龍を討つもの、龍となるもの

かみやなおあき

文字の大きさ
164 / 313
第二章 なぜ私ではないのか

君に光があたり生まれるその影が僕です

しおりを挟む
「また変なことを言い出してからに。男同士が好きって。あなたって昔から暇になると男同士の関係をそんな目で見始めますよね。あの男のどこに好きになる要因があるというのですか」

 と言いながらシオンはハイネを見ながら更に言った。

「ハイネは、そう思いませんよね?」

「あっ……その私は、そう思いません、いえ思います」

「どっちなんですか? まぁヘイム様もそんな下らないことなど考える必要はありませんよ。好きと言っても男同士なのですから友情どまりですって、進むはずがありません」

「ではその範囲内で話すとしようか。二人の馴れ初めはよう知らんがいつなのだ?」

「言い方がもう……さあ私は知りませんね。そもそもジーナは護衛の頃からの知り合いましたしそれ以前のは」

「以前ルーゲン師からお聞きしたのですが、シアフィル砦で解放戦線と合流してかららしいですね。解放戦線に砂漠の果てからのものがいると知りルーゲン師が興味を持って接触を図り、交流が始まったと」

「ルーゲンがナンパをしたわけか?」

「ですから言い方が。そこからはじまって講師となってジーナを龍の護衛に就ける努力をしたわけですね。こう見るとジーナにとって大恩ある人というわけですか。なら仲が良いのは別に普通ですよね、普通」

 シオンは変な方向に話が流れないように強調するがヘイムは手紙を取り上げ続きを口に出して読み出す。

「『敵から逃れ霧を抜け馬車は草原を疾走していきます。時間が無いとしか思えない状況なので限界まで馬を走らせますが速度のために馬車は揺れその度に隊員は体勢を崩し痛がっていますがルーゲン師だけは座ったままの姿勢を保っておりこれが修業の賜物かと感銘を受けました。

 夜になり睡眠をとることになった際にルーゲン師が一人離れて横になっていたのですが、不意に目が覚めると隣に誰かいると感じたら私の隣にルーゲン師がいました。私が声をかけようとするとその瞬間に目覚めたのかルーゲン師が静かにと唇に指を当てました。夜は冷えますので傍に来ましたと言いましたが、従者の傍ではと返すと、あのものは疲れているので休ませてあげたいしそういう姿を見せたくないともいいます。それで何故私なのですか? また返すとルーゲン師はニコリと笑ってこう言いました。

 別にあなたに弱みを見せても僕は気にならないしあなたも気にしませんよね? そういう仲ですし。だから僕はここに寄ったのですよ。言って目を閉じました寝息をたてました。ルーゲン師は意外とこういうことを言うのですね』と」

「ここまで受け入れているのならあやつがルーゲンと結婚すればいいのではないのか?」

「性別!」

 シオンが叫ぶとその隣でハイネが言った。

「これ狙っていません?」
「ハイネ!」

 怒鳴り声にハイネは動じなかった。

「だって姉様。例えばルーゲン師の性別が女でこんなことしたら、どう思います?あざといを通り越して頭に来ますよね。私はそういう女は嫌いです」

「好きな女はいませんけどその仮定はルーゲン師が男であるから決定的に誤りです。なにもあなたは男相手に……」

 焼き餅を焼くことは無いでしょう、とは続けられなかった。

 シオンがヘイムの前で嫉妬をするなとは言い難くしていると横からヘイムが顔を乗り出してきた。

「じゃあなんでこのようなことをしているのだ?」

 そんなの知りませんよと言いたかったが、そう言ったが最後やはりルーゲン師はそういう男だということになってしまう。

 なんでこのような擁護をしなければならないと頭が混乱させているとハイネが首を振って止め普段の表情に戻し、息を吐いて言う。

「ああ、分かりましたし思い出しました。それはですね今後のためにジーナと交友を深めていこうといつかルーゲン師が仰っていましたね」

さっきまでの嫉妬全開の表情と声が一転し、いつものハイネに、そう作為的なハイネの表情と声に戻っていた。

「ソグ僧はもといルーゲン師はシアフィル解放戦線の方々とは親交といったものがもとからなく、いまも手探りで両者は交流を図っておりますよね。バルツ将軍ぐらい社交的というか篤信家ならソグ教団の方々とすぐに打ち解けられましょうが、他の方々とはゆっくり進めていくしかないでしょうね。そんな中でルーゲン師は将来性があるも解放戦線内からは浮いているジーナに目をつけてもおかしくはないと思います」

 突然の豹変にシオンは驚くも、これがいつものハイネでありさっきまでのが本来おかしいのだが、それでも違和感が生まれていた。

「あれと付き合ってどうするというのだ?」

「付き合っているとかではなくてですね」

 ヘイムのからかいにハイネのちょっとイライラした声で返したのが却ってシオンは安心感を抱いた。

「さきほども申し上げましたようにジーナは近衛兵や西方の将軍職に任命される可能性があると、私は思っておりますし、いずれかの要職に就くべきだとも。そうだとしましたら現在ノーマーク中でそういう政治状況の中では孤立しているジーナと手を組むのは、言葉はあれですがお得ですよね。軍隊内では彼は一目どころか二目も三目も置かれておりますし……私達から見たらかなりおかしいものに見えますが」

 二重性、とシオンはジーナのことを考えた。彼の軍隊内での敬意の払われ方と人望、公文書に記載された戦功など外から見るとなんという偉大さに向かう戦士だろうと思わざるを得ないものは確かにあるものの、内側から見たらなんという無礼でわがままで女性軽視かつ色魔と極端な差は二重人格を思わざるを得なかった。

 二つの両極端な人格が同居しているように二つの魂があの身体の中にあり、各々のタイミングで顔を出すように。最高の戦士と最低の男と。

「そうだとしたら……ルーゲンは中々に抜け目のない策謀家だであるな。あの純粋な、ああ馬鹿なジーナを企みに組み入れようだなんて」

「企みだなんて。それにジーナもルーゲン師と仲が良いことは将来的に絶対に良いはずですし。これ変な意味では絶対にありませんよ。ヘイム様はジーナとルーゲン師の仲がそこまで気になされるのでしょうか?」

「気になど全然しておらんが」

 即答は嘘だ、とシオンは瞼を閉じて手紙を手に取り読み出した。

 続きを、話題を変えないといけないへイムに余計なストレスを与えてはならない、この件にはもう

「……またルーゲン師ですか。本当は好きなんじゃないんですか?」

 シオンの呆れ声にヘイムとハイネはまた吹き出し笑い声を立てた。

「一夜を共にして……そうですが、そうじゃないとしてこうです。
『翌朝出発しました。ルーゲン師の頭の中に地図や時計が入っているのか、距離と時間を終始我々に伝えそれが鼓舞となり迷いなく走っていくことができます。

 まさに導くものであり導師、自然と先頭に立つことを役目づけられた人だと思いました。
 最も本人はジーナ君の背中に隠れさせてもらうよ。いわば僕は影。君が光に当たることによってはじめて存在するもの、とまるで逆のことを言ってきてまた冗談を言います。

 私が光でルーゲン師が影? こうやって逆のことを言って私を戸惑わせるのもルーゲン師の好むところなのでしょう』」

「光と影、か……なるほど」

 途中でヘイムが呟きハイネは朗読をとめた。何がなるほどであるのか? あの二人を同列にすることがそもそもおかしいというのに、光と影だなんて同一的存在の扱いとはいったい?

「こう聞いてみるとこの手紙ってジーナによるルーゲン師の功績の報告っぽいですね」

 ハイネがそう言うとシオンはこっちもなるほどと感じた。

「そうですね。彼は人の功績報告はかなり詳細で公平らしいと評判ですがその癖が出たのでしょう。するとこのルーゲン推しは単なる今回の西東横断行動の最大功績者であるとの報告といえるかもしれませんね。それでこの後に東陣営のオシリー将軍と面会ができ、本陣営に戻る南下、ここも邪な眼で見なくても良さそうですね。

『我々は南下を始めました。東西の陣営との共同攻撃の策は約束の時刻を伝えただけではまだ完成していません。これから本陣営に戻り任務完了報告をしなければならないのです。最後だということかまるで下り坂のように馬を駆けさせました。馬車は揺れ中のものたちは悲鳴をあげますが、やはりルーゲン師は微動だにせず、それどころか先頭の私の隣から動こうとしません。君がいたからこそ成功しました、と急にルーゲン師が話しかけて来て怪訝な顔をすると続けました。

 君は自分は護衛であり馬車を走らせただけであり交渉は僕に任せ成功したから師の存在こそ成功の要因だと思っているだろうが、それは大きな勘違いです。

 今回の作戦行動はかなり激しいものでした。精神的にも肉体的にもかかる重圧は凄まじいものだというのに君たちは、いや統率者たる君はほんの少しの動揺も些細な疑いも抱かずに前に前へと邁進してくれた。

 僕自身も駄目かと何度思ったことか……けれども君はそのような言葉どころか雰囲気すら漂わせなかった。それが引いては隊員たちに勇気を僕に力を与えてくれた。しかし何故にそこまで君は。と聞いてきましたからごく簡単に返しました。

 それは成功すると思っていましたから、としか言えません。ルーゲン師なら成功するはずですし失敗していたらそれは元よりそうなる運命であったと、私はそんな風に思っていましたし。それにしてもこれはある意味で絶対的なものへの信頼感に近いかもしれませんね。

 そう言うとちょっとの沈黙の後に笑い声と共に言葉が来ました。不信仰者がよく言いますね。書くときつい言葉であるのですが、ルーゲン師の声には非難よりもからかいのほうがずっと込められていましたから私も微笑んだと思います。

 その言葉をそっくりそのまま君に返しますとルーゲン師は語気を強めて言いました。君がいて遅れが出たり途中で敵に襲われ討たれたりしても僕は君を怨みません。そんな運命だったとして受け入れます。だから僕は君を指名した。

 そのルーゲン師の言葉が身に余り過ぎたのか気持ちが一周まわって苦笑いしてしまいました。光栄ですが買い被りすぎですよ私にはあなたの期待に応えられるだけの力はありませんし、何より私に限ってだけ龍の御加護が皆無ですし。

 そのぶんは僕ので補填しますのでご安心を。その発言は御不敬では? 君にそんなツッコミを貰うとは一生の不覚ですね。ですがこれは敬虔ですよ。この時はじめて私達二人は同時に笑い声をあげ、下り坂を降りていくかのような馬車はもう一段階速度をあげていくと旗が見え始めました、我らが龍の護軍の旗です。

 そのまま出迎えの大興奮の渦に巻き込まれながらもルーゲン師は巧みにすり抜けてバルツ将軍の前に歩まれ、報告を致しました。我々も後に続き将軍に報告を申し上げると労いの言葉をいただくとほぼ同時に隊員達は緊張の糸が千切れたのかその場で眠るように倒れ、天幕へと運ばれるのを見るとああこれで今回の任務は終了したな、と息を吐くと背中に何かがもたれかかってきたので驚いていると声がかかりました。

 ジーナ君、最後の仕事だよ、僕を運んで行ってくれ。とルーゲン師の消え入りそうなか細い声による訴えがくるので背中越しで会話をしました。

 みんな見ていますが。君は気にしないでしょ? 僕も気にしませんでは問題ありませんやってください。

 逆らう言葉を持てないために中腰になるとルーゲン師は自分の背中に飛び乗ってくるとあまりにも意外でした。
 軽いですね。軽いとはね、でも君は荷を背負う際に重いとか思う時がありますか?こう問われると……しょっちゅう思う時がありますよ、と答えました。』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました

ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。 ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。 王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。 そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。 「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜

侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」  十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。  弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。  お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。  七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!  以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。  その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。  一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...