龍を討つもの、龍となるもの

かみやなおあき

文字の大きさ
124 / 313
第二章 なぜ私ではないのか

『僕は君を選択する』

しおりを挟む
 いつものように女が語り続け男が書き続ける。女が促すと男も語りだす。その時のことを、その時の心を。

「呪われた身は時が止まったかのように僕の前に立っていた。その眼は印のほうにしか向いていなかった」

 女の口から自分の名が久しぶりに出てきたと男は気づいた。夕日の時以来、約三年ぶりに女は男のことを口にした。

 ただしそれは自分の本名ではなかった。

「呪われた身は死を望んでいた。口ではなく瞳がそう言っているから僕は思い出した。檻に閉じ込められたそんな君を救い解放したかった、と。だから僕は手に力を入れて……」

 女の物語はアリバたちを村へ案内し武器を受け取ったところまで続き、龍の襲来へと向かった。

「古老も言っていた、過去に類を見ないことだと」

 二頭の、その後三頭だと発覚する龍の同時侵攻。眷属との戦いに追跡それから待ち伏せ。

「呪われた身が現れ敵がもう一頭増えたのかと僕には思えた。構え剣を抜きまた切っ先をその首に当てた時に僕は今一度確信する。僕の手で呪いを解き放つしかないのだと。僕たちはそういう関係であったのだと」

 男もまた再び二人の関係について考えだした。印によって翻弄された二人のこれまでを。その分岐を喪失を。けれども今はこうして呪いから解放された。されたはずである。あの時から。

「龍に噛まれた瞬間は痛みよりも先に、死を感じた。即効性の痺れもあるのか印の力を以てしても身動きが封じられ瞼が開かなくなる闇のなか、僕は雄叫びを遠くから聞きながら龍の口から解放された。それはその呪われたものの消滅も意味した。僕は聞いた、ジーナは死んではならない、と。それは僕の生きる意味ともなった」

 語りから女ははじめからずっと起きていたことが男には分かった。

「抱えられている最中にそういえば彼はこうやって得意そうに僕を持ち上げるのが好きだったなと思い出した。でも僕は君のこういう相手の感情をあまり考えずに行う独占的な行為があまり好きではなかった。だからね君は気を付けた方が良い。君のそういう感情と行為が良いと感じちゃう変な女と将来出会うかもしれないけど、それは絶対に感情がおかしくて危険な女だからそんなのとは出来る限り避けて貰いたい」

「あの、いまのそれは書いた方が良いのか?」

 慌てて男が聞くと笑い声が起きた。それもまた得意げな響きで。

「あたりまえだろ書いてよ。後でツィロも読むんだからさ。彼も僕の意見に賛成してくれるはずだよ。君はなまじっか力があるからそうやって俺は力があるんだぜと自慢しているけど、そういうマッチョ信仰的なものは良くないからね。それが好きな女もロクなのがいないよ。ついでに言うと箱の中に入れてくれた君の上着は足元に配置しなおしたからね。これは別に君が臭いとかじゃなくて汗だくで冷たいうえに龍の血がついているから不快だなと感じただけで」

「臭いと言っているのとあまり変わらないのでは?」

「だから言ってないって」

 臭いんだが不快なんだがわけのわからないことを言うものだなと男は思っていると、妙な沈黙がちょっと生まれたと感じると女が言った。

「今のは、書かないでいいや。えーとその先は僕は眠っちゃったんだよな。フッフッいまも半分寝ているようなものだから同じなんだけど。次はしばらく君が話してくれないか。君の話を主流にして僕の言葉を時折混ぜて合流と行こう。ここまでね」

 男は語るも女は黙りつづけていた。そう黙るしかないのだと男は分かっていた。毒による異変を自ら切り出せないのだから。

「俺は手の痛みと共に――の物語を書き出した。これは彼女にとってのただの退屈しのぎであり、もしかして自分にとっては二人の間には過去しか語り合うことしかないのかもしれないと、たまに思ったりもした。未来のことについてはツィロとだけ語りたいのかもしれない。それこそ明日の夕飯のことも含めて」

 小さな笑い声が聞こえたが何が面白いのか男には分からずとも反応があったことは嬉しかった。それでも女は何も言わずに男の話の続きを待っている。

 これまでとは逆に女が自分の話を優先的に喋ってから聞くのとは違う。話はもうこの間になり昨日になり今日になりさっきになりそして今になり、終わるとなる。

 終わり?

 俺は何を言っているのだ? 男は自分の言葉に恐怖を覚え首を振った。どこにも終わりなどなく、ここで終わるはずはなく、ジーナが旅立たずに終わることなど絶対に有り得ずに。

「――? どうしたんだい。言葉を止めないでくれよ。止めないで続けて……僕にはもう……」

 時間が無い、と女が言わない、言えない言葉を男は聞くと口が動き出した。

「腕は一日中痛むが痛まない時間というものがある。今この瞬間がその唯一のものだった。どうしていかというとたぶん動かしているからという理由と、語りを聞くことが好きだからかもしれない。たまに自分を腐す告白も出て来て怒りや悲しみは覚えるも、どうしてか嫌悪感までには至らなかった」

 語れば語るほどにルーティンワーク化された日々であったと男は確認をする。薬草を作り仕事である商売のため働き夕方になればここに来て語り聞き書きとめ夜となり眠り一日が終わる。

「ここに連れてきた初日のような焦りや緊張は徐々に薄れて行った。何となれば彼女は良く喋る時に辛辣で記憶力も抜群と、自分がよく知るあの頃のとまるで同じなのだから。そういうよりもまるで同じように努めているのかもしれないが、どちらでも良かくそれで良かった。だからなのか時に自分は彼女が治療中であることを忘れてしまう。忘れざるを得なくなることが殆どであり、来るたびに覚え去るたびに覚えていることは一つであった。良くなってきている。ああ良かったと」

 女は何も言わない。きっと今考えているのだろう、自分の身体の状態のことを。いつ言うのか? いやこれからいうタイミングを考えているはずだ。どうして考える? それは俺を思って……俺がその身体を慮るようにお前は俺の心を慮り……

「霧の日となり、夕陽が隠れている中、薬房へと俺は向かった」

 語りは今日へと話しを急いで進めた。俺は全部を知っていると告げるために。

「途中でシムと出会い彼女は俺の名を久しぶりに呼び重大なことを教えてくれた。治療には効果がなくジーナの眼は見えず身体は毒に蝕まれているということを」

 言葉は震えずに言い続けることが男にはできた。男は信じていた、たとえそのような状態であろうとも、お前は、ジーナは、立ち上がり旅立つと。闇の中は静かである。だが死は感じはしなかった。

 そうだジーナは死なない。俺が死なせてなるものかと。語りは薬房に入り部屋を開け今ここへと移った。実態と意識が限りなく一つへと移り変わり肉薄をしてきた。

「力のことで説教され上着は拒否られるも君は臭くないとも言われ今日もまた非常に分かりにくいことを言われたものの、その償いか不明だが珍しくこちらの方が先に語りをはじめ、今ここでこうして語ったことを書きとめている。あとはジーナの言葉を待つ段階へと入る。いまおれは奇妙な感覚の中にいる。過去から今へと向かって聞き続け語り続け、こうして完全に今と語りを一致させようとするも、時は進み一致などはしない。生きている限りそれが当然であるのなら、では死なら一致するのだろうか? その手前で終わるか丁度で終わるか……それは不明であり、確実なことは生きている限りは永遠に続いて行く生への確認でもあったと。ジーナの意図は知らない。シムの言うように儀式であってもこんな妙な儀式もないだろう。たとえ何であったとしても、こうして二人で語り合ったこの時は俺には幸せなものであったことは間違いなかった。あとはジーナが立ち上がるのを待つだけだ……だからジーナ、この地点にどうか来てくれ」

 語り終わり男は闇を見た。何も見えずとも視線が合い、頷いたように見えた。目が見えないというのに。

「ここで目覚めたときに僕の瞳は闇しか映さなくなった。辺り一面の闇、これが龍の毒によるものだと僕はすぐに悟った」

 女の口から事実が告げられるも男には改めての衝撃は無かった。大丈夫だ、それでもジーナは旅立つのだから。

「シムやアリバさんたちは万策尽くして解毒に努めてくれたが、僕は最初の段階から諦めていた。この右手の印を以てしても癒せない毒は薬草では力不足であろうことを。あれは始祖以来の新たな龍というものであろう。今までのものとは違った最大の脅威と言える。瞳に闇が宿り、日に日に身体の自由が利かなくなってきた。これも毒のせいであろう。おそらくは即効性によるものであるのだが、僕の場合は印があるために遅効性になっているのだろう。ならば大丈夫だと安心した。まだ時間がある。まだ間に合うと」

 女の言葉に男の心は激しい昂揚感に満たされた。そうだこれまで沢山の時間があり手を打ってきたはずだと。

 なら間に合うはずだと。旅立ちに龍を討つ旅に行く準備と回復に、と。

「介護をしてくれるシムにはツィロへの連絡のための書面の作成を頼んだ。日にちを指定しその日の夕方に必ず来るようにと。もっとも僕にはもう光が失われたことによって時間という感覚は薄れてしまったけれど、それでも全てのことをやり切るための時間はまだあるはずという自信はあった。龍を討つまでジーナは死なないのだから」

 そうだと男の筆は言葉と一緒に動いた。死ぬはずがない。何度でも何度でもこれは書いても男には構わなかった。ジーナは死なない。

「早い段階からアリバさんには砂漠越えの準備を依頼すると快く承諾をしてくれ万事任せてもらいたいとのことだ。とても頼もしい。これで二つの条件が整いつつある中で僕は最後の一つをやりはじめた。彼と、あの呪いが解けた彼と、昔話をし書きとめてもらうことにした」

 その意味は? と男はその説明を知りたがっていた。これがどうジーナの旅立ちに必要なものであるのか?互いに混ぜて交わり何が生まれるのか? だが女の口からはその説明は放たれなかった。

 それから今日この時にまでに至る二人の会話を再び再現させつつ女はいまの感情を語りだした。

「彼の話はどれもこれも僕の感情にぶつかり衝突する。昔からそうでありあの夕陽の時がその極点だった。滅多に自分の意見を変えない彼を見るとひょっとして僕らは敵同士ではないのかと思う時もあった。そういった疑惑は僕たちが結婚する仲であったから除けられたが、別れてからは疑惑が確信へとなっていくものがあり、山での再会時は僕にとってはごく自然な感情の発露であった。僕は君をこうしたかった。こうするのが道理にかなっていることであったと。何故なら君はジーナであろうとしていることを捨てず隠してはいなかった。どちらかが去るか消えるか、この関係は終わりが無いのかと僕は思い続けた……だがそれは違った。君は僕の名をジーナと呼び自らの呪いを解いた。そして祈る、ジーナは死んではならないと」

 書き写している男の心は女の言葉によって次第に無に近づいてきた。この行為の意味といったものへの疑問は消えていき、次の言葉を待つ。

 だが男は次の言葉が出る前にまたは同時にその言葉を同時に綴りだしていた。わかっていたということだ。

「一つであることを約束されたものの一つになれなかった僕たちはただ一つのことでのみ一つになる。ジーナは使命を果たすまで死んではならない、その意志のもとジーナは立ち上がり、旅立つ」

 男は導かれるように立ち上がり、と書きながら実際に立ち上がり、旅立つと書き上げると闇の中、真っ直ぐに立った。一人、立つ。

「――。君がジーナだ。僕は君を選択する」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜

侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」  十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。  弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。  お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。  七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!  以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。  その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。  一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...