218 / 313
第3部 私達でなければならない
嫌われたくない
しおりを挟む
ハイネはまるで酔っているような砕けた口調で揶揄してきたが、ジーナは固まった。
「自分の美学とかこだわりに酩酊しっぱなしで酒程度じゃ効き目が無い状態だったりして。どうです? この私の推理」
「私ってそう見えるのか?」
「フフッたまに……とだけ言っておきます」
胸が苦しくなったためかジーナは酒を飲もうとグラスを傾けるが、何も入ってこない。空であった。
不思議がりながら空のグラスを置くとハイネが素早く注いできた、いっぱいに。
ハイネを見るとそこには怪しげな笑顔がありグラスを頬の辺りにまで上げている。これは合図だとジーナはすぐに分かった。
酒好きな兵隊同士がやる下らない勝負の一つ。どちらが早く、呑めるかどうか、というどうでもよい闘争。
ハイネが口をつけジーナも呑み出すと二秒後にハイネはグラスを置きその間にジーナは呑みきった。
「ああこんなものだとはびっくりした……しかしすごい……空にしましたね」
「おい無理をするなって」
「ジーナのそれだっていっぱい自分を試したから分かったのですよね? だったら私も自分を試してみたいですよ」
「人の話を聞いてくれ。さっき話に出たルーゲン師だってそれでな」
「あの、それですけどその日はすごく面白かったですよ! うふふっ、いえ笑いごとじゃないのですがルーゲン師が痛飲してへべれけになるなんて絶対に一生に一度の機会でしたね。あのかっこいい人がぐでんぐでんに酔ってのいわゆる醜態……見たのは極一部の人だけですけど、あのような秘密の共有が生まれるなんて良いものを見ました」
思い出し笑いをしながら語っていたハイネが急に笑い声を止め、一つ間を置いてからジーナを見る。その赤い目で以って。
「あなたのせいですよね? あなたが一緒にいるから呑んでルーゲン師は羽目を外してしまった。そんな人は今までいませんでした。そのただ一人があなたですよジーナ。なんででしょうね? あなたにはそういうおかしな力がありますよ、たぶん。人を変化させる力というか……ねぇ? 自分にはそういうなにかがあるという御自覚はおありで?」
もしもあるとしたらそれは私自身の力なのではなく、ひとえにこの印と名の……
「そんな自覚は私にはない」
「それなら私はいますごく飲みたいなという気分、というか既にもうすごく飲んでいるのって、なんですか?」
「ハイネが勝手に呑んで楽しんでいるだけだろ」
自嘲的な笑みをしながらハイネは手酌で自分のグラスに酒を注いだ。何杯めだっけ?
「こういうのも楽しいじゃないですか。そうですよ、あなた。たまにはいつも苦しめている私を楽しませてもいいのですよ。祝日サービスしなさい」
何を言っているのかすぐには分からずにジーナは酒瓶の中身が半分以下になっているのを見つめながら、考える。
私はいま、何を言われ、この女は私にいま、何を言ったのか……しばし瞼を閉じまた開くと瓶の中身は幾分か減っていた。どこに消えたのか?
「おい逆ではないのか? いつも苦しめられている私を楽にして貰いたいのだが」
「またそうやって被害者意識だけ募らせても仕方がないですって。ほらお互いに苦しめ合っていると思わなくては。お互い様ということで」
そういうことですよと結論付けながらハイネはまたグラスを空にしていた。だから何杯目だ?
「ハイネからそんな言葉を聞くとは耳を疑うな」
「私もジーナから奢りなんて言葉を聞いた時に耳を疑いましたよ。それっていつものお詫びという気持ちからではありません? 私はそう解釈しましたけれど。あっいえいえ首を振っても却下です。あなたも少しは良心というものに目覚めたのではないでしょうか? だって無さすぎるですもの。だからそう考えた方が良いですよ。あなたにとっても私にとってもです。それもまぁこの私のおかげですけどね」
長々しい文句を前に言葉を失ったジーナは天を仰ぎ見る。そこには空は無く天井の年季が入った汚れが染みついた板の継ぎ目たちが見えるだけである。
何にから逃げているのか? それは眼の前の……何だこの匂いは、とジーナが顔を戻すと机の上には肉肉しい料理が並んでいた。
「あれ? いつの間にこんなものを」
「あなたがグラスを陽に当ててボーっとしている間に済ませました」
そんなに長くやっていたのか? というか酒瓶の酒もいっぱいになっている……意識と時間のズレが大きくなっていないか?
「私は選んでないのだが」
「あら? 奢られるのは私なのですから選ぶのは私じゃないのですか?」
自らの過ちなど微塵にも思わないために流れ来る透き通った声を聞きジーナはそうかもしれないな、と思いがけたが、すぐに思い直した。
相手はあのハイネだ、それぐらいの声はすぐに出せる。そう、罪あるものであるからこそ出せる罪なきものの声というものもある。
「私はそう思わないがそういう理屈がこっちにはあるのか?」
「こっちというか、ここにはあります、私とあなたの間ではね。私だってあなた以外の男の人にこんな厚かましくって図々しいにも程があることなんて言いませんよ」
本気で信じて疑っていないというのか。
「言っているじゃないか。それだったら他の人にも」
「私は嘘をついていません。言いません。そんな失礼なことを言って相手に嫌われたらどうするのですか? 損をするだけですってば」
「すると私には嫌われてもいいのか?」
「うん? なんですジーナ? 私には嫌われたくないのですか?」
問いが来るとジーナは目を伏せた。その眼を見たくないのか?
その考えることすら耐えがたく、ジーナも酒を飲もうとするも、また空だった。このグラスは、穴でも開いているのでは?
差し出された瓶口が眼前に現れジーナはグラスを机の上に置くと酒が注がれ出し、その音が声と混じり一つとなって耳に入って来る。
「いつも、あんな酷いことを、私にしている癖に、それ自分勝手すぎません? あなただって、いつも、私には嫌われてもいいような、そんな振る舞いばかりしているじゃないですか?」
注ぎ終わるもジーナはグラスの琥珀色の水面を表面張力を見つめる他、ない。
顔を上げられない見ることができない、ハイネに顔を背けるように。
「いつもあなたは、私に嫌われたらと、思っている……」
水面が揺れ零れた酒が幾筋かグラスを垂れさがり机の上へと、落ちる。
音がひとつだけ鳴った。複数の滴が落ちているのに、音は一つだけ。
ジーナは宝石が落ちて砕けた音を連想する。聞いたことはないが、もしも落ちたとしたらこんな音がするだろうという、綺麗で哀しい音だった。
「ちなみに私はあなたに……嫌われたくはありませんよ」
ハイネの声に乱れは無かった。
「こんなことを言っておいて」
反射的にジーナは言葉を返したが、グラスの酒は零れなかった。
「はい。こんな酷い扱いをしておいて、私は、あなたに嫌われたくはないのです。この程度のわがままで嫌いはしないとも信じています」
勝手すぎる言い分だなと思うものの震えはまるでなく、そのままの姿勢で宙にあったまま。
「どうなのですジーナ」
静かな、広がりのある声が聞こえて来る。
「過去のことや前のことは今はいいです。いま聞きたいことはいまのこと……いまのあなたの気持ちを」
問いに対し今度は震えもせず止まらず、そのまま酒を一気に呑み干した。
それでも何も感じず、何も起こらない。これはあまりにも無力すぎるからか?
それはハイネも同じなのだろう。あんなに呑んでいるのに、普段とまるで変わらないそして今の自分も……意識の高揚も逆の沈鬱さもなく、闘いに赴く際の気で以って前に出るため、顔を上げた。
ハイネが遠くにいた、いるように見える。それでも自分の口から出る声はいつも通りの大きさであった。
「じゃあ、私もハイネと同じだと言おう」
感動もなくそう言ったと思いながらジーナはグラスをとるとまたそれに気づいた。どうして同じことをこんなに繰り返すのか。まるで自分の間違いをとがめられているような。
「また空ですよ」
笑いを堪えているというハイネの笑顔が近くに現れ傾けられた酒瓶から酒が流れ出した。
「じゃあは余計ですが一言多いし足りないのがあなたという性分を思えば、よく言えましたと私は嬉しく感じますよ。まぁあなたの場合は言葉よりも態度ですね……あんなにすっきりと冷静を装って言い切れたのに、グラスが空になったことに気付かないとは玉に瑕で完璧になれないと思わせるあたり、あなたらしい」
貶しているのか褒めているのかよく分からない言葉を聞きながらジーナは酒を口に含むと、旨いと感じた。
ということは味覚が消えていた? そうだ消えていた。こんなに強い味と香りだというのに……あまりにもハイネのことを考えすぎたためになのか?
「でもですねジーナ。他の女にそういう優しさを見せたらいけませんよ。そんなことは当たり前だと受けとってあなたに負担をかけるだけですから。えっ? 私? 私はそういう女じゃありませんからね。あなたならそれは他の誰よりも、知っているでしょうけれど。何ですその顔は? 思い出してくださいよ私の優しさというものを」
その優しさというやつをジーナは頭を動かして探っているとハイネが運ばれて来た料理の肉の塊をナイフで解体しだした。
「自分の美学とかこだわりに酩酊しっぱなしで酒程度じゃ効き目が無い状態だったりして。どうです? この私の推理」
「私ってそう見えるのか?」
「フフッたまに……とだけ言っておきます」
胸が苦しくなったためかジーナは酒を飲もうとグラスを傾けるが、何も入ってこない。空であった。
不思議がりながら空のグラスを置くとハイネが素早く注いできた、いっぱいに。
ハイネを見るとそこには怪しげな笑顔がありグラスを頬の辺りにまで上げている。これは合図だとジーナはすぐに分かった。
酒好きな兵隊同士がやる下らない勝負の一つ。どちらが早く、呑めるかどうか、というどうでもよい闘争。
ハイネが口をつけジーナも呑み出すと二秒後にハイネはグラスを置きその間にジーナは呑みきった。
「ああこんなものだとはびっくりした……しかしすごい……空にしましたね」
「おい無理をするなって」
「ジーナのそれだっていっぱい自分を試したから分かったのですよね? だったら私も自分を試してみたいですよ」
「人の話を聞いてくれ。さっき話に出たルーゲン師だってそれでな」
「あの、それですけどその日はすごく面白かったですよ! うふふっ、いえ笑いごとじゃないのですがルーゲン師が痛飲してへべれけになるなんて絶対に一生に一度の機会でしたね。あのかっこいい人がぐでんぐでんに酔ってのいわゆる醜態……見たのは極一部の人だけですけど、あのような秘密の共有が生まれるなんて良いものを見ました」
思い出し笑いをしながら語っていたハイネが急に笑い声を止め、一つ間を置いてからジーナを見る。その赤い目で以って。
「あなたのせいですよね? あなたが一緒にいるから呑んでルーゲン師は羽目を外してしまった。そんな人は今までいませんでした。そのただ一人があなたですよジーナ。なんででしょうね? あなたにはそういうおかしな力がありますよ、たぶん。人を変化させる力というか……ねぇ? 自分にはそういうなにかがあるという御自覚はおありで?」
もしもあるとしたらそれは私自身の力なのではなく、ひとえにこの印と名の……
「そんな自覚は私にはない」
「それなら私はいますごく飲みたいなという気分、というか既にもうすごく飲んでいるのって、なんですか?」
「ハイネが勝手に呑んで楽しんでいるだけだろ」
自嘲的な笑みをしながらハイネは手酌で自分のグラスに酒を注いだ。何杯めだっけ?
「こういうのも楽しいじゃないですか。そうですよ、あなた。たまにはいつも苦しめている私を楽しませてもいいのですよ。祝日サービスしなさい」
何を言っているのかすぐには分からずにジーナは酒瓶の中身が半分以下になっているのを見つめながら、考える。
私はいま、何を言われ、この女は私にいま、何を言ったのか……しばし瞼を閉じまた開くと瓶の中身は幾分か減っていた。どこに消えたのか?
「おい逆ではないのか? いつも苦しめられている私を楽にして貰いたいのだが」
「またそうやって被害者意識だけ募らせても仕方がないですって。ほらお互いに苦しめ合っていると思わなくては。お互い様ということで」
そういうことですよと結論付けながらハイネはまたグラスを空にしていた。だから何杯目だ?
「ハイネからそんな言葉を聞くとは耳を疑うな」
「私もジーナから奢りなんて言葉を聞いた時に耳を疑いましたよ。それっていつものお詫びという気持ちからではありません? 私はそう解釈しましたけれど。あっいえいえ首を振っても却下です。あなたも少しは良心というものに目覚めたのではないでしょうか? だって無さすぎるですもの。だからそう考えた方が良いですよ。あなたにとっても私にとってもです。それもまぁこの私のおかげですけどね」
長々しい文句を前に言葉を失ったジーナは天を仰ぎ見る。そこには空は無く天井の年季が入った汚れが染みついた板の継ぎ目たちが見えるだけである。
何にから逃げているのか? それは眼の前の……何だこの匂いは、とジーナが顔を戻すと机の上には肉肉しい料理が並んでいた。
「あれ? いつの間にこんなものを」
「あなたがグラスを陽に当ててボーっとしている間に済ませました」
そんなに長くやっていたのか? というか酒瓶の酒もいっぱいになっている……意識と時間のズレが大きくなっていないか?
「私は選んでないのだが」
「あら? 奢られるのは私なのですから選ぶのは私じゃないのですか?」
自らの過ちなど微塵にも思わないために流れ来る透き通った声を聞きジーナはそうかもしれないな、と思いがけたが、すぐに思い直した。
相手はあのハイネだ、それぐらいの声はすぐに出せる。そう、罪あるものであるからこそ出せる罪なきものの声というものもある。
「私はそう思わないがそういう理屈がこっちにはあるのか?」
「こっちというか、ここにはあります、私とあなたの間ではね。私だってあなた以外の男の人にこんな厚かましくって図々しいにも程があることなんて言いませんよ」
本気で信じて疑っていないというのか。
「言っているじゃないか。それだったら他の人にも」
「私は嘘をついていません。言いません。そんな失礼なことを言って相手に嫌われたらどうするのですか? 損をするだけですってば」
「すると私には嫌われてもいいのか?」
「うん? なんですジーナ? 私には嫌われたくないのですか?」
問いが来るとジーナは目を伏せた。その眼を見たくないのか?
その考えることすら耐えがたく、ジーナも酒を飲もうとするも、また空だった。このグラスは、穴でも開いているのでは?
差し出された瓶口が眼前に現れジーナはグラスを机の上に置くと酒が注がれ出し、その音が声と混じり一つとなって耳に入って来る。
「いつも、あんな酷いことを、私にしている癖に、それ自分勝手すぎません? あなただって、いつも、私には嫌われてもいいような、そんな振る舞いばかりしているじゃないですか?」
注ぎ終わるもジーナはグラスの琥珀色の水面を表面張力を見つめる他、ない。
顔を上げられない見ることができない、ハイネに顔を背けるように。
「いつもあなたは、私に嫌われたらと、思っている……」
水面が揺れ零れた酒が幾筋かグラスを垂れさがり机の上へと、落ちる。
音がひとつだけ鳴った。複数の滴が落ちているのに、音は一つだけ。
ジーナは宝石が落ちて砕けた音を連想する。聞いたことはないが、もしも落ちたとしたらこんな音がするだろうという、綺麗で哀しい音だった。
「ちなみに私はあなたに……嫌われたくはありませんよ」
ハイネの声に乱れは無かった。
「こんなことを言っておいて」
反射的にジーナは言葉を返したが、グラスの酒は零れなかった。
「はい。こんな酷い扱いをしておいて、私は、あなたに嫌われたくはないのです。この程度のわがままで嫌いはしないとも信じています」
勝手すぎる言い分だなと思うものの震えはまるでなく、そのままの姿勢で宙にあったまま。
「どうなのですジーナ」
静かな、広がりのある声が聞こえて来る。
「過去のことや前のことは今はいいです。いま聞きたいことはいまのこと……いまのあなたの気持ちを」
問いに対し今度は震えもせず止まらず、そのまま酒を一気に呑み干した。
それでも何も感じず、何も起こらない。これはあまりにも無力すぎるからか?
それはハイネも同じなのだろう。あんなに呑んでいるのに、普段とまるで変わらないそして今の自分も……意識の高揚も逆の沈鬱さもなく、闘いに赴く際の気で以って前に出るため、顔を上げた。
ハイネが遠くにいた、いるように見える。それでも自分の口から出る声はいつも通りの大きさであった。
「じゃあ、私もハイネと同じだと言おう」
感動もなくそう言ったと思いながらジーナはグラスをとるとまたそれに気づいた。どうして同じことをこんなに繰り返すのか。まるで自分の間違いをとがめられているような。
「また空ですよ」
笑いを堪えているというハイネの笑顔が近くに現れ傾けられた酒瓶から酒が流れ出した。
「じゃあは余計ですが一言多いし足りないのがあなたという性分を思えば、よく言えましたと私は嬉しく感じますよ。まぁあなたの場合は言葉よりも態度ですね……あんなにすっきりと冷静を装って言い切れたのに、グラスが空になったことに気付かないとは玉に瑕で完璧になれないと思わせるあたり、あなたらしい」
貶しているのか褒めているのかよく分からない言葉を聞きながらジーナは酒を口に含むと、旨いと感じた。
ということは味覚が消えていた? そうだ消えていた。こんなに強い味と香りだというのに……あまりにもハイネのことを考えすぎたためになのか?
「でもですねジーナ。他の女にそういう優しさを見せたらいけませんよ。そんなことは当たり前だと受けとってあなたに負担をかけるだけですから。えっ? 私? 私はそういう女じゃありませんからね。あなたならそれは他の誰よりも、知っているでしょうけれど。何ですその顔は? 思い出してくださいよ私の優しさというものを」
その優しさというやつをジーナは頭を動かして探っているとハイネが運ばれて来た料理の肉の塊をナイフで解体しだした。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
田舎暮らしの貧乏令嬢、幽閉王子のお世話係になりました〜七年後の殿下が甘すぎるのですが!〜
侑子
恋愛
「リーシャ。僕がどれだけ君に会いたかったかわかる? 一人前と認められるまで魔塔から出られないのは知っていたけど、まさか七年もかかるなんて思っていなくて、リーシャに会いたくて死ぬかと思ったよ」
十五歳の時、父が作った借金のために、いつ魔力暴走を起こすかわからない危険な第二王子のお世話係をしていたリーシャ。
弟と同じ四つ年下の彼は、とても賢くて優しく、可愛らしい王子様だった。
お世話をする内に仲良くなれたと思っていたのに、彼はある日突然、世界最高の魔法使いたちが集うという魔塔へと旅立ってしまう。
七年後、二十二歳になったリーシャの前に現れたのは、成長し、十八歳になって成人した彼だった!
以前とは全く違う姿に戸惑うリーシャ。
その上、七年も音沙汰がなかったのに、彼は昔のことを忘れていないどころか、とんでもなく甘々な態度で接してくる。
一方、自分の息子ではない第二王子を疎んで幽閉状態に追い込んでいた王妃は、戻ってきた彼のことが気に入らないようで……。
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる