88 / 111
妄想に対する疑念 (アカイ40)
しおりを挟む
なんという素晴らしい展開! と感動すると同時に俺の心に鋭い痛みが走る。イヤな予感が過る。
待てよ? するとシノブは王子を護るものだったということか? 戦ったのならそうだよな。警護のもの。よくある警護のくノ一が主君に恋心を抱く……えっ嘘? ふざけるな冗談じゃない! でもでもでも俺はその設定は大好きだったじゃないか! なのに今じゃ心の底からに憎い設定になってしまった!
報われない恋心とかふざけんな! とずっと思っていたのに……俺はいま真剣に報われて貰いたくないという心になっている! これが大人になるということなのか? ポッと出のよく分からん男とくっつけさせるぐらいなら一生独身のままでいさせろ! とか思っていたのにそんなことは絶対にさせない! 俺以外の男には絶対に結ばせない。あれ? 考えてみるとそのポッと出の男って、この場合は俺?
「そういうことなの。それで私はそのね。王子の警護をしているものでね。まぁ影として城を巡回する任務を請け負っていて、つまりはそういうことなの」
なんだよそのいつもハキハキした物言いなシノブらしくない歯切れの悪い説明は……俺の中で育まれている疑念がむくむくと成長して膨らんでいく。怪物だ。見て見て僕の中の怪物がこんなに大きく育ったんだ状態。
最悪を、考えよう。これ以上に無く最悪な関係を……シノブと王子はできている。これだな、と俺はすぐに思いつくも眩暈に襲われた。だったらなんで俺は頑張ってんだ? いやいやだからそうではない、これは自分の想像だ。しかもとびっきり最悪のもので自己中毒を起こすレベルの。
まずここから、否定しよう。そうしないと心が苦しすぎる。シノブと王子はできていない……なんてこった否定する材料が、無い! だから俺はシノブの言動に注意を向ける。今まで隠していたのはつまりそういう関係であったからではないかと。その王子と実は恋人関係であるから、こちらからのアプローチの類は全力で拒否っていたということでは?
仮にだ、仮にだよ、シノブが俺に出会う以前は恋を知らない美少女であったら……そんな設定の美少女キャラばかりが何故かはびこる世の中だが、そうであったとしたらこの俺に惚れるのが道理ではないだろうか? 違うぞ己惚れるなアカイ! 自分の年齢と容姿を弁えろ、と俺はアカイに注意した。
こんな愚かな妄想を抱いてどうする? だいたいシノブがこんな自分を簡単に愛するとか、そんな白痴的な娘だったら駄目だろうに。駄目な俺に出会ってすぐに惚れる女とかなんか信用できん。ホイホイと他の男に浮気しそうだし、強く迫られたら許す女だったら困るだろ! ビッチじゃんか! 俺にだけ許さないビッチとか純粋な悪魔じゃんか!
まぁ正直なところそれはそれでも実のところあまり問題はないが、それは駄目駄目おかしいと俺の弁えと道徳が先に立ってしまうので、よっていまのは、却下。シノブは普通に恋する乙女だ。よって好きな男がいるのは当然。好きな女の恋心ぐらい認めてやらないなんて心の狭い男のやることだ。俺はそんなことは、しない。だって俺はあいつらみたいな下らない男とは違うのだからな。
よってシノブは王子のことが好き……まぁあれだ、アイドルに恋するのと同じノリだ。そんなことでは俺は嫉妬なんてしない。それで王子の方からシノブを……これは少し可能性は低いのでは? そうだ低い。それにそうだスレイヤーが言っていたな。シノブは王子のことが好きだって。フフッ、馬鹿が愚か者め見くびりおってからに。この俺が若い娘の気まぐれな恋心でいちいち惑わされるようなみっともない男だと思ったのか?
そうだ言ったじゃあないか、最後は俺の横にいればいいって……羅王ぽくてカッコいいな俺。でもあいつは負けてしかも死んだな……まぁそこはこの場合はいい。よって許す。なにを? 決まっているじゃないか。シノブの恋を、嫁になる前の青春の恋を、実らぬ恋を、綺麗な思い出を、俺は広い心で許可してやるのだ。
王子はシノブに愛されてムカつくがまさかシノブに恋しているなんてことは有り得ない……それもムカつくなぁ。なんで俺が見知らぬ王子から見下されているような気分にさせられるんだ? もし出会ってシノブを軽く扱ったらぶん殴ってしまいそうだ……なんて奴だ許せん、だからやめろ俺。
全部俺の妄想だろうが。妄想で嫉妬しない、でも待てお前。嫉妬ってだいたい妄想の産物では? もう考えるな。そう悪く考えるな。王子はだな、シノブの恋心に気付いているがそれに対して立場上気づかない振りをしている、これだ。
なんで気づかねぇんだよこの野郎! シノブがどれだけお前のことを好きだったかなんで、受け止めてやらねぇんだ! ちょっ待てよ俺! これは主人公の親友ポジションの台詞だろうが。俺はそっちに収まりたくないんだよ。でも親友キャラって良い感じにリアルさのある理想的な彼女ができて幸せになるのがお定まりだよな。だったらそっちの方が……違うの! 俺は主人公側なの!
というか考えてみると王子に王妃候補者ができたって万歳じゃん。けどそいつが悪女で王子を騙そうとしているんだよな……シノブによれば……シノブによれば?
待てよ? するとシノブは王子を護るものだったということか? 戦ったのならそうだよな。警護のもの。よくある警護のくノ一が主君に恋心を抱く……えっ嘘? ふざけるな冗談じゃない! でもでもでも俺はその設定は大好きだったじゃないか! なのに今じゃ心の底からに憎い設定になってしまった!
報われない恋心とかふざけんな! とずっと思っていたのに……俺はいま真剣に報われて貰いたくないという心になっている! これが大人になるということなのか? ポッと出のよく分からん男とくっつけさせるぐらいなら一生独身のままでいさせろ! とか思っていたのにそんなことは絶対にさせない! 俺以外の男には絶対に結ばせない。あれ? 考えてみるとそのポッと出の男って、この場合は俺?
「そういうことなの。それで私はそのね。王子の警護をしているものでね。まぁ影として城を巡回する任務を請け負っていて、つまりはそういうことなの」
なんだよそのいつもハキハキした物言いなシノブらしくない歯切れの悪い説明は……俺の中で育まれている疑念がむくむくと成長して膨らんでいく。怪物だ。見て見て僕の中の怪物がこんなに大きく育ったんだ状態。
最悪を、考えよう。これ以上に無く最悪な関係を……シノブと王子はできている。これだな、と俺はすぐに思いつくも眩暈に襲われた。だったらなんで俺は頑張ってんだ? いやいやだからそうではない、これは自分の想像だ。しかもとびっきり最悪のもので自己中毒を起こすレベルの。
まずここから、否定しよう。そうしないと心が苦しすぎる。シノブと王子はできていない……なんてこった否定する材料が、無い! だから俺はシノブの言動に注意を向ける。今まで隠していたのはつまりそういう関係であったからではないかと。その王子と実は恋人関係であるから、こちらからのアプローチの類は全力で拒否っていたということでは?
仮にだ、仮にだよ、シノブが俺に出会う以前は恋を知らない美少女であったら……そんな設定の美少女キャラばかりが何故かはびこる世の中だが、そうであったとしたらこの俺に惚れるのが道理ではないだろうか? 違うぞ己惚れるなアカイ! 自分の年齢と容姿を弁えろ、と俺はアカイに注意した。
こんな愚かな妄想を抱いてどうする? だいたいシノブがこんな自分を簡単に愛するとか、そんな白痴的な娘だったら駄目だろうに。駄目な俺に出会ってすぐに惚れる女とかなんか信用できん。ホイホイと他の男に浮気しそうだし、強く迫られたら許す女だったら困るだろ! ビッチじゃんか! 俺にだけ許さないビッチとか純粋な悪魔じゃんか!
まぁ正直なところそれはそれでも実のところあまり問題はないが、それは駄目駄目おかしいと俺の弁えと道徳が先に立ってしまうので、よっていまのは、却下。シノブは普通に恋する乙女だ。よって好きな男がいるのは当然。好きな女の恋心ぐらい認めてやらないなんて心の狭い男のやることだ。俺はそんなことは、しない。だって俺はあいつらみたいな下らない男とは違うのだからな。
よってシノブは王子のことが好き……まぁあれだ、アイドルに恋するのと同じノリだ。そんなことでは俺は嫉妬なんてしない。それで王子の方からシノブを……これは少し可能性は低いのでは? そうだ低い。それにそうだスレイヤーが言っていたな。シノブは王子のことが好きだって。フフッ、馬鹿が愚か者め見くびりおってからに。この俺が若い娘の気まぐれな恋心でいちいち惑わされるようなみっともない男だと思ったのか?
そうだ言ったじゃあないか、最後は俺の横にいればいいって……羅王ぽくてカッコいいな俺。でもあいつは負けてしかも死んだな……まぁそこはこの場合はいい。よって許す。なにを? 決まっているじゃないか。シノブの恋を、嫁になる前の青春の恋を、実らぬ恋を、綺麗な思い出を、俺は広い心で許可してやるのだ。
王子はシノブに愛されてムカつくがまさかシノブに恋しているなんてことは有り得ない……それもムカつくなぁ。なんで俺が見知らぬ王子から見下されているような気分にさせられるんだ? もし出会ってシノブを軽く扱ったらぶん殴ってしまいそうだ……なんて奴だ許せん、だからやめろ俺。
全部俺の妄想だろうが。妄想で嫉妬しない、でも待てお前。嫉妬ってだいたい妄想の産物では? もう考えるな。そう悪く考えるな。王子はだな、シノブの恋心に気付いているがそれに対して立場上気づかない振りをしている、これだ。
なんで気づかねぇんだよこの野郎! シノブがどれだけお前のことを好きだったかなんで、受け止めてやらねぇんだ! ちょっ待てよ俺! これは主人公の親友ポジションの台詞だろうが。俺はそっちに収まりたくないんだよ。でも親友キャラって良い感じにリアルさのある理想的な彼女ができて幸せになるのがお定まりだよな。だったらそっちの方が……違うの! 俺は主人公側なの!
というか考えてみると王子に王妃候補者ができたって万歳じゃん。けどそいつが悪女で王子を騙そうとしているんだよな……シノブによれば……シノブによれば?
0
あなたにおすすめの小説
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜
瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。
まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。
息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。
あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。
夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで……
夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる