115 / 313
第二章 なぜ私ではないのか
『印が欲しい』
しおりを挟む
そう告げた女のその瞳には怒りの色が宿りだした。金色ではない自分と同じ色の瞳で以って。
「君は呪われている。かつてもそしていまもだ。大切なものを全て捨て自分の死すら受け入れてまでも、この名を求めているだなんて。だから印は君を選ばなかった」
無心のまま吸い込まれる様に男が近づいていくと女は今度こそ抜刀し切っ先を男の顔の前に突き出した。
「叔父さんの無念や義兄さんの悲運とか君は他者の業を背負い過ぎている。自分を失い忘れるぐらいにね。だから君は完全なる龍を討つものとなれたはずだ。歴代の他の誰よりも。候補者は君以外の誰もいないのは衆目を一致するところだった。僕以外ならば、だ」
剣は喉元にかかり二人の視線は一致する。互いに同じ色、誰よりも知っている色、その本人よりもずっと知っている同色、だが今は非なる色彩。私たちはもうひとつではなくひとつにはなれない。
「けれども候補者がもう一人、この僕がいた。だから僕はジーナになることを望み、印もこちらを選んだ。理由は君には分からないだろうが力よりもその精神からだろうね。何はともあれ印は僕の願いが正しいと認めてくれた」
濃い緑色の瞳。男はこれまで幾度となくその色に不思議な美しさを感じてきた。いまも、また。
「これを君は裏切りとみるだろう。そうだ僕は裏切った。業に囚われきった君を救うためにね」
瞳の色が微かに薄く変わるも剣先は震えずに喉元を捉えきっている。切っ先を払えば喉笛は死の音色を吹き鳴らす。
「君が自分はジーナではないと受け入れ、僕をジーナだと呼べたのなら、僕たちの方を選ぶことができたのなら……この世界にいることができた」
剣先は小刻みに震えだし瞳の色は限りなく薄さへ移り変わり見るものの魂を吸い込もうとするほどの透明さへ美しさに男の意識は流れていく。もう言葉のなかに入っていくだけ。
「だけど君は選ばなかった。もう手に入らないものに固執し呪いを身にまとった。全てを捨てたのは君だ。そして三年の時は君を変えず違うものになれず、ここにあの時と同じ心のまま、いる……僕の負けだ」
女のその生気を失うほど澄み切った眼から涙が溢れだそうとしているのを男は、見る。
「だけどさぁ……ねぇ僕を勝たせてよ」
溢れ溜まった涙が頬から地へと向かって長れ落ちて行く。
「お願いだ、泣かないでくれ」
こちらが? と男は自分が泣いていることにはじめて気づきながら、女の頬にまた一筋の涙が伝い流れて行くのを見た。
泣いている? 当然だ、と男はまず思った。女と同じ色の瞳をしているのだから、泣いているのなら、自分も泣くのだろうと。
同じ量を同じタイミングを流すのだと、それはごく自然なことであろうと。そういう風に育ったのだから。いつも共にいたのだから。
「拭ってくれ」
男は前に出ようとすると同時に剣は戻され代わりに女の手が伸びてきた。
互いの腕が交差して指先は指先は目尻に頬に。拭うは涙と覚えるその痛み右へ左へ。同じ動きをし同じ量を拭ったのだろうと男には分かった。あちらも分かっているはずだとも、分かった。
「痛み苦しもうが傷つけようが、それが俺なんだ。知っているはずだ」
「知っているよ」
女は言い捨てる。
「すまない」
「何が済まないというの? 口ばっかで改めようとしない癖に。すまないとそう言えば済むと思っているところは嫌いだって毎回言っているよね」
「分かっているが、俺は変えようがない」
「そういうのを馬鹿だと言うんだけど、いいや、君だし。諦めている」
先に女の指から手に腕が男から離れ男はあとに続き、それから女は前を向いた。
「僕はただ君の呪いを解きたかっただけなんだ。だけど君は呪いから解放されずにこの地からもっと遠くに去り、東の地に行っても僕の名をかつての名で呼び続ける。もはや救い難く呪われた魂……呪身め」
女は言葉を切り、止める。続く言葉を流れる時を止め、間を作り、心に刻ませる。この時を。
「そうだろ」
「そうだ」
答えると男は自分の胸の鼓動が聞こえ、それを以って時が動き出したことを知ったような気がした。
激しき月光である今宵、あまりにも多くのものが動き出していると男は思いながら女と同じ方向に顔を向ける。
「……匂うね。これはもうあの龍が来るな。こちらの様子を伺っていたようだが、近づいてきている。正面突破を狙ってくる」
女はそう言うものの男にはその気配も匂いは感じられなかった。
「今までにない新種の毒龍だ。眷属の毒でさえうちの村の薬学では対応しきれていない。こううなると本体の龍の毒は計り知れない」
男は足を前に出そうとすると女の叱責が飛んできた。
「前に出るのはジーナだ。だから君はサポートとして後ろに立て。君が認めず呼ばなくても、この掟は守ってもらう、いや守らせる」
男は思わず女を見上げた。背の高さは男の方がずっと高いのに見上げる。男は前に出した足を一歩戻らせた。
「それに大丈夫だ。印の力は毒を通さず浄化させる。それは君がよく知っているだろ」
女が代わって前に出ると男はその背中に尋ねた。
「ひとつ教えてくれ。さっきの話の一部は、嘘なんだろ?」
「嘘じゃない。僕は願ったよ、願ったんだ。だから叶った、それだけだ」
「だがその名になりたいと思ったことは」
「しつこい。過去に囚われた死体となるのなら、もう喋るな」
男は反射的に瞼を閉じもっと暗い闇を見ようとした。今よりも暗い所へ彼女の心よりも深い闇へ。
すると森が鳴き出した。木々が砕ける音が地鳴りと共にこちらに向かってくる。女の背中は瞬間混乱の動きを感じさせ、男は叫んだ。
「あれが毒龍なのか!」
「違う! 三頭目だ!」
もう一段重ねられた変事に男が呆けると女が呼んだ。
「落ち着け。三頭がどうした! 有り得ないはずの二頭同時が出たのならこうなってもおかしくはないだろ。合図を出すから、一緒に行くよ」
男は指示に従い剣に手を掛け構え、その合図を待った。
言葉に従うことによってこんな状況であるのに男は頭の中で過去の記憶が廻り出す。
二人で三人でいるときの合図はいつも自分が出していた、だが時々、何かの拍子で緊急事態に陥った時に、真っ先に指示を出すのは自分ではなく、彼女であったと。
今のその声はあの時とまるで変わりなく自分の動きも変わりはなかった。
手前の森が動き龍が姿を現した。それはよく見る黒い龍であり、新種の毒龍には到底見えないものであった。
一直線にこちらに向かって駆けて来るその龍、いまだと男が思うと同時に女が言葉を発しながら地を蹴った。
「――」
合図とは自分の名であり、久しく呼ばれなかった命であり、合図に導かれるように――も駈けた。
前方より女がその緑の瞳から金色の光りを辺りに眩かし、印に熱がこもっているのだと後ろから分かるぐらいに空間を歪め、そのなかへ翼が生えたかのように跳び、翔んだ
龍は光の呪縛によって動けず女が振り下ろす剣による数度の攻撃の間に、その光景を目の当たりにしながら遅れて跳ぶ男の心は一つだった。
それはいつもの呪いであった。自分があの印に選ばれていたら、あの彼女も、自らの名も命も失わずに済んだのに。
この手にあの印があれば、男は自らの手の無傷を恨みながら呪詛で心を満たし違う存在になった女を思う。
印もあの娘も、失いたくなかった……いや違う。ひとつだけだ。
女の剣がまたもう一度龍の顔を斬り、一時的に光が消えた。
思うことはそのひとつ……印が欲しい。
男がそう願うと同時に右の森から別の龍が口を開いて現れ、女をジーナをその口と牙で以って噛み喰らいついた。
「君は呪われている。かつてもそしていまもだ。大切なものを全て捨て自分の死すら受け入れてまでも、この名を求めているだなんて。だから印は君を選ばなかった」
無心のまま吸い込まれる様に男が近づいていくと女は今度こそ抜刀し切っ先を男の顔の前に突き出した。
「叔父さんの無念や義兄さんの悲運とか君は他者の業を背負い過ぎている。自分を失い忘れるぐらいにね。だから君は完全なる龍を討つものとなれたはずだ。歴代の他の誰よりも。候補者は君以外の誰もいないのは衆目を一致するところだった。僕以外ならば、だ」
剣は喉元にかかり二人の視線は一致する。互いに同じ色、誰よりも知っている色、その本人よりもずっと知っている同色、だが今は非なる色彩。私たちはもうひとつではなくひとつにはなれない。
「けれども候補者がもう一人、この僕がいた。だから僕はジーナになることを望み、印もこちらを選んだ。理由は君には分からないだろうが力よりもその精神からだろうね。何はともあれ印は僕の願いが正しいと認めてくれた」
濃い緑色の瞳。男はこれまで幾度となくその色に不思議な美しさを感じてきた。いまも、また。
「これを君は裏切りとみるだろう。そうだ僕は裏切った。業に囚われきった君を救うためにね」
瞳の色が微かに薄く変わるも剣先は震えずに喉元を捉えきっている。切っ先を払えば喉笛は死の音色を吹き鳴らす。
「君が自分はジーナではないと受け入れ、僕をジーナだと呼べたのなら、僕たちの方を選ぶことができたのなら……この世界にいることができた」
剣先は小刻みに震えだし瞳の色は限りなく薄さへ移り変わり見るものの魂を吸い込もうとするほどの透明さへ美しさに男の意識は流れていく。もう言葉のなかに入っていくだけ。
「だけど君は選ばなかった。もう手に入らないものに固執し呪いを身にまとった。全てを捨てたのは君だ。そして三年の時は君を変えず違うものになれず、ここにあの時と同じ心のまま、いる……僕の負けだ」
女のその生気を失うほど澄み切った眼から涙が溢れだそうとしているのを男は、見る。
「だけどさぁ……ねぇ僕を勝たせてよ」
溢れ溜まった涙が頬から地へと向かって長れ落ちて行く。
「お願いだ、泣かないでくれ」
こちらが? と男は自分が泣いていることにはじめて気づきながら、女の頬にまた一筋の涙が伝い流れて行くのを見た。
泣いている? 当然だ、と男はまず思った。女と同じ色の瞳をしているのだから、泣いているのなら、自分も泣くのだろうと。
同じ量を同じタイミングを流すのだと、それはごく自然なことであろうと。そういう風に育ったのだから。いつも共にいたのだから。
「拭ってくれ」
男は前に出ようとすると同時に剣は戻され代わりに女の手が伸びてきた。
互いの腕が交差して指先は指先は目尻に頬に。拭うは涙と覚えるその痛み右へ左へ。同じ動きをし同じ量を拭ったのだろうと男には分かった。あちらも分かっているはずだとも、分かった。
「痛み苦しもうが傷つけようが、それが俺なんだ。知っているはずだ」
「知っているよ」
女は言い捨てる。
「すまない」
「何が済まないというの? 口ばっかで改めようとしない癖に。すまないとそう言えば済むと思っているところは嫌いだって毎回言っているよね」
「分かっているが、俺は変えようがない」
「そういうのを馬鹿だと言うんだけど、いいや、君だし。諦めている」
先に女の指から手に腕が男から離れ男はあとに続き、それから女は前を向いた。
「僕はただ君の呪いを解きたかっただけなんだ。だけど君は呪いから解放されずにこの地からもっと遠くに去り、東の地に行っても僕の名をかつての名で呼び続ける。もはや救い難く呪われた魂……呪身め」
女は言葉を切り、止める。続く言葉を流れる時を止め、間を作り、心に刻ませる。この時を。
「そうだろ」
「そうだ」
答えると男は自分の胸の鼓動が聞こえ、それを以って時が動き出したことを知ったような気がした。
激しき月光である今宵、あまりにも多くのものが動き出していると男は思いながら女と同じ方向に顔を向ける。
「……匂うね。これはもうあの龍が来るな。こちらの様子を伺っていたようだが、近づいてきている。正面突破を狙ってくる」
女はそう言うものの男にはその気配も匂いは感じられなかった。
「今までにない新種の毒龍だ。眷属の毒でさえうちの村の薬学では対応しきれていない。こううなると本体の龍の毒は計り知れない」
男は足を前に出そうとすると女の叱責が飛んできた。
「前に出るのはジーナだ。だから君はサポートとして後ろに立て。君が認めず呼ばなくても、この掟は守ってもらう、いや守らせる」
男は思わず女を見上げた。背の高さは男の方がずっと高いのに見上げる。男は前に出した足を一歩戻らせた。
「それに大丈夫だ。印の力は毒を通さず浄化させる。それは君がよく知っているだろ」
女が代わって前に出ると男はその背中に尋ねた。
「ひとつ教えてくれ。さっきの話の一部は、嘘なんだろ?」
「嘘じゃない。僕は願ったよ、願ったんだ。だから叶った、それだけだ」
「だがその名になりたいと思ったことは」
「しつこい。過去に囚われた死体となるのなら、もう喋るな」
男は反射的に瞼を閉じもっと暗い闇を見ようとした。今よりも暗い所へ彼女の心よりも深い闇へ。
すると森が鳴き出した。木々が砕ける音が地鳴りと共にこちらに向かってくる。女の背中は瞬間混乱の動きを感じさせ、男は叫んだ。
「あれが毒龍なのか!」
「違う! 三頭目だ!」
もう一段重ねられた変事に男が呆けると女が呼んだ。
「落ち着け。三頭がどうした! 有り得ないはずの二頭同時が出たのならこうなってもおかしくはないだろ。合図を出すから、一緒に行くよ」
男は指示に従い剣に手を掛け構え、その合図を待った。
言葉に従うことによってこんな状況であるのに男は頭の中で過去の記憶が廻り出す。
二人で三人でいるときの合図はいつも自分が出していた、だが時々、何かの拍子で緊急事態に陥った時に、真っ先に指示を出すのは自分ではなく、彼女であったと。
今のその声はあの時とまるで変わりなく自分の動きも変わりはなかった。
手前の森が動き龍が姿を現した。それはよく見る黒い龍であり、新種の毒龍には到底見えないものであった。
一直線にこちらに向かって駆けて来るその龍、いまだと男が思うと同時に女が言葉を発しながら地を蹴った。
「――」
合図とは自分の名であり、久しく呼ばれなかった命であり、合図に導かれるように――も駈けた。
前方より女がその緑の瞳から金色の光りを辺りに眩かし、印に熱がこもっているのだと後ろから分かるぐらいに空間を歪め、そのなかへ翼が生えたかのように跳び、翔んだ
龍は光の呪縛によって動けず女が振り下ろす剣による数度の攻撃の間に、その光景を目の当たりにしながら遅れて跳ぶ男の心は一つだった。
それはいつもの呪いであった。自分があの印に選ばれていたら、あの彼女も、自らの名も命も失わずに済んだのに。
この手にあの印があれば、男は自らの手の無傷を恨みながら呪詛で心を満たし違う存在になった女を思う。
印もあの娘も、失いたくなかった……いや違う。ひとつだけだ。
女の剣がまたもう一度龍の顔を斬り、一時的に光が消えた。
思うことはそのひとつ……印が欲しい。
男がそう願うと同時に右の森から別の龍が口を開いて現れ、女をジーナをその口と牙で以って噛み喰らいついた。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる