龍を討つもの、龍となるもの

かみやなおあき

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第一章 なぜ私であるのか

私はおかしい

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 もしも女が指輪をいっぱい買いたいと言い出しても、あんなものは小さくて軽いから鞄にはいくらでも入るし、また高価でそこで資金が尽きても問題は無く、だいたいシオンの軍資金はまだ無傷であるのだから全く心配はいらないだろうと男にはなんの憂いも杞憂もない。これで多くの問題は解決だとも。

「でっどの店に行くのだ?」

 随分大人しくなったなと男は女の言葉を聞きながら答える。

「隊員の親戚がこのバザーで店を開いているようですからそこへ行こうと思いますが、ナギは知っている店とかありますか?」

「妾のことはいいから、そこでいい、そこにしろ。そこの方がそなたにとっては絶対にいいはずだ」

 それはもう私はとってはいいものでしょうと、口数が少なくなった女の妙な態度を男は敢えては気にせずにアルの親戚の店へと向かった。

 地図を頼りに歩き中央道から少し外れた馬車に辿り着くがその店は外見は良くは無かった。大きめなテントが張ってあり看板が外にあるのみの簡素さ。風が吹き揺れる様は不安すら感じさせてくれる。

 店名を知っていなかったらまず入らないだろうその店の前に立ち様子を伺っていると、女が先に歩きだした。

「良い面構えの店だな。こういうところにな、良いものがあるのだぞ」

 やる気に溢れている女に引っ張られながら中に入っていくと、そこは薄暗さなどなくむしろ光に溢れる空間であった。

 表からは伺いしれないほどの立派な内装であり、その光源たる装飾品や宝石が並べられ眩しさを放ち男はそのまんま眩惑させられた。

 ここは私のいる場所でなさそうなため生まれる引き返したくなる意識の中で奥から大きめな丸い物体がこちらに向かってきた。主(ぬし)であろうか?

 鍛えに鍛えぬいた笑顔を引っさげ、ようこそと挨拶をしてきた。女はなにか返事をするものの男は聞こえぬまま懐からアルの紹介状を差出し主に見せると、目を丸くして大げさに驚いて見せているような感じで答えた。

「ほほぉあいつが、ねぇ。行方不明になって死んだと思っていましたが生きているとは……了解しました。喜んでサービスさせていただきますが、本日はなにをお買い求めで?」

「指輪ですかね」

「そういうことだ」

 男が答え女も応じると主は二人の顔を見ながらまたにこやかに笑い言った

「奥様のお指のサイズは……これですね」

 両手の指を使って数字を現すと女は驚きの声をあげた。

「正解で幸いでした。そう奥様はいまお指を見せていませんでしたが、この商売が長いと遠目からでもだいたい分かるというものです。左右どちらであってもです。今のはほんの軽いご挨拶でして、ささこちらへどうぞ」

 奥に案内され箱詰めにされた宝石たちは不思議な色の光りを放ち儚げに輝き、見る角度で変わり美しさを主張していた。

 主は石の説明をしだしたがどれもあきらかに高価そうなため男は綺麗ですねとしか答えられずに沢山の事を話す女のほうに専ら相手をしだし男は助けられた。一通り見終わったのか間が生まれ男は何気なく女に尋ねた。

「私はどれを見ても綺麗すぎるとしか言えないが、ナギはどの石が気に入ったのですか?」

 男がとりあえず聞くと女は緊張しているからか息を止めながら指をゆっくりと動かし、まるで綺麗な虫を捕える時の動きに似た動きで「白光」というものに指を向かわせていたが、途中で動きは変わり隣の「赤光」の上を示した。

「これになるかな」

「へぇそうかそれなのか」

 そう男が独り言ちるとまた間が生まれ女が何かに気付いたのか立ち上がり言った。

「ちょっと妾は他のものを眺めることにする。あっ来なくていいからな、あそこに店員がいるから彼女と話すことにする、じゃあまた」

 そそくさと不審げに席を去りその後姿を見ると男は首を捻った。さっきからどこかおかしいなと。いつもおかしいわけだが。

「それで旦那様。いかがなさりましょうか?」

 如何とは? いったいなにをと男はまだ気づかない。

「あぁ、妻はどうも買う気は無かったのでそれはもう仕舞っても構いませんよ」

 と言うや主は演技ではなく本気で驚いた顔をして男の顔と遠くにいる女の方を見比べた。

 何だその反応は。

「それよりも違うのを見たいのでそちらをちょっと」

「あのもしかしてですが、お間違いであったらお許しください……ひょっとしてお二人はご夫婦ではなさらないでしょうか?」

 うん? と冷やりとした汗が背中を走るが、そうでないなどと言えるはずもなく男は誤魔化しのため微笑む。自分でも歪んでいると分かる頬の強ばり。

「フッ主よ面白いことを聞いてくるな。私達は夫婦だ。どうしてそのようなことを言うのだ」

「奥様が欲しがっていたものをどけようとしていたからですよ。いったいどなたのために買われるのでしょうか?」

「それは、その……知り合いの、だな」

「知り合い、ですか。本当に差し出がましくて恐縮ですが、わたくしはアルの伯父にあたりまして紹介状をいただいた身でございます。ですので一応は無関係なものではなく、ここでなにかございましたらアルにも怒られてしまいましょうから、こうして御再考を願っております。紹介状にもあなた様がちょっとした事情で指輪が必要になったと書かれておりましたからつい奥様に対してだとばかり」

 ハンカチで額の汗を拭っている主を見ながら男は頷く。その通りだ設定上、変だ。私はおかしい。隣にいた妻役に指輪を買わずによその女のために探そうとするだなんて。

 こんな客がいたらさぞかし困惑するだろう。いまこの眼の前のように。だが、しかしそれでもナギに関しては納得はしない。

「それでまぁよその方の為に買われるのはもちろん大歓迎ですが、奥様のも買われた方が良いかと。これは何も私の商売のためではなくて御両人のためでございまして」

 あまりにも心配されてしまい男は段々と不安になっていった。私は間違えているのだろうか? いま、凄まじい過ちを犯そうとしていたのだろうか? しかし男は首を振る。私はナギを知っているのだ、あの性格を、と。悪逆無道なその真心を。

「心配してくれてはありがたいが大丈夫。妻は欲しかったらすぐに買うタイプだ。ここに来るまであらゆる店であれ欲しいこれ欲しいでこの通り背嚢や鞄がこんなに重くなっている。持ってみるか? だからさっきも宝石が欲しかったのなら、買うと言ったり買えと言うはずだ。このバザーではずっとそうだった。今更遠慮などするはずがない」

 これ以上に無い理路整然とした物言いに男は自分で自分の言葉に納得し頷く、今日はとても冴えているな。己は賢い。しかし聞いていた主は頷かず表情は変えずに真っ直ぐに男の方を向いている。汗も引いておりその顔つきは真剣な時のアルの表情にどこか似ていた。

「本当に欲しいものを前にした時は違いますよ」

「これがか?」

 男は反射的に問うと主の首はまだ縦にも横にも動かなかった。

「これがですよ、もっと厳密に言いますと奥様が本当に欲しかったのはあなたが買う何かです。ええそうです。あなたが心を込めて考えたあの人に対するなにかを、です」

 ほぉっと息を漏らし男は眼下にある宝石を見る。赤と白のその二つの光り。

「すると最後に指し示した赤い石の方を買えばいいのか。こんなのは心を込めても考えてもいないが、これが望むものの答えとでも?」

 わけのわからない憤りに駆られたのか男は挑戦的に石を指差すが主はまだ首を微動だにしない。

「先に心を砕いて考えなさったのは奥様方の方でしたね。それは勿論あなたのことをです」

 荒々しいなにかが血管のなかを走るのが分かる。流れる音がし全身に熱さを伝える、戦場で敵に会ったときのように。

「そんなことは、ありえない。帰らせてもらおう」

「ひとつだけ、お考えください。最後に白光と赤光の二つを選ぶ際に、奥様の指は白光の上にはじめ行くも途中で動きを変えて赤光の上に動きましたね。あれは何だと思われますか?」

「あれは、気紛れだ。気の迷いによる指の動きにすぎないはずだ」

 主は未だ首を動かさない。男はこれにも怒りを覚えるものだと分かり始めた。絶対に縦に振らせてやる、と。

「本当にそう考えられますか? あなたの奥様はそのようなことをしたと、あなたはそうお考えになるのですか?」

 私は本当にあの人とをそう考えているのだろうか? 男は主の問い重ねに腹の底が冷えて来る思いがした。

 私はあの人のことを、何も考えてなどいない、と主から突き付けられていると男は感じだした。当然だ。私はそういう存在でありその対象を考えることなど……だが今は、しかし今は、今ここにいる私とは。男は少しだが、考えた。その最後の指の動きを。だから思い起こす、ここに来るまでのことを。

 この店に行くと言った時に女が大人しくなったのが自分のためのものだと勘違いしたのなら。選ぶ際に迷うも赤を示したその意味は。私に買わせるのだとしたのなら。それは単純に、ごく単純に。

「価値の、値段の違いか」

 主はようやく笑顔となって大きく縦に頷いたのをみた男は心底ホッとした。これで出て行かなくて済むことを。

「申し上げましたように奥様はとても目の良いお方です。はじめは白光の価値を一目で見抜きますも興味のないふりをして遠ざけました。けれど私ども商売人はお客様の目を見ればなにが気に入ったのかなどすぐにわかります。ですので最後の候補として出しましたら、すぐにご反応いただけましたが、ここでも自制心を発揮して避けました。その理由も価値と値段でございます」

「私には分からないがそこまで違うものなのか?どちらも綺麗ではないか」

「宝石の類は希少性や需要と供給のバランスの上で値段が決まりますが、白光は海の産れであり赤光は山の産れが大きな違いでしょう。遥かな海の貝より偶然とれるのがこの白光であり、山の奥深くで発掘され加工されるのが赤光。いわば奥様は海を諦め山を選んだというわけです」

 海か、と男は呟いた。話には聞いたことがあるが男は海というものを一度も見たことが無い。内陸から内陸へ、延々と歩き続け戦い続け、その世界の果てにあると言われるそれに出会ったことがない。

 では女はどうなのだろうか? あの人は、海を見たことがあるのか? あの話しに聞く壮大な光景からなにかを感じたのか? もしも望むものがその果ての果てへと広がるものだというのなら……

「いくらだ?」

 男は尋ねた。

「失礼ですが奥様はあなたさまの財布の中身をよく承知なさっておられるのでしょう。だから値段に差のある赤光をお選びになされた。これなら買えるだろう、と。私はその慧眼は正しいと思っております。あなた様にはこの段違いの白光を買う資金は」

「金ならある。額は言わなくいいし、そちらは言うつもりもないのだろうから、これを一先ず受け取ってもらいたい」

 言いながら男は懐からシオンから受け取った財布を取り出し主に渡した。主は中身を確かめずに両手に乗せ重さを計りながらすまなさそうに俯きながら答える。

「申し訳ありませんがこれでは」

「ではどのくらい足りないのだ? 不足の分は後に届ける。アルからの手紙に書かれているように私は彼と共にバルツ将軍の部下だ。決して遅滞などせずに必ず速やかに払う」

「お客様……」

「一度では厳しそうだというのなら分割でお願いしたい。アルへの手紙も書いて貰えれば確実だろうし」

「あの、失礼ですが念のためにもう一度お聞かせください。御正直なところあの御方は奥様ではございませんよね」
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