語は悠久の王・キュリオの前に現れた幼い少女が主人公である。
――世界が"何か"を望んだ時、必ずその力を持った人物が生み出され……すべてが大きく変わるだろう。そして……
その"世界"自体が一個人の"誰か"かもしれない――
出会うはずのない者たちが出揃うとき……その先に待ち受けるものは?
最後に待つのは幸せか、残酷な運命か――
そして次第に明らかになる彼女の正体とは……?
婚約破棄された公爵令嬢と、処方箋を無視する天才薬師 ――正しい医療は、二人で始めます
ふわふわ
恋愛
「その医療は、本当に正しいと言えますか?」
医療体制への疑問を口にしたことで、
公爵令嬢ミーシャ・ゲートは、
医会の頂点に立つ婚約者ウッド・マウント公爵から
一方的に婚約を破棄される。
――素人の戯言。
――体制批判は不敬。
そう断じられ、
“医療を否定した危険な令嬢”として社交界からも排斥されたミーシャは、
それでも引かなかった。
ならば私は、正しい医療を制度として作る。
一方その頃、国営薬局に現れた謎の新人薬師・ギ・メイ。
彼女は転生者であり、前世の知識を持つ薬師だった。
画一的な万能薬が当然とされる現場で、
彼女は処方箋に書かれたわずかな情報から、
最適な調剤を次々と生み出していく。
「決められた万能薬を使わず、
問題が起きたら、どうするつもりだ?」
そう問われても、彼女は即答する。
「私、失敗しませんから」
(……一度言ってみたかったのよね。このドラマの台詞)
結果は明らかだった。
患者は回復し、評判は広がる。
だが――
制度は、個人の“正
制度を変えようとする令嬢。
現場で結果を出し続ける薬師。
医師、薬局、医会、王宮。
それぞれの立場と正義が衝突する中、
医療改革はやがて「裁き」の局面へと進んでいく。
これは、
転生者の知識で無双するだけでは終わらない医療改革ファンタジー。
正しさとは何か。
責任は誰が負うべきか。
最後に裁かれるのは――
人か、制度か。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる