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第一章 なぜ私であるのか
ハイネと結婚するのか?
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歩く二人はバザーの門へと向かう。一方でハイネたちは先にバザー内に潜入し二人はその監視と警備のもとで動くことになるのだが、バザー中央通路が既に人でごったかえしており、それを眺める男はこんな中を尾行することは可能なのかと心配すると女が察したのか手を引っ張る。
「監視は気にするでない。やつらは訓練を受けておる、これぐらいの人混みなど大した苦労もせんぞ。そんなことよりそなたは妾を……いいやここにいるナギにのみ心を配れ。それがジンという男の存在理由であり使命といった任務だ。違うか?」
違わない、と男は掴んでいる手を包み込むのをやめ指と指でしっかり絡めさせ女に命じる。
「そうですよ。ジンはナギを守護するものです。それ以外のなにものでもない。だから人混みの中を歩く際は手が離れないようにこうして指と指を絡ませ繋ぎます。けっして手を離したりしないように、いいですねナギ」
男は言ったとたん左脚が蹴られ膝が崩れそうになると女の笑い声が聞こえた。
「おいおいさっそく旦那様気取りとはさぞかしお大尽様なのだろうな?」
「蹴ること無いじゃないですか。夫婦なのですよ。私達はそういう関係ということで行きます」
前日はその設定について誰もふれることはなくただの二人組というもので会議は進められたが、ここに来て男はそれでは不味いとただ一人だけ危機意識を持ち、この二人だけとなるこの瞬間に女に言うも、今度は蹴りは無く嘲笑がきた。
「夫婦とな? 様々な過程を通り越していきなり夫婦とは、なんだその突飛な設定は? そなたは妾と夫婦にでもなりたいと申すのか?」
女の呆れ声に苦り切った顔による拒否によって男は怯むも握る手に力を入れる。
「そんなわけはないです。設定ですよ設定、分かりません? あのですね西では婚約者や夫婦も同じでそういう関係でなければ男女が一緒に歩いてはならないのです」
「まーたそなたのお国事情のゴリ押しか。ここは東だ。そんな文化など知らんわ。だいたいそれを言うならそなたは何故ハイネと私的な理由で度々度々一緒に歩いておるのだ?」
眼球から脳天に突き抜けるような視線によって男は一歩足を引いてしまい女は頬を吊り上げている。なんで知っている?
「なんで知っておるのかだと?」
人の心を読まないでほしい。
「ハイネがキルシュに話しそれがやがてシオンに伝わり妾に伝わる。みんなここだけの話をすれば無限に広がっていくだけのことだ。全員一人にしか秘密を話していない、ここが肝心なことだ」
どこまで、どこまで話が伝わっているのか、まさかあれやこれが。
「まぁそこまでは伝わって来とらんから、安心してもよいぞ」
だから人の心を読んで会話しないでくれ、と男は恐怖心に支配される。この人はどこまで知っているのだろう?
「概要もしくはそなたの失態とかはだいたい把握しておるぞ。それはともかく、随分お楽しみであったな、え?」
「今はこんな話をしている場合なのかな? 違うはずだ」
「逃げるな。すべてそなたが始めた話しであろうに。いま妾との設定を夫婦にしたのなら、これは避けられぬやりとりであろう。妾はなそんな疑いのある男と設定の上でもそんな関係にはなりはせぬぞ。さっき述べていたようにその設定でいきたいのならここはきちんと整理すべきであろうに」
「だったら夫婦設定は変更して貴婦人と従者の設定にすれば無理なくいけましょう」
「まだ逃げる気でいるのか? 姑息はいかん! この際ここではっきりとしておかねばならぬ。でなければ妾は動かんぞ」
なんでこんなときにこんなことになったのか、自分が変なことを言わなければ、というかいつも自業自得みたいな目にあうのは何故だろう、自分はいったい何を守りたいのか。言葉による責め苦によって男はよろめきそうになりながらも女の手によって倒れずに済んでいた。
待てよこれは捕まっているという形なのでは? そうなるとこれは救いでは全くないわけで。
「そなたとハイネのことなど心の底からどうでもよく、聞きたいことなど全然ないが、一応念のために、長年仕えてきてくれたもののことだし、義務として上のものとして聞くだけのことだ、ただそれだけだということを頭の中にしっかりとまずは入れといてもらいたい、いいな?」
「いっいいですが、そんなに興味が無いのなら聞く必要もないのでは」
「つべこべ言うな。では聞いてやるがどうして二人で会うのだ? 別にそんなことはどうでもいいが、そなたは特殊な西の男女観をもっておるのに何故そうする?」
「矛盾があって不思議でしょうが、成り行きとかいろいろありまして、とりあえず仕事のことで相談や話をしまして」
「仕事ということは主に妾のことよな? なんだ? 文句と愚痴の悪口か?」
「いえ愚痴の方だけです。私は女の心などわかりませんので悩みまして、だからこうハイネさんにと話しをし勉強としまして」
「フフッ恐ろしいぐらいに役に立っておらぬな。それともそれが無ければもっとひどいわけであったのか?」
「むしろ悪化しているかもしれません」
「人のせいにするな。そなたは元々ダメなのは分かっておる」
この会話はいったい何の意味があるのかと男は思いだしはじめの緊張感は消え去ると女は笑った。それから女はごく普通にそのまま真っ直ぐに言葉で以って近づいた。
「あれと結婚するのか?」
女は聞いた。
「いいえそんな」
男は答えた。
「する気はあるのか」
「ないです、ってあれ? そこは気になるところですか?」
無意識のまま男が答えると言葉はその場で溶けていくようにして宙に消える。それから手に柔らかさを感じ男は自分がいま女の手を強く握っていることに気付くと同時に、女の顔に安堵の笑みが浮かんでいるように見えるもすぐさま幻のように消え皮肉な感じへと変わった。
「妾は気にせぬがナギが気にするであろう。あのな、言わねば分からぬであろうがな、設定の上とはいえそんな怪しい男と夫婦設定をさせられ、こんな風に手を繋がられるのは嫌であろうと、そなたは想像できぬか? できぬよな、と理解しているからこそ妾がこんなに長々と説明したということであり、確認したまでのことだ。これが必要な婦人への配慮だ。良いなジン」
なんと回りくどくてどうでもいいのだろうかとも男は思ったものの、ここまで真剣にやるということは深い意味があるのだろうかとみて神妙に頷くと女は前に出た。
「だいぶつまらないことで時間をとったなはやくいくぞ」
「はい、気を取り直して導きますよ、ナギ」
名を呼ぶとさっきと少し違い、今のこれが真実に近づいてくような錯覚のもと二人は門をくぐった。
「監視は気にするでない。やつらは訓練を受けておる、これぐらいの人混みなど大した苦労もせんぞ。そんなことよりそなたは妾を……いいやここにいるナギにのみ心を配れ。それがジンという男の存在理由であり使命といった任務だ。違うか?」
違わない、と男は掴んでいる手を包み込むのをやめ指と指でしっかり絡めさせ女に命じる。
「そうですよ。ジンはナギを守護するものです。それ以外のなにものでもない。だから人混みの中を歩く際は手が離れないようにこうして指と指を絡ませ繋ぎます。けっして手を離したりしないように、いいですねナギ」
男は言ったとたん左脚が蹴られ膝が崩れそうになると女の笑い声が聞こえた。
「おいおいさっそく旦那様気取りとはさぞかしお大尽様なのだろうな?」
「蹴ること無いじゃないですか。夫婦なのですよ。私達はそういう関係ということで行きます」
前日はその設定について誰もふれることはなくただの二人組というもので会議は進められたが、ここに来て男はそれでは不味いとただ一人だけ危機意識を持ち、この二人だけとなるこの瞬間に女に言うも、今度は蹴りは無く嘲笑がきた。
「夫婦とな? 様々な過程を通り越していきなり夫婦とは、なんだその突飛な設定は? そなたは妾と夫婦にでもなりたいと申すのか?」
女の呆れ声に苦り切った顔による拒否によって男は怯むも握る手に力を入れる。
「そんなわけはないです。設定ですよ設定、分かりません? あのですね西では婚約者や夫婦も同じでそういう関係でなければ男女が一緒に歩いてはならないのです」
「まーたそなたのお国事情のゴリ押しか。ここは東だ。そんな文化など知らんわ。だいたいそれを言うならそなたは何故ハイネと私的な理由で度々度々一緒に歩いておるのだ?」
眼球から脳天に突き抜けるような視線によって男は一歩足を引いてしまい女は頬を吊り上げている。なんで知っている?
「なんで知っておるのかだと?」
人の心を読まないでほしい。
「ハイネがキルシュに話しそれがやがてシオンに伝わり妾に伝わる。みんなここだけの話をすれば無限に広がっていくだけのことだ。全員一人にしか秘密を話していない、ここが肝心なことだ」
どこまで、どこまで話が伝わっているのか、まさかあれやこれが。
「まぁそこまでは伝わって来とらんから、安心してもよいぞ」
だから人の心を読んで会話しないでくれ、と男は恐怖心に支配される。この人はどこまで知っているのだろう?
「概要もしくはそなたの失態とかはだいたい把握しておるぞ。それはともかく、随分お楽しみであったな、え?」
「今はこんな話をしている場合なのかな? 違うはずだ」
「逃げるな。すべてそなたが始めた話しであろうに。いま妾との設定を夫婦にしたのなら、これは避けられぬやりとりであろう。妾はなそんな疑いのある男と設定の上でもそんな関係にはなりはせぬぞ。さっき述べていたようにその設定でいきたいのならここはきちんと整理すべきであろうに」
「だったら夫婦設定は変更して貴婦人と従者の設定にすれば無理なくいけましょう」
「まだ逃げる気でいるのか? 姑息はいかん! この際ここではっきりとしておかねばならぬ。でなければ妾は動かんぞ」
なんでこんなときにこんなことになったのか、自分が変なことを言わなければ、というかいつも自業自得みたいな目にあうのは何故だろう、自分はいったい何を守りたいのか。言葉による責め苦によって男はよろめきそうになりながらも女の手によって倒れずに済んでいた。
待てよこれは捕まっているという形なのでは? そうなるとこれは救いでは全くないわけで。
「そなたとハイネのことなど心の底からどうでもよく、聞きたいことなど全然ないが、一応念のために、長年仕えてきてくれたもののことだし、義務として上のものとして聞くだけのことだ、ただそれだけだということを頭の中にしっかりとまずは入れといてもらいたい、いいな?」
「いっいいですが、そんなに興味が無いのなら聞く必要もないのでは」
「つべこべ言うな。では聞いてやるがどうして二人で会うのだ? 別にそんなことはどうでもいいが、そなたは特殊な西の男女観をもっておるのに何故そうする?」
「矛盾があって不思議でしょうが、成り行きとかいろいろありまして、とりあえず仕事のことで相談や話をしまして」
「仕事ということは主に妾のことよな? なんだ? 文句と愚痴の悪口か?」
「いえ愚痴の方だけです。私は女の心などわかりませんので悩みまして、だからこうハイネさんにと話しをし勉強としまして」
「フフッ恐ろしいぐらいに役に立っておらぬな。それともそれが無ければもっとひどいわけであったのか?」
「むしろ悪化しているかもしれません」
「人のせいにするな。そなたは元々ダメなのは分かっておる」
この会話はいったい何の意味があるのかと男は思いだしはじめの緊張感は消え去ると女は笑った。それから女はごく普通にそのまま真っ直ぐに言葉で以って近づいた。
「あれと結婚するのか?」
女は聞いた。
「いいえそんな」
男は答えた。
「する気はあるのか」
「ないです、ってあれ? そこは気になるところですか?」
無意識のまま男が答えると言葉はその場で溶けていくようにして宙に消える。それから手に柔らかさを感じ男は自分がいま女の手を強く握っていることに気付くと同時に、女の顔に安堵の笑みが浮かんでいるように見えるもすぐさま幻のように消え皮肉な感じへと変わった。
「妾は気にせぬがナギが気にするであろう。あのな、言わねば分からぬであろうがな、設定の上とはいえそんな怪しい男と夫婦設定をさせられ、こんな風に手を繋がられるのは嫌であろうと、そなたは想像できぬか? できぬよな、と理解しているからこそ妾がこんなに長々と説明したということであり、確認したまでのことだ。これが必要な婦人への配慮だ。良いなジン」
なんと回りくどくてどうでもいいのだろうかとも男は思ったものの、ここまで真剣にやるということは深い意味があるのだろうかとみて神妙に頷くと女は前に出た。
「だいぶつまらないことで時間をとったなはやくいくぞ」
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