64 / 313
第一章 なぜ私であるのか
なんだか少し怪しくないこれ
しおりを挟む
「それでなんと書いてあったんだ?」
出撃準備のために早退したジーナは兵舎に戻りアルに渡していた例の手紙の内容を尋ねた。
「その前に隊長はどうしてあれに最低のものを買わなかったのですか? あれは高いものですよね、手紙に値段が書いてありましたよ」
あからさまに不満な顔となったアルに対しジーナは言い訳しだしたが、何故彼にこんな風に言い訳せねばならないのか? ジーナは我ながら不思議がった。
「叔父も商売ですからできるだけ高いのを売りたいのは当然ですが、隊長は自分がお大尽様とでもなったおつもりで? 相当な金額ですよ」
ここで更に心配になりジーナは金額を聞くも、それは駄目と言われ反論しようとするとアルが制止する。
「ひとつお伺いいたします。この手紙は開封のあとがありますが、これは隊長でしょうか? 隊長には見せるなと書いてあるのですけど」
「あっやっぱり分かったかそれは私ではないが、誰かは言えない」
こんなの通じないよなと諦めながら言ったところアルはすんなりと受け入れた。
「それならいいのですが、その方はこの手紙のおかしなところは何かは伝えましたか?」
いいやと首を振るとアルがまた頷いた。
「なら読む必要はございませんね。もしも異様な記述と常識外れな金額が書かれていましたら、そのことを指摘するはずですし」
指摘するのかなぁ? と思いつつもジーナはあの時の様子を思い浮かべながらならまぁ大丈夫かなと思い始めるとアルが続けた。
「御代金は隊長の毎月の給料の三割引を十二回払いです。お安いとお思いでしょうが勘違いはまだお早いですよ。これはあの女のぶんの、です」
「高い!」
反射的に大声を出すとアルがにやりと笑った。これは罠に嵌ったのか?
「ですよね。その通りで高いですが、宝石というのはそういうものです。値段については市場価格並みなのでそこは堪えて貰いたいのですが、ここからが本題でして、そのもう一つの宝石はお渡しになりましたか?」
いいやまだと手を振るとアルが少し近寄ってきた。なんだか怖い笑顔である。
「返却という形にするのなら僕から叔父に持っていきますよ。もちろん御代金の支払いは無効となります。伯父だって急に金が必要なわけではないのですからしばらくは待ってくれましょう。どうでしょう? 是非そうした方が良いと思うのですよね。いやそうするしかないです」
月給三割を一年、しかもそれでも白光に比べたら安いとしたら、白光の方は四割から五割下手したら六割となり月給の半分以上が指輪代として毎月差し引かれそれが一年! 予想外の事態にお先が真っ暗と考え出すとアルが優しく肩に手を乗せてきた。
その手は語る。そこまで苦労する価値なんてありませんよ、と。
「変わりに違うのを渡せばいいのですって、どうせ分かりなんかしませんから。偽物でも紛い物でも、良いのですって」
そうして貰ったらどれだけ助かるのか……だがそれは、やはりそれは……と宝石の色を思い浮かべるとそれはそのままハイネの色であり、離れられない。
「申し出はありがたいが、買ったことはもう伝えてしまったんだ。ここで取り変えるとかは、嘘つきになる。それは避けたい」
「残念です。でもまぁそう言うとは思っていましたよ。あんな女のせいで男としての心の誠実さを汚すのも馬鹿らしいことですしね。では返却は無しということで、もう一つの白いものですが」
遂に本番が来たなとジーナは背筋を伸びた。金額を聞いたら腰を抜かしてしまう恐れがあるため気合いを入れた。せめて一割だけでも残れば、ついでに期間も短ければ。
「隊長の選択肢次第です、ふたつのうちどちらかをお選びください。一つ目は月給八割を一年間支払うか」
「無理だ。というか茜光を諦めてもその値段は無理だったんじゃないか?」
「僕もそう思いますし叔父もそう思っておりますよ。そうですからあの手付金に加えて僕がこの戦争を生き残れたら無料です」
アルが顔を思いっきり見上げてジーナを見つめた。
「僕が途中で死んだとしたらこの手紙を読んで返済方法を知ってください。どちらにいたしますか?」
「実質ただとなる方を選ぶに決まっているだろ。そうかそうくるか。アルの叔父さんも中々の人情家だな」
「隊長は自分は生き残るという自信がおありでしょうが、僕はそこまで言い切れませんよ」
ここでようやく背嚢に自分の荷物を積み終えたジーナが立ち上がり戸棚を閉めた。
「逆だよアル。私より先にお前は死なないよ。なんたって立ち位置が前後なのだからな。だからお前は死なない」
出発の準備が整いジーナの隊は目的地であるソグ山の麓にある草原地帯を目指すこととなった。案内役は地方視察の任務を携えたソグ僧の隊とそれに加えて龍の側近も来たわけだが……
「……ではいいですね第二隊隊長さん。麓の村までの地図を渡しましたので指定された時間までには到着してください、私からは以上です」
目を一切合わせず早口で急いで言い切ったハイネは駆け足でジーナのもとを去っていった。
足の速い女だとジーナは感心した。
「ハイネは怒ってんよ隊長さん」
行軍途中の休憩時間中にキルシュが茶をもって近づいて来て事情を話しだした。
「この前の任務から帰ってきてからイライラしてさ、話を聞くと隊長が任務中に勝手なことをして迷惑をかけたというじゃないか。いったいなにをしたんだい?」
全然興味なさ気な様子で聞いてくるもののジーナにはキルシュの眼が三白眼であるのに爛々と輝いていると見えたため、言葉を抑えた。
「ただ単純に地元の人達の調子を合わせてしまってね。ちょっとお祭り騒動となったのが私のミスだったな。彼女には悪いことをしてしまったよ」
ふーんと深くは追求せずにキルシュは言葉を切ったが実際話をどこまで知っているのだろうかとそこが分からずに一緒に黙った。
「実はさこの件はちょっとした箝口令みたいなものがひかれているらしくてさ、関係者がみんなあまり話してくれないんだよね」
初耳な上にそれであるなら昨日のシオンの謎の態度も納得できるのだが、誰がそれを?
「だからさ、よっぽと隊長がとびっきりのミスをしたかどうかが私すごく気になって聞いたんだよ。そうしたらそうかお祭りか。南ソグの連中ってイベント時に若い男女の組みを見るとお祝いしたくなるんだよな、するとそれって、もしかして」
ますますその瞳が怪しげに光って来るのを見てジーナは焦って口を塞ぎたくなり立ち上がった。こいつは名探偵か。
「おっと大丈夫だよ隊長。それといまの話もそれで満足さ。あたしはとても口が堅い女だし大恩ある隊長を窮地に陥れるようなことはしないから安心して。ただあたしはね、事情が知りたいだけなのよ事情がさ。そういうのが一番楽しいし安心するんだからさ」
ゴシップ好きかとキルシュの好奇心に満ちた顔を見ながらジーナは笑うとここでようやく茶を差し出され受け取った。
「けれどもここでひとつ疑問が浮かび上がったね。まずこの様子では隊長には箝口令が届いていない」
「全然。シオン様やハイネさんの様子はおかしいと思っていたけど」
「これは当の本人には知らせていないためだとしたら変だし、おまけにそれでこのタイミングで偵察と……妙だね。あのソグ僧団も先に行っているなんて今まで聞いたことないよ、ねぇ隊長。なんだか少し怪しくないこれ」
不思議といえばルーゲン師との長話からそうであり昨日から今日はおかしなことがずっと続いているという自覚はあった。
しかし怪しいのかと言えばそれは違って……
「戦場的な意味での危機感というものは、感じられないな」
「最近の隊長は戦ってないじゃないのさ。それにお仕事は主に龍身様の付き添いでさ」
「待て待て私は戦っているぞ。勘を張り巡らして龍の館で毎日のように命懸けでさ」
「命懸けって大袈裟だね。まっ隊長にその気配が感じられないなら先ずはそっちを信じるけど気をつけようね。天に祈ったりしてさ、ということでこれを渡すよ」
キルシュから手渡しされたそれは見覚えのないもの……こちらでは懐に入れるものらしい御守りというものであった。
「龍身様がさ、これは隊長の忘れものだから届けるようにって仰られてね。でもさぁ
キルシュの眼から疑いの光りが放たれるのをジーナは見た。
「隊長ってそういうものを持つ趣味が合ったかなって、あたしは思うんだよね」
出撃準備のために早退したジーナは兵舎に戻りアルに渡していた例の手紙の内容を尋ねた。
「その前に隊長はどうしてあれに最低のものを買わなかったのですか? あれは高いものですよね、手紙に値段が書いてありましたよ」
あからさまに不満な顔となったアルに対しジーナは言い訳しだしたが、何故彼にこんな風に言い訳せねばならないのか? ジーナは我ながら不思議がった。
「叔父も商売ですからできるだけ高いのを売りたいのは当然ですが、隊長は自分がお大尽様とでもなったおつもりで? 相当な金額ですよ」
ここで更に心配になりジーナは金額を聞くも、それは駄目と言われ反論しようとするとアルが制止する。
「ひとつお伺いいたします。この手紙は開封のあとがありますが、これは隊長でしょうか? 隊長には見せるなと書いてあるのですけど」
「あっやっぱり分かったかそれは私ではないが、誰かは言えない」
こんなの通じないよなと諦めながら言ったところアルはすんなりと受け入れた。
「それならいいのですが、その方はこの手紙のおかしなところは何かは伝えましたか?」
いいやと首を振るとアルがまた頷いた。
「なら読む必要はございませんね。もしも異様な記述と常識外れな金額が書かれていましたら、そのことを指摘するはずですし」
指摘するのかなぁ? と思いつつもジーナはあの時の様子を思い浮かべながらならまぁ大丈夫かなと思い始めるとアルが続けた。
「御代金は隊長の毎月の給料の三割引を十二回払いです。お安いとお思いでしょうが勘違いはまだお早いですよ。これはあの女のぶんの、です」
「高い!」
反射的に大声を出すとアルがにやりと笑った。これは罠に嵌ったのか?
「ですよね。その通りで高いですが、宝石というのはそういうものです。値段については市場価格並みなのでそこは堪えて貰いたいのですが、ここからが本題でして、そのもう一つの宝石はお渡しになりましたか?」
いいやまだと手を振るとアルが少し近寄ってきた。なんだか怖い笑顔である。
「返却という形にするのなら僕から叔父に持っていきますよ。もちろん御代金の支払いは無効となります。伯父だって急に金が必要なわけではないのですからしばらくは待ってくれましょう。どうでしょう? 是非そうした方が良いと思うのですよね。いやそうするしかないです」
月給三割を一年、しかもそれでも白光に比べたら安いとしたら、白光の方は四割から五割下手したら六割となり月給の半分以上が指輪代として毎月差し引かれそれが一年! 予想外の事態にお先が真っ暗と考え出すとアルが優しく肩に手を乗せてきた。
その手は語る。そこまで苦労する価値なんてありませんよ、と。
「変わりに違うのを渡せばいいのですって、どうせ分かりなんかしませんから。偽物でも紛い物でも、良いのですって」
そうして貰ったらどれだけ助かるのか……だがそれは、やはりそれは……と宝石の色を思い浮かべるとそれはそのままハイネの色であり、離れられない。
「申し出はありがたいが、買ったことはもう伝えてしまったんだ。ここで取り変えるとかは、嘘つきになる。それは避けたい」
「残念です。でもまぁそう言うとは思っていましたよ。あんな女のせいで男としての心の誠実さを汚すのも馬鹿らしいことですしね。では返却は無しということで、もう一つの白いものですが」
遂に本番が来たなとジーナは背筋を伸びた。金額を聞いたら腰を抜かしてしまう恐れがあるため気合いを入れた。せめて一割だけでも残れば、ついでに期間も短ければ。
「隊長の選択肢次第です、ふたつのうちどちらかをお選びください。一つ目は月給八割を一年間支払うか」
「無理だ。というか茜光を諦めてもその値段は無理だったんじゃないか?」
「僕もそう思いますし叔父もそう思っておりますよ。そうですからあの手付金に加えて僕がこの戦争を生き残れたら無料です」
アルが顔を思いっきり見上げてジーナを見つめた。
「僕が途中で死んだとしたらこの手紙を読んで返済方法を知ってください。どちらにいたしますか?」
「実質ただとなる方を選ぶに決まっているだろ。そうかそうくるか。アルの叔父さんも中々の人情家だな」
「隊長は自分は生き残るという自信がおありでしょうが、僕はそこまで言い切れませんよ」
ここでようやく背嚢に自分の荷物を積み終えたジーナが立ち上がり戸棚を閉めた。
「逆だよアル。私より先にお前は死なないよ。なんたって立ち位置が前後なのだからな。だからお前は死なない」
出発の準備が整いジーナの隊は目的地であるソグ山の麓にある草原地帯を目指すこととなった。案内役は地方視察の任務を携えたソグ僧の隊とそれに加えて龍の側近も来たわけだが……
「……ではいいですね第二隊隊長さん。麓の村までの地図を渡しましたので指定された時間までには到着してください、私からは以上です」
目を一切合わせず早口で急いで言い切ったハイネは駆け足でジーナのもとを去っていった。
足の速い女だとジーナは感心した。
「ハイネは怒ってんよ隊長さん」
行軍途中の休憩時間中にキルシュが茶をもって近づいて来て事情を話しだした。
「この前の任務から帰ってきてからイライラしてさ、話を聞くと隊長が任務中に勝手なことをして迷惑をかけたというじゃないか。いったいなにをしたんだい?」
全然興味なさ気な様子で聞いてくるもののジーナにはキルシュの眼が三白眼であるのに爛々と輝いていると見えたため、言葉を抑えた。
「ただ単純に地元の人達の調子を合わせてしまってね。ちょっとお祭り騒動となったのが私のミスだったな。彼女には悪いことをしてしまったよ」
ふーんと深くは追求せずにキルシュは言葉を切ったが実際話をどこまで知っているのだろうかとそこが分からずに一緒に黙った。
「実はさこの件はちょっとした箝口令みたいなものがひかれているらしくてさ、関係者がみんなあまり話してくれないんだよね」
初耳な上にそれであるなら昨日のシオンの謎の態度も納得できるのだが、誰がそれを?
「だからさ、よっぽと隊長がとびっきりのミスをしたかどうかが私すごく気になって聞いたんだよ。そうしたらそうかお祭りか。南ソグの連中ってイベント時に若い男女の組みを見るとお祝いしたくなるんだよな、するとそれって、もしかして」
ますますその瞳が怪しげに光って来るのを見てジーナは焦って口を塞ぎたくなり立ち上がった。こいつは名探偵か。
「おっと大丈夫だよ隊長。それといまの話もそれで満足さ。あたしはとても口が堅い女だし大恩ある隊長を窮地に陥れるようなことはしないから安心して。ただあたしはね、事情が知りたいだけなのよ事情がさ。そういうのが一番楽しいし安心するんだからさ」
ゴシップ好きかとキルシュの好奇心に満ちた顔を見ながらジーナは笑うとここでようやく茶を差し出され受け取った。
「けれどもここでひとつ疑問が浮かび上がったね。まずこの様子では隊長には箝口令が届いていない」
「全然。シオン様やハイネさんの様子はおかしいと思っていたけど」
「これは当の本人には知らせていないためだとしたら変だし、おまけにそれでこのタイミングで偵察と……妙だね。あのソグ僧団も先に行っているなんて今まで聞いたことないよ、ねぇ隊長。なんだか少し怪しくないこれ」
不思議といえばルーゲン師との長話からそうであり昨日から今日はおかしなことがずっと続いているという自覚はあった。
しかし怪しいのかと言えばそれは違って……
「戦場的な意味での危機感というものは、感じられないな」
「最近の隊長は戦ってないじゃないのさ。それにお仕事は主に龍身様の付き添いでさ」
「待て待て私は戦っているぞ。勘を張り巡らして龍の館で毎日のように命懸けでさ」
「命懸けって大袈裟だね。まっ隊長にその気配が感じられないなら先ずはそっちを信じるけど気をつけようね。天に祈ったりしてさ、ということでこれを渡すよ」
キルシュから手渡しされたそれは見覚えのないもの……こちらでは懐に入れるものらしい御守りというものであった。
「龍身様がさ、これは隊長の忘れものだから届けるようにって仰られてね。でもさぁ
キルシュの眼から疑いの光りが放たれるのをジーナは見た。
「隊長ってそういうものを持つ趣味が合ったかなって、あたしは思うんだよね」
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる